信藤健仁の浦和レッズ解体信書 連載12
練習の中で自分の力を発揮しチャレンジを続けるしかない
「浦和レッズマガジン4月号(3月12日発売)より」現在、浦和レッズは国内有数の選手層を誇るクラブである。その中で、ささやかれる一つの課題が若手選手の育成だ。クラブの未来にかかわる問題に、どのように向かい合うべきなのか。
確固たるスタイルがあればそれに適合した選手が育つ
今のレッズは日本国内から優れた選手を集め、そこに外国人をうまく融合させ、国内ではトップクラスの戦力を誇っている。そのため、若手選手の育成という観点で停滞感は否めない。
タレントをそろえ、世界に羽ばたくことも重要だが、その中でも別の使命が存在する。未来永劫、クラブが発展していくためには、クラブの哲学や歴史を継承する選手の育成が必要なのだ。ほかのクラブから来た選手もその一人に成り得る。だが、幼少期から浦和で過ごし、その地域の心を知っている下部組織出身者によって脈々と受け継がれていくことが理想である。
世界の強豪クラブには、必ず下部組織から昇格した選手がチームの中心となって存在している。バルセローナのチャビやプジョル、レアル・マドリーならばラウール。そういった選手は、サポーターの心を知る一人でもあるため、その発言力は絶大だ。そういった重要性を理解しているからこそ、近年、フロントは下部組織にも力を入れているのだろう。だが、現在のところ強烈な個性とスキルを備えた人材がユースから育っていない。
その理想を実現させるために、トップチームが力を貸せることもある。それは浦和レッズの確固たるサッカースタイルを構築させることだ。小学生年代からそのサッカーを見ていれば、自然とスタイルに適合した選手が育ってくるもの。そして、いずれは浦和のトッププレーヤーになることを夢見て育った地元の子どもが、クラブを支えてくれるようになるのだ。
現在、浦和に所属する若手選手の多くは、日本屈指の選手層に阻まれ出場機会が限られている。途中出場はおろか、バックアッパーとしてベンチに座ることも許されていないのが現状だ。「経験を積ませるための選手起用を」という意見もあるだろうが、プロの世界はそれほど簡単ではない。例えば天皇杯で格下のチームと対戦するときなど、緊張感に欠けた試合に出場するのはあまり意味がない。そういう場面でピッチに立っても選手の成長にはそれほどつながらない。サッカー選手というのは、大きなプレッシャーがかかる真剣勝負の場で戦い、そこで勝利を収めたときにこそ大きく成長するものである。
その舞台に立つためには指揮官からの信頼を勝ち取らなければならない。昨年、オジェック監督は交代枠を使わないことが多かったが、やはり信頼という部分ではベンチに座る選手たちよりもスタメンの選手の方がはるかに高かったのだろう。選手交代においては、その起用がギャンブルになってはいけない。活躍するという確信がなければ交代枠は使えない。その選手がピッチに立つことによって、チームのレベルが格段に下がるのであれば監督は二の足を踏むものなのだ。







