ゲストさんログイン

ウェブ検索

最新ニュース! クリックするほどよく分かる

livedoor ニュース

今週のお役立ち情報

【眼光紙背】北京オリンピックに影を落とす大気汚染の問題

【眼光紙背】北京オリンピックに影を落とす大気汚染の問題
門倉貴史氏

門倉貴史の眼光紙背:第28回

08年8月8日に開催される北京オリンピックに、中国の大気汚染の問題が影を落としている。

高成長が続く中国では、工業化やモータリゼーションが急激に進展しており、その結果、工場の煙突から出る煙や車から出る排ガスなどが急増しているのだ。中国の北京や上海、広州などを訪れた経験のある人はわかると思うが、空を見上げると、晴れた日であっても、どんよりとしている。また30分程度、外を出歩いてホテルに戻ると、自分の鼻や耳の穴が真っ黒になっていることに気がつく。

08年3月10日には、男子マラソンの世界記録保持者で「皇帝」の異名を持つエチオピアのハイレ・ゲブレシラシエ選手が北京オリンピックのマラソンに出場しないことを発表した。これは、同選手がぜんそくの持病を抱えており、北京の大気汚染が体調に悪影響を及ぼすことを恐れたためだ。

トップ選手が出場を見合わせたことで、他の選手にも大気汚染に対する不安が広がるようになった。北京オリンピックでは、大気汚染の問題が障害となって、トップ選手が世界記録を樹立することは難しいと指摘する専門家もいる。

日本でも、07年に、日本オリンピック委員会(JOC)が北京の大気汚染に対して懸念を表明しており、日本の選手に日帰りでのオリンピック出場を勧める声も出ている。アジア各国の選手が自国で事前合宿を行って宿泊せずに日帰りすれば、オリンピック期間中の観光需要にも無視できない悪影響が及ぶ可能性がある。

こうした状況に対して、中国側は対外的に「大気汚染の問題は改善している」と大気汚染による健康への影響がないことを強調している。中国の共産党中央宣伝部は、国内メディアに対して、オリンピックのイメージを損なう「大気汚染」の報道を控えるように指示を出しているともいう。

しかし、中国政府も、大気汚染の原因物質の一部が環境基準を上回っていることは認めており、北京市当局は、大気汚染の改善を進めるための様々な対策を打ち出すようになった。

北京当局が打ち出した大気汚染の改善策を挙げると、ひとつは08年3月以降の新車販売に関して、ヨーロッパと同じ排ガス基準(ユーロ4)を適用するというものだ。この排ガス基準を満たさない新車の販売は認められなくなる。
また、北京市内や周辺自治体に立地する石油化学工場などの排煙基準も厳格化する。一部の工場については操業規制も行う。

さらに08年7月末からは、大気汚染や交通渋滞を改善するために大掛かりな交通規制も行う予定だ。具体的には、奇数の日には、奇数のナンバープレートをつけた車だけ通行を認め、偶数の日には、偶数のナンバープレートをつけた車だけ通行を認めるというもの。
これらの措置によって、08年中の大気汚染物質の排出量を5万トン削減する効果が期待できるという。

北京オリンピックに向けて大気汚染対策が進みつつあることは好ましいといえるが、こうした環境への取り組みが、北京オリンピックのためだけで終わるようであってはならない。今回の北京オリンピックをきっかけとして、国を挙げて環境問題に積極的、本格的に取り組むようになることが期待される。

米国の調査機関「Energy Information Administration(EIA)」のデータによって中国のCO2排出量をみると、1980年の14億5465万トンから2005年には53億2269万トンへと、25年間で3.7倍にも膨らんだ。とくに2000年代に入ってからの増加スピードが急激となっている。現在、米国に次いで世界第2位のCO2排出大国となっているのが中国なのだ。



プロフィール:
門倉貴史(かどくら・たかし) 1971年生まれ。エコノミスト。BRICs経済研究所代表。専門は、日米経済、アジア経済、BRICs経済、地下経済と多岐にわたる。オフィシャルサイト:門倉貴史のBRICs経済研究所


眼光紙背[がんこうしはい]とは:
「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
本コラムは、livedoor ニュースが選んだ気鋭の寄稿者が、ユーザが生活や仕事の中で直面する様々な課題に対し、「気付き」となるような情報を提供し、世の中に溢れるニュースの行間を読んで行くシリーズ。バックナンバー一覧
コメントするにはログインが必要です
ログインしてください
投稿

前後の記事

海外アクセスランキング

注目の情報
三井住友銀行グループのプロミス
急な出費に⇒スピード審査!!
はじめてのお客さまに《7.9%−17.8%》
24時間お申込OK♪安心&便利な\プロミス/


詳しくはコチラ!