「井原勝介前岩国市長と語る集い」=ふくおか自由学校
2008年04月17日07時41分 / 提供:PJ
4月13日午後、福岡市博多区下川端、博多リバレイン十階のココロセンター(市人権啓発センター)研修室で、「岩国市長選挙の問いかけるもの」と銘打った講演会があり参加した。主催は市民団体「ふくおか自由学校」。自由学校は講座の企画運営をボランティアスタッフが行い、今年19年目になる。「自分たちの暮らしが世界とつながっているという視点から日本をとらえかえす場」(同学校パンフ)として学びあっている。2008年のテーマは、「混沌の時代に希望はあるか?〜もう一つの社会をみすえて〜」である。第一回講座は、6月7日午後、福岡市男女共同参画推進センター・アミカス研修室で、「民衆の思想を紡ぐ〜田中正造と現代」を予定している。
「井原勝介前岩国市長と語る集い」は特別企画である。前半は、米軍再編に揺れる岩国市を描いたドキュメンタリー「貧者の一灯」(西山正啓監督)の上映があった。時間の都合で、短縮版(60分)であったが、岩国の抱える問題がよくわかる作品であった。町村合併で岩国市に編入された村の話で、限界集落の無人化した地域で農業を営み、米、梨の栽培を続ける73歳の農民が、米軍再編に非協力として突然市庁舎改築の補助金を打ち切った国の圧力を下から覆す試みとして、市庁舎建設の募金を開始した運動の記録である。全国から約2700万円の募金が寄せられた。戦争を体験した世代として、現在の平和を守り、失われ行く里山を回復したいと、貧者の一灯を掲げ、運動を開始した。後の世代にも受け継いでもらいたいと、希望と決意を静かな語り口で訴えていた。
井原氏は1950年、山口県生まれ。労働省勤務を経て、1999年に岩国市長に当選。2006年3月、米軍再編による神奈川県厚木基地から「米空母艦載機部隊」の移駐受け入れの是非を問う住民投票を実施。同年4月、町村合併後に行われた新市長選でも圧倒的な支持を得て再選。国の市庁舎補助金カットをめぐって市議会と対立し、昨年12月末に辞職。この2月の市長選で惜敗。4月には市民主義の実現を目指して「草の根ネットワーク岩国」を設立した(「語る集い」配布資料)。井原氏は、「岩国の戦い」と題して、次のような内容で、約一時間講演した。
1 市長選挙
新市庁舎補助金カットをめぐり予算が4回否決され、昨年12月に5回目の予算と引き替えに辞職。国や県、各種団体や企業の、デマや誹謗中傷、圧力や締め付けなど何でもありの手法に敗北した。
2 米軍再編の概要
米空母艦載機部隊(スーパーホーネット等59機)の厚木基地からの移駐。KC―130空中給油機12機)の普天間基地からの移駐。この結果、岩国基地の航空機数は、120機(現在の2倍)、人員約1万人(4000人増)となる。
3 民意
井原氏は議会制民主主義との関係で、住民投票の重要性を強調した。住民投票(18年3月)で、投票率58.68%、内89%が受け入れ反対。同年4月の市長選挙でも、空母艦載機部隊移駐反対を公約に掲げ大差で当選。今回だけは我慢できないという民意が明確に示された。
4 国のアメとムチの手法
新庁舎補助金(3年目最後の分)、約35億円の突然のカット、明確な約束違反。愛宕山開発を中止し、跡地を米軍住宅(4000人)の建設に変更。国は新たに、米軍再編特措法による交付金を打ち出した。これは、例の守屋武昌防衛次官の強引なやりかたの結果と考えられる。
5 民主主義と自治を守る
国の圧力と、「来るものは来る」「夕張のように財政破たんする」「容認すれば数千億円から1兆円もらえる」などの誤った情報により、市民を不安に陥れ分断することは、国民の負託を受けた国のとるべき手法ではないと、井原氏は憤りをおさえながら、静かに語ったが、聴衆は深い憤りをくみ取った。
米軍再編は、安全・安心という観点から納得のいく解決策がなければ容認できない。試験飛行、日米地位協定の見直し等、5条件を提示したが、無視された。庁舎建設募金に対して、全国から応援があり、合計2700万円の募金が寄せられた。これは、岩国だけでなく全国共通の民主主義、地方自治にかかわる問題だからである。
6 新たな風を起こす
4月1日に、新しい政治グループ「草の根ネットワーク岩国」を設立した。国の理不尽なやり方には屈服しないという方針を貫く決意。
これまでの運動の中で、子どもたちからは、次のようなメッセージが寄せられ勇気付けられたという。「未来はお金とかえることはできません。私たちは、私たちの未来のためにあきらめません」。井原氏はこれに答えて、子どもたちに、三つのポイントを示したという。1 約束―地方自治、2 民意―民主主義、3 お金と安心・安全(子どもの未来のために取引はできない)。
