スポーツマンの方は、“HGH”という三文字にピンと来たことであろう。先だってMLBのクレメンス選手は使用を否定し、ペティット選手は使用を認めたことで有名になったヒト成長ホルモン剤で、現在スポーツショップやサプリメントショップで運動能力向上を目的に売れ行きが伸びている。ところが17日、アメリカの医学博士によりこの商品効果に“待った”がかかった!

このHGH、半年間の使用により運動をしなくても筋肉を増やし、体脂肪を減らすというのが売り文句である。その他、免疫力を高め、高血圧の抑制やコレステロールを正常に保ち、各内臓や皮膚を若々しく保つと宣伝され、かつては大変高価なため、低身長の治療以外には、レーガン大統領やバーブラ・ストライザンドといったセレブだけが服用していたという。

ところがこのHGHに警鐘を鳴らしているのは、米国スタンフォード大学医学部助教授であり、サンタ・クララ・バレー・メディカル・センターにて内分泌学のアシスタント・チーフを務めるハウ・リゥ博士である。昨年12月の、米国元上院議員であり検察官でもあるジョージ・ミッチェル氏による野球界薬物使用疑惑と健康被害への警告をあらためて裏付ける形となった。リゥ博士によると、HGHは筋肉量と同時に水分も取り込みむくみが生じ、期待される運動能力向上については、ものを持ち上げる力をアップする効果はないことを突き止めたと言う。

NYヤンキースのアンディ・ペティット投手は、先だっての薬物疑惑の公聴会にて2002年から2004年にかけて左ひじの手術を受けた際に数回服用したことを認めていたが、「早く治したい一心で使用した。若いアスリートには決して薦めない」とも付け加えていた。

副作用については殆ど触れられずに販売されているのがサプリメント業界の現状であるが、医学界では、HGHについて骨や関節の痛みや肝障害、甲状腺ホルモン低下、頭痛、白血病を引き起こすと定義づけられている。また、以前遺体の脳から作られていた時代には、クロイツェル・ヤコブ病の発症原因とも言われた。リゥ博士の研究はこれからもまだまだ続くという。

(編集部 Joy横手)