明確な未来像と自信の下に
[長谷部誠現地リポート]
「浦和レッズマガジン3月号(2月12日発売)より」ヴォルフスブルクへの加入会見で笑顔を見せてからわずか半月。
長谷部誠が早速デビューを果たし、安定したプレーでチームの勝利に貢献した。
さまざまな国籍の選手が居並ぶ中、スタメン奪取に意欲を燃やす長谷部。
クラブ唯一の日本人プレーヤーが名将マガトから得ている評価とは――。
与えられている出場時間の長さは戦力として認められている証拠
長谷部誠がついにブンデスリーガでデビューした。2月2日、後期開幕戦のビーレフェルト戦(アウェー)、長谷部はジョズエに代わって後半開始から出場。この国でのプレーが初めてとは思えないほど安定した内容で、相手に決定的なチャンスを与えず無事にリードを守った。試合は27分にブラジル人FWグラフィーチがサンターナのアシストからヘディングシュートを決めていて、そのままヴォルフスブルクが勝利を収めた。
3日前のDFBカップで出場が予想されていたのだが、長谷部はひざに内出血を起こして欠場。強豪シャルケをホームに迎え、ロスタイムで同点に追いつき、PK戦までもつれ込んだ激闘に加われなかった。ビーレフェルト戦でマガト監督は、3日前と全く同じメンバーを起用した。
初の公式戦はわずか45分の出場だったが、それ以前の親善試合を見る限り、長谷部は監督のチーム構想に組み込まれたようである。4─3で勝ったアウェーのイェナ(2部リーグ)戦は90分間、1−1のブラウンシュバイク戦も30分間だけだが出場した。すでに半年間、選手の特徴を見極めている監督が、長谷部にこれだけ長い時間を与えたことは、確実に戦力となると判断している証拠である。
「サイドよりもセンターのポジションが自分には合っています。背番号6が一番しっくりと来るんですよね」と試合後に語った長谷部。
マガト監督は長谷部が守備的MFとして優秀な点は認めている。
「すでに練習で何度も証明しているように、マコトは常にボールの在りかを見極めることのできる選手だ」
だがイェナ戦後、マガトは長谷部が求めるポジションについてはこう言って厳しい見方を崩していない。「ウチのチームで中盤のセンターを彼がやるというのは、議題に上らないだろう」
ヴォルフスブルクの先発メンバーとフォーメーションは固定されている。DF4枚の前ではゲントナー、ジョズエ、サンターナが中盤を構成し、攻撃的MFとしてマルセリーニョがゲームをつくる。2トップはゼコとグラフィーチ。
保守的で頑固なマガトが、ジョズエのポジションを急に長谷部へ代えることなどないはずだ。ビーレフェルト戦の交代はあくまで、ジョズエがイエローカードをもらったために切ったカードだ。
浦和レッズのホルガー・オジェック監督は長谷部を「驚異的な走りをする。ボール扱いも確実。オフェンシブなポジションもこなしていた。まさに守備と攻撃のつなぎ手だ」「彼がチームを去ったのは痛手だが、契約が切れたのだ
し、本人も外国でやりたがっていた。彼の実力だったらブンデスリーガで十分にやっていける」と評価する。
ヴォルフスブルク加入で長谷部はある意味、アドベンチャー精神を発揮した。契約書にサインしたのは彼の24回目の誕生日だった。その席で「家族も友達もこっちに来ることはないでしょうね。でも僕は外国での一人暮らしに慣れてるし、頑張ろうと思ってますから」と屈託ない表情を見せた。
彼は日本からドイツに向かう飛行機の中ですでにドイツ語を勉強していたという。加入会見には50人もの記者が集まった。そのうち、20パーセント以上が日本人だった。彼は短いドイツ語を交えて臆することなくこう語った。
「マイン・ナーメ・イスト・マコト・ハセベ。イッヒ・フロイエ・ミッヒ・ゼアー・アウフ・ヴォルフスブルク」(長谷部誠と申します。ヴォルフスブルクでプレーするのを楽しみにしています)
この続きはこうであった。「このクラブでプレーできるのは名誉です。全力を出してこの国で成長していきたいと思います。ドイツ語を早く覚えたいので、飛行機の中で猛勉強を始めましたよ」。このあいさつはドイツのマスコミにシンパシーを抱かせる効果を生んだ。長谷部の見事な心意気を私は評価したい。
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