岩国で起きたことを当事者、前市長から直接聞くことができ、参加者は、米軍再編を目指して米軍優先の姿勢を貫く、理不尽な国のやり方に憤りを新たにした。【了】
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「井原勝介前岩国市長と語る集い」は特別企画である。前半は、米軍再編に揺れる岩国市を描いたドキュメンタリー「貧者の一灯」(西山正啓監督)の上映があった。時間の都合で、短縮版(60分)であったが、岩国の抱える問題がよくわかる作品であった。町村合併で岩国市に編入された村の話で、限界集落の無人化した地域で農業を営み、米、梨の栽培を続ける73歳の農民が、米軍再編に非協力として突然市庁舎改築の補助金を打ち切った国の圧力を下から覆す試みとして、市庁舎建設の募金を開始した運動の記録である。全国から約2700万円の募金が寄せられた。戦争を体験した世代として、現在の平和を守り、失われ行く里山を回復したいと、貧者の一灯を掲げ、運動を開始した。後の世代にも受け継いでもらいたいと、希望と決意を静かな語り口で訴えていた。
井原氏は1950年、山口県生まれ。労働省勤務を経て、1999年に岩国市長に当選。2006年3月、米軍再編による神奈川県厚木基地から「米空母艦載機部隊」の移駐受け入れの是非を問う住民投票を実施。同年4月、町村合併後に行われた新市長選でも圧倒的な支持を得て再選。国の市庁舎補助金カットをめぐって市議会と対立し、昨年12月末に辞職。この2月の市長選で惜敗。4月には市民主義の実現を目指して「草の根ネットワーク岩国」を設立した(「語る集い」配布資料)。井原氏は、「岩国の戦い」と題して、次のような内容で、約一時間講演した。
1 市長選挙
新市庁舎補助金カットをめぐり予算が4回否決され、昨年12月に5回目の予算と引き替えに辞職。国や県、各種団体や企業の、デマや誹謗中傷、圧力や締め付けなど何でもありの手法に敗北した。
2 米軍再編の概要
米空母艦載機部隊(スーパーホーネット等59機)の厚木基地からの移駐。KC―130空中給油機12機)の普天間基地からの移駐。この結果、岩国基地の航空機数は、120機(現在の2倍)、人員約1万人(4000人増)となる。
3 民意
井原氏は議会制民主主義との関係で、住民投票の重要性を強調した。住民投票(18年3月)で、投票率58.68%、内89%が受け入れ反対。同年4月の市長選挙でも、空母艦載機部隊移駐反対を公約に掲げ大差で当選。今回だけは我慢できないという民意が明確に示された。
4 国のアメとムチの手法
新庁舎補助金(3年目最後の分)、約35億円の突然のカット、明確な約束違反。愛宕山開発を中止し、跡地を米軍住宅(4000人)の建設に変更。国は新たに、米軍再編特措法による交付金を打ち出した。これは、例の守屋武昌防衛次官の強引なやりかたの結果と考えられる。
5 民主主義と自治を守る
国の圧力と、「来るものは来る」「夕張のように財政破たんする」「容認すれば数千億円から1兆円もらえる」などの誤った情報により、市民を不安に陥れ分断することは、国民の負託を受けた国のとるべき手法ではないと、井原氏は憤りをおさえながら、静かに語ったが、聴衆は深い憤りをくみ取った。
米軍再編は、安全・安心という観点から納得のいく解決策がなければ容認できない。試験飛行、日米地位協定の見直し等、5条件を提示したが、無視された。庁舎建設募金に対して、全国から応援があり、合計2700万円の募金が寄せられた。これは、岩国だけでなく全国共通の民主主義、地方自治にかかわる問題だからである。
6 新たな風を起こす
4月1日に、新しい政治グループ「草の根ネットワーク岩国」を設立した。国の理不尽なやり方には屈服しないという方針を貫く決意。
これまでの運動の中で、子どもたちからは、次のようなメッセージが寄せられ勇気付けられたという。「未来はお金とかえることはできません。私たちは、私たちの未来のためにあきらめません」。井原氏はこれに答えて、子どもたちに、三つのポイントを示したという。1 約束―地方自治、2 民意―民主主義、3 お金と安心・安全(子どもの未来のために取引はできない)。
岩国で起きたことを当事者、前市長から直接聞くことができ、参加者は、米軍再編を目指して米軍優先の姿勢を貫く、理不尽な国のやり方に憤りを新たにした。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 徳島 達朗
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