あなたはジョージ・ソロスという人物をご存知だろうか。この現在77歳になるハンガリー生まれのユダヤ系アメリカ人は、一代で莫大な財を成した投機家、投資家で、アメリカにおける立志伝中の人物のひとりである。ソロス・ファンド・マネージメントという投資会社を設立し、現在は会長を務めている同氏は、これまでも数え切れないほどの買収劇を行ってきたが、このほどセリエA、ローマ買収の意図があることが明らかとなり、イタリアで大きな話題となっている。

 同氏は以前からスポーツクラブの経営に興味を抱いていたようだ。話を現実的にしている背景には、ローマ側の都合もある。ローマのセンシ会長は以前から、年齢的な問題を理由に「将来はクラブを売却する」とコメントしている。動きが明るみになった途端、イタリア株式市場に上場されているローマ株は、わずか1日で17・56%も上昇。市場も敏感に反応している。

 イングランドではチェルシーのアブラモヴィッチ氏、マンチェスター・シティのタクシン前タイ首相などの例があるが、イタリアでは近年において、世界的な投機家(資本家)がビッグクラブをそのまま買収した例はなく、実現すれば大きな話題と新たなモデルケースとなりそうだ。