近頃、国内の携帯電話(PHS含む)会社でスマートフォンが発売されるようになりました。
特に、ウィルコムのW-ZERO3の名前は、一度は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これらの多くのスマートフォンには「Windows Mobile」がOSとして採用されています。

今回は、Windows Mobileがどのようなものであるのかを見ていきましょう。

■Windows Mobileとは
Windows Mobile は、基本ソフト(OS)としてWindows Embedded CE(以下、Windows CE)を搭載し、Mobile Officeなど、いくつかのソフトウェアを組み合わせたシステム(プラットフォーム)のことを指します。
見た目はパソコンのWindowsによく似ていますが、Windows CEは組み込み用途のOSですから、Winsows CEやWindows Mobileを単体で入手することはできません。通常は、携帯情報端末(PDA)やスマートフォンに搭載された状態で購入することになります。

最新版のWindows Mobileには、次の3種類があります。

・Windows Mobile 6 Standard
音声通話中心でタッチスクリーンを必要としない携帯電話向けのプラットフォームです。全ての操作をキーボードやボタンで行います。そのため、ProfessionalやClassic向けのアプリケーションの多くは動作させることができません。

・Windows Mobile 6 Professional
データ通信中心でタッチスクリーンを必要とする携帯電話向けのプラットフォームです。主にタッチスクリーンによる操作になるため、Classic向けのソフトウェアも基本的には動作します。

・Windows Mobile 6 Classic
電話機能を持たず、タッチスクリーンを必要としている携帯端末(PDA)向けのプラットフォームです。従来のPocket PCの流れを汲むものです。

Windows Mobile 6 の製品ラインナップ

■Windows Mobileの歴史
マイクロソフトの携帯端末向けのOSを搭載したものは、キーボードを搭載したHandheld PC(H/PC)とキーボードを持たないPalmsize PC(P/PC)の2系統がありました。その後、Handheld PCは姿を消し、キーボードを持たないタイプだけがPocket PCと名を変えて継続されることになり、今日のWindows Mobileへと発展してきたのです。
また、Windows Mobile 5からは、キーボード搭載を再びサポートしています。
では、これらを年を追って見てみましょう。

1997年、Windows CE 1.0が産声を上げました。この頃の代表的な製品は、カシオのカシオペアA-50/51、NECのモバイルギアMC CS-12/13などのH/PC機器でした。
1999年、Windows CE 2.0の時代に入るとH/PCは2.0に進化し、P/PC 1.0が誕生します。
2001年、Windows CE 3.0でH/PCはH/PC2000と名を変え、HP Jornada 720やNTTドコモのSigmarion IIといった名機を送り出しましたが、その姿を消しました。代わって主流になったのは、P/PCから名を変えたPocket PCです。
2002年には、Pocket PC 2002と共に初めて携帯電話用のPocket PC Phone Editionが登場します。
2003年以降はWindows CE.NET時代になります。Pocket PCも呼称がWindows Mobile 2003/2003SEとなります。電話用OSとしてもWindows Mobile 2003 Phone Editionが供給されるようになりました。
そして2005年、スマートフォンをも想定した3種類のWindows Mobile 5が登場します。電話機能を持たないPocket PC Edition、タッチスクリーン対応のPocket PC Phone Edition、タッチスクリーン非対応のSmartphone Editionです。後ろの2つは、その名の通り携帯電話機能をサポートしています。
そして、この後に現行バージョンであるWindows Mobile 6シリーズへと続く訳です。

■Windows Mobile搭載端末
現在、日本でもWindows Mobile搭載端末は、携帯電話会社を中心に数機種が発売されています。

●NTTドコモ
・hTc Z(htc製)
Windows Mobile 5 Pocket PC Phone Editionを搭載した携帯電話です。スライド式のフルキーボードを備えています。
HT1100(htc製:予定)…Windows Mobile 6 Professionalを搭載した携帯電話です。タッチパネルで3Dキューブメニューを回転させて操作する「TouchFLO」を搭載しています。
F1100(富士通製)…Windows Mobile 6 Standardを搭載した携帯電話です。一般の携帯電話に似た操作感です。

●ソフトバンク
・X01HT(htc製)
Windows Mobile 5 Pocket PC Phone Editionを搭載した携帯電話です。スライド式のフルキーボードを備えています。

・X02HT(htc製)
Windows Mobile 6 Standardを搭載した携帯電話です。フルキーボードを搭載したストレート端末です。

・X03HT(htc製:予定)…Windows Mobile 6 Standardを搭載した携帯電話です。スライド式のフルキーボードを備えています。

●イーモバイル
・S01SH(シャープ製)
Windows Mobile 5 Pocket PC Editionを搭載したデータ通信端末です。スライド式のフルキーボードを備えています。

・S01SH2(シャープ製)
Windows Mobile 6 Classicを搭載したデータ通信端末です。スライド式のフルキーボードを備えています。

・S11HT(htc製)
Windows Mobile 6 Professionalを搭載した携帯電話です。スライド式のフルキーボードを備えています。

●ウィルコム
・WS004SH/WS004SH(シャープ製)
Windows Mobile 5 Pocket PC Editionを搭載したPHS端末です。スライド式のフルキーボードを備えています。3.7インチの大きな液晶ディスプレイが特徴です。

・WS007SH(シャープ製)
Windows Mobile 5 Pocket PC Editionを搭載したPHS端末です。スライド式のフルキーボードを備えています。形態性を重視したスマートな端末です。

・WS011SH(シャープ製)
Windows Mobile 6 Classicを搭載したPHS端末です。スライド式のフルキーボードを備えています。WS007SHよりも、さらに薄く小型軽量になりました。

●htc Nippon
・X7501
Windows Mobile 6 Professionalを搭載した、文庫本サイズのシステム手帳型携帯電話です。本体にタッチパネル対応の5インチ液晶ディスプレイや8GBのハードディスクを搭載し、着脱可能なフルキーボードを接続可能です。また独自開発の「HTC VueFLO」により、本体を前後に傾けて画面をスクロールすることもできます。

・P3600
Windows Mobile 5 Pocket PC Phone editionを搭載した携帯電話です。テンキーも持たないため、操作はボタンとスタイラスペンにより行います。

●HP
Windows Mobile 5 Pocket PC EditionやWindows Mobile 6 Classicを搭載した以下のようなPDAが発売されています。
112、212、hx2190b、hx2490c、rx5965、hx2790c

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