「朝は忙しいので親の朝食も用意して」「ブランドの服は、後でネットオークションで売れなくなるから、名前を書きたくない」――。
本気で言ってるの?と唖然としてしまいそうなクレームあり、一考の価値あるクレームあり。
富山市が、実際に保育所に寄せられた要求から、冊子「保育所クレーム対応事例集」を作成した。

しばしば取り上げられ、問題になっているのが、学校などに無理難題を押しつけたり、理不尽な要求をしたりする「モンスターペアレント」。
富山市では、市内の保育士ら約1200人が加盟する「市保育連盟」に委託して、冊子「保育所クレーム対応事例集」を作成した。冊子は、実際に保育所に寄せられた苦情など60件から、18件の保護者とのやりとりなどを紹介、実際に現場であった事例を、これからの対応に生かす。

とはいえ、今の親だって、無理難題を言う人ばかりではない。例えば、「子どもが夜になかなか寝ないのは、保育所での午睡時間が長すぎるからではないか」という意見では、保護者との懇談で考え方を確認、昼寝をしないように試してみたというケースも。
冊子には、保護者の多様な価値観を認め、きちんと説明するなど対応のポイントのほか、施設で紛失したものの弁償の有無など顧問弁護士のアドバイスも載せたという。
今後、87保育所に配布し、研修のための資料として活用する。市こども福祉課は「スムーズに対応することで、保護者の支援にもつなげたい」と話している。

理解できなさすぎてちょっと不思議に思ってしまうのが、親の朝食も用意してくれなどという要求をクレームする親は、本気でそれが通ると思って言っているのだろうか。それともダメもとで言っているのか、ただ困らせたいだけなのか。
連日報じられる日本の教育現場の衰退ぶり。確かに情けないし、頼りなく感じ、文句のひとつも言いたくなる親の気持ちも分からなくはない。だがそこに、公共の制度にならどんな文句を言ってもいいというような意識があるなら、もうそれは「モンスターペアレント」となりうる危険があると思う。
崩壊した教育現場の再生は、学校だけでできる問題ではない。家庭と学校、親と先生の、お互いを尊重する信頼関係の上にしか成り立たない。自分の子供だけしか愛することができない親は、社会を荒らし、ひいては愛する我が子を不幸にしてしまう。
先生たちも、理不尽な要求には、及び腰になる必要なんてない。頼りないなんて言わせない気骨を持ってほしいものだ。
親も、先生も。子供の輝く将来のために、どうか手を組んで頑張ってほしい。

(編集部 上芝まいこ)