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初体験オブ「e-Tax」

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初体験オブ「e-Tax」
会場入り口。 今年に限って(?)税務署ではなく、別のビルの1、2階を借り切っていた。しかも2つの税務署の管轄区域で合同だったため、必然的に人口密度は倍になる。  (撮影;佐々木隆、3月17日) 写真一覧(3)
【PJ 2008年03月19日】− 最終日の3月17日(月)になって、ようやく確定申告に行ってきた。期間中、特に多忙だったわけでもあえてこの日まで待っていたわけでもない。行くのをというより、「確定申告」の存在そのものをころっと忘れていたのである(by西原理恵子)。

 ようやく思い出したのが今月の14日(金)。池脇千鶴のTVコマーシャルで「e-Tax」なるものの存在は知っていた。急いで国税庁HPにアクセスする。CMを見たイメージの限り、てっきり「税務署に一度も行く必要なく」「自宅のPCだけで」簡単に申告できるものと思っていたが、どうもそうではないらしい。「初期登録」とやらに16桁(けた)の「利用者識別番号」が必要で、しかもそれは税務署に一度は行かねばならないとのこと。うむむ。

 その14日は時間の都合がつかず、翌日からは土日ということで残るのは最終日しかなくなった。1つ間違えば、あまりに単純な「申告漏れ」となっていたわけだ……(反省)。

 というわけで、17日の午前10時半、確定申告会場に到着。これまでの人生で確定申告は一度も経験がない。税について特に「学んだ」こともない。税務署に行ったこともない。はっきり言ってほとんど何もわからない状態である。とりあえず受付に行き、いろいろ聞こうと思っていたのだが、それより先に、「おはようございます! 不動産や株での収入はありますか?」と言われてしまう。ないですと答えると、「じゃあ、こちらです」と黒の番号札「86」を渡され、係員に待合室まで誘導される。「ここで、1時間くらいお待ち下さい」。

 待合室は学校の教室くらいの広さで、50脚ほどのいすが満席(机はない)、立ったまま待っている人も数人いる。2部屋あるので100人ほどが常に「待機」しているということだ。女性が約4割。花粉症の季節だけあってか、男女ともマスク着用率が高い。基本的には、「静かに待っているべき」室内空間なのだが、病院や図書館ではないため、ケータイ電話の使用が特に禁止されおらず、ほとんどの人がヒマつぶしとしてメール作業に没頭している。中には、大声ではないが小声でもない音量で「今、申告しに来てるんだけどさ、すっげぇ込んでて…」などと堂々と通話する人も。


 説明書きが待合室の壁など至る所に張ってあるのだが、どうやら、ほぼ全員が自動的に「e-Tax」を使用することになっているらしい。従来の「書類提出による確定申告」をまったく知らないので、e-Taxと比べてのメリット・デメリットが今ひとつわからないのだが、いきなり「全員に」というのもどうかと思う。書類をあらかじめ用意してきた人はそれを提出すればよいだけとはいえ、見た限りほとんどの人がe-Taxを使用する。かなりの順番待ちとなるわけだから、「迅速」というアピールポイントはどうなのだろうか。

 待合室の黒板には「ただいま○○番です」と数字が書かれている。約10分に一度、職員がその数字を「増やして」いく。「数字が1につき、だいたい1分です。例えば今は57番ですから、100番の番号札の方はあと40分ほどお待ちいただきます」などと説明している。そして、「それでは58番から67番の方、移動します」と、一度に10人ほどを別室へと誘導していくシステムだ。

 午前11時半。予告通り受付の約1時間後に「86番」の筆者にも順番が回ってくる。まずは「電子申告納税等開始(変更等)届出データ確認シート」に、ペンで住所や名前、職業、生年月日を記入する。次にPC台に案内され、源泉徴収票などを参考に、必要な情報を入力していく。

 なにぶんこちとらe-Taxはおろか確定申告そのものが初めてなので、どの画面からどの種類の税金のどの数字(金額)をどう打ち込めばいいのかわからず、黄緑のパーカーの職員に話しかけると、「あ…、白か青の(パーカーを着た)人に聞いて下さい」。なるほど、フロア内では20名ほどの職員で48台のPCを「サポート」しているが、職員のパーカーが青・白・黄緑と3色ある。「黄緑」の胸には「アルバイト ○○(氏名)」と書かれたバッジがあり、税務署が臨時に雇った恐らくは大学生だろう。

 「黄緑」は「白」を呼ぶ。やって来た「白」の女性職員は、「あなたこれ以外に(副収入は)ないわね? じゃ、給与額をここに打ち込んで…(中略)…あとは住所とかをここに入れて下さい」と、30秒で説明してくれる。おかげでその後はあっさり作業が進む。

