【赤木智弘の眼光紙背】一億総モンスター時代の考え方
2008年04月10日11時00分 / 提供:眼光紙背
赤木智弘の眼光紙背:第28回
社会問題にはさまざまなキーワードがあるが、そのうちの1つに「モンスター」がある。「〇〇がモンスター化している」という言説はかつては90年代に少年犯罪が盛んに報じられるなかで「モンスター化する少年たちの恐怖」という文脈で使われていたと記憶している。
ところが今では、教師に理不尽な要求をつきつけるモンスターペアレント(両親)、意志や看護士に対して病気がよくならないことに対する当てこすりや、診療料金を支払わないモンスターペイシェント(患者)などにも使われるようになっている。
そのようなモンスターがはびこる社会を憂いて、「この国は一体どうなってしまったのか」などと嘆く人も多いのだが、そのような単純化は少し考えものである。
まず少年犯罪の文脈で使われていた「少年たちのモンスター化」でのモンスターというのは、少年による凶悪犯罪に対して使われていた言葉である。言葉が適用されたのは、殺人や強盗といった、私たちの生命そのものに関わりかねないクリティカルな範囲に限られていた。
しかし、昨今使われるモンスターの適用は「クレームをつける」「無理な要求をする」「わがままを言う」といった、生命の問題に関わらないものに変質している。
かつて少年犯罪をモンスターと呼んだ頃は、人殺しでもしない限りは人間であったものが、昨今ではクレームや要求を通そうとするだけでモンスター、すなわち人間扱いされなくなったのだ。
では、なぜ「モンスター」という言葉は変質したのだろうか?
1つは「徹底的な社会の道徳化欲求」の発露であると考えることもできる。
つまり、凶悪犯罪の報道が増えたことにより、体感治安の悪化に代表される社会不安が醸成され、他人の逸脱した行動に対して不安を感じるようになり、他者に対して過剰な道徳的行動を求めてしまい、それに従わぬ者をモンスターであると捉える。という考え方だ。まぁ、スタンダードな考え方だろう。
で、私としてはもう1つ示しておきたいのが「単なるやっかみ」という考え方である。
もちろん現場レベルでは、実際に理不尽な要求を受けているという事情があるのは承知しているが、その一方でその問題が社会問題化する、すなわち教職や医療現場にいない人間がその問題を考えるときに真っ先にでてくるのは、「教師や医者も大変だな」という理不尽な要求そのものに対する問題意識ではなく、「ゴネて得をしている人間がいる」という、単純なやっかみではないかと思うのだ。
モンスターペアレントは、自分の子供だけを優先させようとする両親に対するやっかみ、モンスターペイシェントは治療費を踏み倒したりすることに対するやっかむ。
例えば道路特定財源の問題なんかも、制度的な問題そのものよりも国土交通省の人間が道路特定財源でマッサージチェアを買っただの、アロマグッズを買っただのといった、小さな問題ばかりがクローズアップされがちなのも、やっかみであると考えれば納得がいく。
やっかみが面倒なのは、極めてシンプルな心情だけに解消のしようがないということである。
やっかみは満ち足りない社会に当然のようにもぐりこみ、名も知らぬ豊かで幸せな他人と、自分小さな不平不満を見比べ、「私は不幸である。正当に扱われていない」と囁く。
そして満ちたりぬ人間が要求する正当性は、要求される人間や要求している様をみる他人の目には「モンスター」となって映る。
私の目から見れば、幸せな家族をもって、500万ぐらいの年収を得ながら、労働争議でベースアップを叫ぶ連中は、まさしくモンスターである。
近くに火葬場や刑務所出所社の厚生施設ができると聞いて、反対運動をくりひろげるような連中だって、地域エゴの固まりのモンスターである。
| 1 | 2 |
- 関連ワード:
- 眼光紙背 ニート 刑務所 赤木智弘 モンスターペアレント
Ads by Google
コメントするにはログインが必要です
関連ニュース:眼光紙背
- 【赤木智弘の眼光紙背】やりがいの搾取眼光紙背 11月19日11時00分(51)
- 【赤木智弘の眼光紙背】企業犯罪から個人を守ろう眼光紙背 10月29日11時00分(39)
- 【佐藤優の眼光紙背】特捜検察と小沢一郎眼光紙背 11月24日11時00分(35)
- 【赤木智弘の眼光紙背】自転車にもっと安全対策を眼光紙背 11月26日11時00分(22)
- 【赤木智弘の眼光紙背】Wikipediaはネットの肥溜めか?眼光紙背 11月05日11時00分(19)
国内アクセスランキング
- 「国内最速」スパコン3800万 開発のあり方めぐり議論は必至
J-CASTニュース 27日20時36分(24) - 医療用漢方薬が保険適用外 価格が3倍以上治療に支障?
J-CASTニュース 27日21時21分(1) - 価格を捨てる勇気 - 書評 - フリー404 Blog Not Found 24日12時30分
- 女性の肺がんは非喫煙者に多く 「ホルモンも原因」という衝撃番組J-CASTニュース 27日19時59分(2)
- 首相、ちゃんと仕事して! 本会議中、扇子に“落書き”
ZAKZAK(夕刊フジ) 27日17時00分 - 痴漢→婦女暴行 巨大ターミナルで“見殺し”にされた女子高生の悲劇
産経新聞 14日09時08分
注目の情報
47才の男が使うと…今、このシャンプーが90万本もバカ売れしている。なんでも通販のみ
にも関わらず、「毛髪に悩む男性」に凄く売れてるのだと。試しに注文
してみると…「えーっ!」と驚くほど。それは47才の…
ある男が語る秘密≫


















行きの電車、帰りの電車で