【福永泰のスロー解析】鈴木啓太の“サイドチェンジ”
「浦和レッズマガジン4月号(3月12日発売)より」
1995年から2001年まで浦和レッズでプレー。04年に計10年間の現役生活にピリオドを打ち、現在はREDS WAVE『福永泰のタイトルを狙え』のパーソナリティーやサッカー解説者として活躍中。そんな福永さんが毎月1枚の連続写真を見ながら、プレーを丁寧に解析します。今月の写真からはいったい何が浮かび上がってくるのでしょうか?
黒子に徹して周囲を生かす 攻撃面での存在意義
−−今回は、鈴木啓太選手のプレーについて伺いたいと思います。現在は日本代表チームでプレーしていますが、どういったご感想をお持ちでしょうか。
「ワンボランチを任されていること自体に信頼の大きさを感じますね。僕も98年の開幕から7試合くらい経験したことがあるんですが、体力的には本当にキツいポジションだと思います。当時は左にチキ(ベギリスタイン)、右にペトロ(ペトロヴィッチ)、前に伸二(小野)という布陣だったんですが、僕を含めて4人とも攻撃的な選手だったんで、全体がワイドになると、守備面では《掃除役》として厳しい状況を強いられました」
−−鈴木選手も守備面でかなり高い評価を得ています。
「そうですね。ただ、啓太の持ち味である《黒子に徹して周囲を生かす》というスタイルは、攻撃面でもワンボランチというポジションにマッチしていると思います。誰もがより多くボールに絡みたいと思っているわけですから、当然、自分にボールを出してくれる選手を好む傾向があります。だから、周囲の選手たちを気持ち良くプレーさせるという意味では、啓太のように早くボールを動かして味方を使う選手の存在意義は非常に大きい。守備的な能力の高さがクローズアップされがちですが、そうやって周囲をうまく使うという意味では、攻撃面でも欠かせない選手になっていると思います」
−−そういうプレーを可能にしているのはどういった部分ですか?
「啓太の良い部分は、自分ができることを完全に把握しているところだと思います。まずは相手の攻撃をしっかりつぶして、奪ったボールを的確につなげる。それをシンプルにこなすことで、周囲も自分がどういうプレーを選択すればいいのかを理解しやすい。啓太はそういう関係を築きやすい選手だと思います」
−−新戦力との連係面では、そういった部分の調整がカギになりそうですね。
「そうですね。ただ、ボールを簡単にさばいて起点をつくるというプレーにおいては、連係面の不安を気にする必要はないかもしれません。むしろ、攻撃の最終局面に直結するようなパスを出す場合には、FWとの連係が必要になる。言い換えれば、今後の啓太には、守備面の安定感や攻撃の起点となるシンプルなパスワークに加えて、攻撃の最終局面に絡むような動きも求められる。つまり、相手に脅威を与えるような起点をつくれるかどうか。これまでにもそういうパスを狙うシーンがありましたが、今まで以上に精度を上げて、相手が嫌がるパスを送れるようになってほしいですね」
−−ここ数年ダブルボランチを採用しているレッズでは、パートナーを務めていた長谷部選手がいなくなりました。
「啓太は前線に飛び出すタイプではないので、長谷部のように同じ位置から前線に絡めるような選手が欲しいですね。つまり、個人の力でボールを運べる選手。啓太は自分で運ぶのではなく、周囲の選手に運ばせることが多いので、長谷部のようにドリブルでボールを運べる選手はパートナーとして貴重だったと思います。日本ではボールを運ぶよりも、ボールを動かすことに比重が置かれやすいので、ああいうタイプの選手は育ちにくい。そういった意味でも、長谷部は啓太にとって重要な存在だったと思います」
−−となると、長谷部選手はヨーロッパ向きだと言えるでしょうか?
「言えると思います。ヨーロッパでは、自分の前にスペースがあれば個人でボールを運ぶという考え方が根付いています。例えば、クラブW杯で対戦したミランのカカーは、常に自分でボールを運ぶことを考えてプレーしていますよね。まずは運んで、詰まったらやり直す。長谷部のプレースタイルもそれに近いと思います。ただ、相手にもそういう考え方が根付いているので、当然ながらそういう突破をつぶしにくる。そういった中でも持ち味を発揮できれば、彼の実力を証明することになると思います。長谷部が去った今シーズンは、啓太のパートナーに誰を選ぶかということも重要なポイントになるかもしれません」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜01年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。類い稀なスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はバルドラール浦安のスーパーバイザー、ミスマガジンフットサルチームの監督を務めるなど幅広い分野でサッカーの魅力を伝えている。
1995年から2001年まで浦和レッズでプレー。04年に計10年間の現役生活にピリオドを打ち、現在はREDS WAVE『福永泰のタイトルを狙え』のパーソナリティーやサッカー解説者として活躍中。そんな福永さんが毎月1枚の連続写真を見ながら、プレーを丁寧に解析します。今月の写真からはいったい何が浮かび上がってくるのでしょうか?
