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生命を懸けるフリージャーナリストたちが、大手メディアを語る。(下)

2008年03月24日08時29分 / 提供:PJ

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生命を懸けるフリージャーナリストたちが、大手メディアを語る。(下)
江川紹子さんは、「大手メディアの記者はルールを守ることが、第一義的になり、大切な『伝える』ことが後退している」と批判した。日本プレスセンターホールで。(撮影:穂高健一、3月14日)
(中)からのつづき。江川紹子さんは、長井健司さんの射殺事件を聞いたときを話す。「私は最初に、イラクでの人質事件の個人攻撃を思い浮かべました。長井さんの場合は、殺害の映像があったことから、バッシングが起きなかった。ほっとしました。これが拘束・拘禁となれば、自己責任論が出かねない」と話す。フリージャーナリストには、そんな危うさがあるのだという。

 「日本の場合は言論や報道の弾圧はありませんが、自己規制が一番の問題だと思います。長井さんが射殺された翌朝に、山本宗補(むねすけ)さんが朝日新聞が遺体を出さなかったと言われました。日本メディアは極力、死体写真を出さない。特に新聞などはそうです。そのために、(残忍な)戦争が起きても、まるで死人がほとんど居ない、軽いイメージになる。このあたりも問題です」と江川さんが指摘する。

 綿井健陽さんがおなじパネリストとして、江川紹子さんに、「雲仙・普賢岳では、記者やカメラマンが二十数人亡くなった。あれ以降は、大手メディアが社員の安全確保で、悪いほうに働いているのかな、という気がしますけど?」と話題を向けた。

 「それはすごく感じます。普賢岳・6月3日の大火砕流で、記者のみならず、取材を手伝うタクシー運転手さんなど、大勢が亡くなりました。メディアにとっては強い衝撃でした。会社側も、労働組合も、安全という問題を強く意識するようになりました。それはそれで良いんです。しかし、大手メディアは『ルールを作って、守る』。そこに気持ちがいってしまっています」。

 江川さんが一つの事例を挙げた。普賢岳のときは法律で、警戒区域の立ち入り禁止が出た。「警戒区域内で、撮影したものは発表できない。しかし、住民が一番知りたい情報は、わが家や道路はどうなっているかなんです」。フォーカスが市民カメラマンの撮った写真を掲載した。それが新聞広告に出た。すると、大手メディアの記者がその広告を持って警察に出向く、『こんなの、許しておいて良いのか』と捜査をたきつけた。

 「大手メディアの記者はルールを守ることが、第一義的になり、ジャーナリストの仕事で最も大切な『伝える』ことが、二番目、三番目へと後退している」と批判した。記者クラブを構成するような大手メディアが、フリージャーナリストの仕事を妨害する、という事例が多々あるという。

 「かれらはフリーを下に見て、『あいつらは』という感覚でものをいう」と大手メディアの優越感とか、差別意識とかを語る。イラクでの人質事件では、事件が解決していない段階で、ある大手新聞が1面で、フリーの連中が危険地帯で金もうけのために、ちょろちょろ動いている、という趣旨のことを書いていた、という。江川さんはそれらもフリーライターを下にみる意識だという。

 「日本のジャーナリズムの報道基準、とりわけTVでは、わかりやすく、情に訴える、短くいえる、この三つの大きな要素になっています」。山本宗補さんが求める、ビルマ問題を1988年から解きほぐすことは、説明に時間を要す。すぐに理解できにくい。いまの大メディアはなかなか報じない。

 「日本は言論が自由です。何でも喋(しゃべ)れます。何でも出せます。でも、TVの場合は視聴率とか、スポンサーとかの問題があります。報道は自由だけれど、圧力でなく、TV局の都合で、もろもろの自己規制が働いてしまう」と、江川さんは報道の自由の盲点をついた。

 地元の人たちが撮った映像を外に流す。通信社などマスメディアにとっては重要な役割の一つ。綿井さんが、「日本のメディアは事件、事故が起こった場合、だれかケイタイで現場を映像で撮っていないか、防犯カメラに映っていないか、とそれを探す。それが重要な任務になっている」と指摘する。

 ジャーナリストは自分の目で取材したり、撮影したりすることが基本だ。「いまメディアが最も取材しづらい国がビルマ、北朝鮮の庶民たちである。これらに関しては地元ネットワークと、自分たちの取材と両輪で行きたい」と述べた。

 壇上のパネリストから、「日本プレスセンターで、大手マスコミの取材や報道のあり方をこんなにも批判しても、良いのかな」という発言が出ると、会場から苦笑がもれる一幕があった。【了】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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