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「イカン」ぜよ。「イカン」な裁判。「イカン」な決着=アベ元首相の勝手な名誉棄損事件

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「イカン」ぜよ。「イカン」な裁判。「イカン」な決着=アベ元首相の勝手な名誉棄損事件
"Dictator" (制作:池野 徹)
【PJ 2008年03月20日】− 時の権力者に弄(もてあそ)ばれたジャーナリストの裁判が終わった。時の権力者とは、元総理大臣安倍晋三。ジャーナリストとは、元朝日新聞編集委員山田厚史さん。弄ばれたとは、勝手に名誉棄損で訴訟を起こして、勝手に全面撤回したこと。安倍晋三さんお得意の敵前逃亡の逃げ足であった。裁判の形としては、山田厚史さんの事実上の勝利で和解となった。しかし、この裁判はこれですべてが終わったのだろうか。

 2007年3月25日のテレビ朝日、田原総一朗さんの「サンデープロジェクト」で、朝日新聞編集委員である山田厚史さんが「日興證券には、安倍事務所にすごく強い常務がおられて、その人が今度、これをやって将来社長だなんていう噂がね、ありますよ」と発言をした事をめぐって、安倍晋三前首相秘書3名がこれを名誉棄損だとして提訴、損害賠償「3476万円」の支払いと「謝罪広告」掲載を求めた事件の公判が東京地裁で5回にわたり行われた裁判が、2008年2月21日、裁判長の職権による和解が提示され、安倍側は損害賠償と謝罪を放棄撤回した。和解に際して、山田さんは「テレビでの発言の中に原告等が誤解するような表現があったとすれば、遺憾(イカン)である」と表明した。

 3月18日、TKP銀座ビジネスセンターで「山田厚史さん裁判報告集会&感謝の夕べ」が開かれた。チームAAAを主催した、評論家の二木啓孝さんの司会で始まった。二木さんは、オウムの麻原彰晃以来の地裁大法廷での動員力があった事が驚きであったと述べた。ついで、担当弁護士、椎名麻紗枝さんより、経過報告があり、安倍首相でなく、秘書を使った訴訟であり、その証人申請もされなかったこと、裁判長の判決が無く、和解を進めた事は驚きであった事、この裁判は長引かせない事に留意した事を述べた。また、大法廷に銀行被害者の会を始め動員できた事が、原告と裁判所に圧力をかけられ勝利になったと感謝した。

 山田厚史さん本人は、権力に対して、自分の言論が犯される事で支払う対価はあり得ないと、裁判司法制度に対しても疑問を呈し、遺憾と言う言葉で和解での勝利であったが、この裁判を通じて、被告として得た体験を自分の名誉として今後に生かす事を語っていた。ゲストで朝日新聞の先輩、評論家、田岡俊次さんは、安倍サイドの敵前逃亡と、山田さん一人の勝利であったが、敗者は3人もいたと言った。それは、朝日新聞がこの事件にほおかむり、バックアップもしなかった事。当事者のテレビ朝日も何もしなかった事。記者クラブが言論への圧力なのに、何もしなかった事を述べた。つづいて、評論家、大谷昭宏さんは、現場の記者からの意見が無かった事。組織ジャーナリズムが力にならなかった事で、この結果は苦々しいものになっていると指摘した。

 山田さんの記者仲間、労働組合の代表からは、仲間として、バックアップしていたが、新聞紙上で戦えない、ふがいなさに限界を感じた話をしていた。山田さんと同志社の同期でもある評論家、石井信平さんは、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」の立ち上げた当時の話から、出演させて、提訴の真意を問いただすべきだったと、テレビ朝日の不がいなさと、山田さんのがんばりに拍手を送っていた。最後に、銀行被害者の会の田崎アイ子さんから花束と、山田さんの奥さまから、定年を控えた中での心配事だった事、最後の結審のとき、一言相談を欲しかったけれど、山田さん自身で決断した事を語っていたのは印象的だった。

 この事件は、不可解さのある事件であった。安倍首相サイドは何を目的に訴訟したのか。権力をカサに、気に食わない、ジャーナリズム朝日新聞を叩き、その記者を個人攻撃する卑劣さ、また、言論の自由への口封じ弾圧的狙い。日興コーディアル証券事件への帳消し策。秘書を使っての言いがかり。不利と見るや裁判所への圧力で、恥知らずの帳消し逃亡。バカな権力者に、弄ばれたとしか思えない。裁判は勝利と言う事で、曖昧にされるべきでないと思う。山田さんのつかった「遺憾」と言う言葉について、もっと良い表現がなかったか質問したが、「自分の意に反して残念」と言う意味と言われた。

 権力者に弄ばれた被害者は、山田さん自身であり、権力者は勝手に、横暴に逃げ去ったが、山田さんは、言論弾圧に対しても、名誉棄損で逆訴訟しても何ら妥当な事だと思えた。おそらく、山田さん自身は、裁判に勝利したが、忸怩(じくじ)たる思いでいると思われるし、これで良かったのか、残念だったかは、複雑な気分であり、まことに「遺憾な」裁判だったと述べていた。また、メディア、ジャーナリストの世界で、一個人のジャーナリストが、どうあるべきかも、突きつけられた問題として、提起されていると思う。山田さんのこれからのジャーナリスト活動に、よりこのアイテムは、パワーを持つに違いないと思いたい。

「アカン」ぜよ、「アベ」権力の、「アサヒ」恫喝。

【了】

(訂正:一部「ジャーナリスト」の氏名を訂正しました)

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パブリック・ジャーナリスト 池野 徹【 千葉県 】
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