黒子に徹して周囲を生かす 攻撃面での存在意義
−−今回は、鈴木啓太選手のプレーについて伺いたいと思います。現在は日本代表チームでプレーしていますが、どういったご感想をお持ちでしょうか。
「ワンボランチを任されていること自体に信頼の大きさを感じますね。僕も98年の開幕から7試合くらい経験したことがあるんですが、体力的には本当にキツいポジションだと思います。当時は左にチキ(ベギリスタイン)、右にペトロ(ペトロヴィッチ)、前に伸二(小野)という布陣だったんですが、僕を含めて4人とも攻撃的な選手だったんで、全体がワイドになると、守備面では《掃除役》として厳しい状況を強いられました」
−−鈴木選手も守備面でかなり高い評価を得ています。
「そうですね。ただ、啓太の持ち味である《黒子に徹して周囲を生かす》というスタイルは、攻撃面でもワンボランチというポジションにマッチしていると思います。誰もがより多くボールに絡みたいと思っているわけですから、当然、自分にボールを出してくれる選手を好む傾向があります。だから、周囲の選手たちを気持ち良くプレーさせるという意味では、啓太のように早くボールを動かして味方を使う選手の存在意義は非常に大きい。守備的な能力の高さがクローズアップされがちですが、そうやって周囲をうまく使うという意味では、攻撃面でも欠かせない選手になっていると思います」
−−そういうプレーを可能にしているのはどういった部分ですか?
「啓太の良い部分は、自分ができることを完全に把握しているところだと思います。まずは相手の攻撃をしっかりつぶして、奪ったボールを的確につなげる。それをシンプルにこなすことで、周囲も自分がどういうプレーを選択すればいいのかを理解しやすい。啓太はそういう関係を築きやすい選手だと思います」
−−新戦力との連係面では、そういった部分の調整がカギになりそうですね。
「そうですね。ただ、ボールを簡単にさばいて起点をつくるというプレーにおいては、連係面の不安を気にする必要はないかもしれません。むしろ、攻撃の最終局面に直結するようなパスを出す場合には、FWとの連係が必要になる。言い換えれば、今後の啓太には、守備面の安定感や攻撃の起点となるシンプルなパスワークに加えて、攻撃の最終局面に絡むような動きも求められる。つまり、相手に脅威を与えるような起点をつくれるかどうか。これまでにもそういうパスを狙うシーンがありましたが、今まで以上に精度を上げて、相手が嫌がるパスを送れるようになってほしいですね」
−−ここ数年ダブルボランチを採用しているレッズでは、パートナーを務めていた長谷部選手がいなくなりました。
「啓太は前線に飛び出すタイプではないので、長谷部のように同じ位置から前線に絡めるような選手が欲しいですね。つまり、個人の力でボールを運べる選手。啓太は自分で運ぶのではなく、周囲の選手に運ばせることが多いので、長谷部のようにドリブルでボールを運べる選手はパートナーとして貴重だったと思います。日本ではボールを運ぶよりも、ボールを動かすことに比重が置かれやすいので、ああいうタイプの選手は育ちにくい。そういった意味でも、長谷部は啓太にとって重要な存在だったと思います」
−−となると、長谷部選手はヨーロッパ向きだと言えるでしょうか?
「言えると思います。ヨーロッパでは、自分の前にスペースがあれば個人でボールを運ぶという考え方が根付いています。例えば、クラブW杯で対戦したミランのカカーは、常に自分でボールを運ぶことを考えてプレーしていますよね。まずは運んで、詰まったらやり直す。長谷部のプレースタイルもそれに近いと思います。ただ、相手にもそういう考え方が根付いているので、当然ながらそういう突破をつぶしにくる。そういった中でも持ち味を発揮できれば、彼の実力を証明することになると思います。長谷部が去った今シーズンは、啓太のパートナーに誰を選ぶかということも重要なポイントになるかもしれません」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜01年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。類い稀なスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はバルドラール浦安のスーパーバイザー、ミスマガジンフットサルチームの監督を務めるなど幅広い分野でサッカーの魅力を伝えている。