 その途中、一度だけだが、タイピングしているときに突然、前の画面に戻ってしまいそれまで打ち込んだデータが消えてしまうというアクシデントが発生。たまたまその瞬間を先ほどの「白」女性が後ろで目撃しており、(数歩だが)駆け寄ってきて、「あ…ごめんなさいね、このPC、古いもので…」とすぐに謝る。WindowsXPを搭載してはいるが、たしかに、恐らくは5年ほど前のやや古い型のPCだ。

 時間にすればぜいぜい1分無駄になっただけであり、また謝罪の言葉があったので、筆者はその場で「別にいいです」と流したが、よく考えたら、個人情報も個人情報を大量に直接入力するPCがそんなことでよいのだろうか? (ただし、職員は「PCが古いから」と言っていたが、もしかしたら筆者の操作の方に何か問題があったのかもしれない。念のため)

 「16桁の番号」とやらも紙で受け取り、入力。先述の「無駄になった1分」を含めても、10分ほどですべての作業が終了する。先の女性職員がまたやって来て「え、もう終わったんですか? パソコン(のタイピング)早いですね〜!」と、2度繰り返しで褒めて(?)くれる。そういえば、自分の正面と斜め前に座っていた、60〜70代と思われるの2人の男性は、(順番から考えて)恐らく筆者がPCに向かう10分は前から作業を始めており、筆者が終了した時点でもまだ、職員を脇にしゃがませアドバイスを受けつつPCと「格闘」していた。

 PCが苦手な人が悪いわけではない。「早さ」が売りのはずのe-Taxにかえって煩わしさを感じてしまう人も少なからずいるということだ。むしろ「書類提出」の方がずっと早いかもしれない。

 筆者は電子入力を終え、印刷し、その提出のためまた並ぶ。「では、佐々木様は○○円還付となります。3週間ほどで銀行口座に振り込まれますので……」。ようやく会場を後にしたのが正午ちょっと前。つまり正味1時間半ほど「拘束」されていたことになる。これが例年や他会場(地域)と比べて短いのか長いのかよくわからないが、個人的には、いくら最終日だったとはいえ、往復時間を除いた平日の90分は長いと思う。せめてこれを半分にはしてほしい。工夫はいくらでもできるはずだ。

 例えば、職員が交代で勤務することで、土日など休日でも確定申告ができるようにする。これなら、平日忙しいサラリーマンでも来場が容易になる。平日の込み具合も、単純計算で14%は減らせる。ほかにも、会場の数を増やして、納税者の人数を分散する。そしてもっと広い会場を借りれば、込み合う待合室でのストレスも軽減できる。TVや雑誌をおくなど「退屈させない」ようにもしたい。また、PCの台数や、PCや税収のしくみに詳しいアルバイトを、例えば2倍に増やせば、当然2倍の早さで全員の作業が終わる。PCはレンタルすれば、それほど費用もかからないと思われるが、いかがだろうか。

 断っておくが、この日応対してくれた税務署職員らの働きぶりや態度が悪かった、という意味ではない。それどころか、アルバイトも含め全員が賢明に職務を全うしていたと思う。納税者に対しては少ない人数(約30名)で、恐らくは同じ事を何十回も説明し、同じ場所(部屋から部屋)を何百回も往復しなければならなかったはず。彼らの負担を減らす意味でも、上記のような「工夫」は必要だと思うのだが。

 にしても、e-Tax。確かにこれまでと比べ便利にはなったのかもしれない。ある意味「ネット社会」の一端ともいえる。が、少なくとも「初回」の今回は、いちいち税務署に足を運ばねばならず、一度紙にペンで書いた情報をPCにまた入力し、しかもそれを印刷して職員に渡すという、ローテク要素がかなり混ざっていた。しかも、源泉徴収票そのものも提出しなければならないのだから、メリットどころか「違い」すらもよくわからない。「今までペンで書いていたところが、ただタイピング入力になっただけ」という印象も受ける。 

 既に申告を終えた立場で言うのも何だが、「早さ」が売りのe-Tax、それは利用者ではなく、あくまで管理者側のものにすぎないのだろうか。企業や学校、役所のPCからの個人情報やその他機密の漏洩が相次いでいるが、e-Taxはどこまで大丈夫なのであろうか。【了】

■関連情報
国税庁 e-Taxホームページ
佐々木隆公式ブログ 「ストロボは人の弱さを笑いながら照らす」

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初体験オブ「e-Tax」
会場内の説明書き。 e-Tax使用がほぼ強制される。  (撮影;
初体験オブ「e-Tax」
帰りに渡される控え書類。 「来年はぜひ自宅からe-Tax!」と書
  
写真一覧(3件)

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 佐々木 隆【 愛知県 】
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