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【独女通信】独女が男を殺すとき3 未練とプライドと嫉妬

2008年03月24日14時00分 / 提供:独女通信

独女通信
【独女通信】独女が男を殺すとき3 未練とプライドと嫉妬
昔の彼のことが忘れられない――。

「元彼」「復縁」というキーワードで検索すれば、そんな女性が少なくないことがわかる。何度恋愛をしても、そして結婚しても、忘れらない昔の恋を引きずってしまう女たち。未練はときに、痛みと憎しみや怒りを誘発することもある。

平成18年度の警視庁統計によると、女が殺人を犯す動機が「怨恨」であるケースは約15%。「憤怒」は約30%。恨みが憤怒を呼び起こすことは往々にしてあるのだろう。今回は蓄積する恨みと情念が、無関係な人間への憤怒に変わったというケースを紹介したい。

昭和62年5月。札幌のラブホテルで若い男性の刺殺体が発見される。犯人は被害者と同宿した女だと見られていたが、捜査は難航し事件は迷宮入り状態となった。その1年5ヵ月後、あるマンションで若い女性がガス中毒死する。自殺者は部屋の住人C子だと見られたが、その後死体はC子の友人女性であることが発覚。そしてC子の指紋は、ラブホテルで採取された遺留指紋と一致した。二つの事件にはどんなつながりがあったのだろうか。

C子は犯行の前年、ひとりの男性と同棲したが一ヶ月で破局し、その一ヵ月後別の男性と結婚したが、8ヵ月で別れた。原因は「昔の男」が忘れられなかったからである。元彼と最後の話し合いをし、拒絶されたら無理心中をしようとナイフを買うC子。しかし元彼は電話にさえ出ない。自暴自棄になったC子はテレクラで知り合った男性とホテルへ行く。「売春婦のように扱われ、変態的なことをされそうになったので、カッとして刺した」とC子は供述しているが、彼女の引き金は元彼への恨みだと言われている。

クリスチャンのC子は、同じ教会に通う友人に「大変なことをした」と人殺しをしたことは伏せて相談をした。友人はアドバイスとして「人を殺しても神にすがれば救われる」と聖書を示した。この言葉にC子は犯行を知られたのだと誤解。部屋へ呼び出し、元彼を殺すために用意しておいた睡眠薬を飲ませ、部屋を目張りしガス栓を開いた。その凶行の裏には、自分と違って幸せな家庭生活を送る友人への嫉妬もあったとされている。

C子が男性を殺害したときは、まだ婚姻中だったので厳密に言うと独女とは言えない。ただ、同棲も結婚も、C子にしてみれば元彼の代用であり、彼女は非常に孤独だったのではないだろうか。C子の行動の短絡さから、一連の事件は俗に「八つ当たり連続殺人」と呼ばれている。

実はこの事件には、もうひとつの側面がある。精神鑑定医福島章氏の著書「殺人者のカルテ」には、思春期の数年間に起こった危機が、やがて人格障害などの原因になる場合があるとしている。その例として、この事件も上げているのだ。C子は粗野な父親と情愛の薄い母の間に生まれた。父の浮気事件などをきっかけに転校、直後に不登校、洗浄脅迫、不潔恐怖、自殺未遂などの問題を抱えるが、治療を受けず、高校、専門学校へと進学する。卒業後に同棲していた医大生の子を妊娠するが、相手の親の反対で中絶後別れた。この医大生が、B子が愛着を捨てられなかった元彼である。

著書には「既往に小精神病のエピソードがあり、衝動性の存在もうかがわれ、ホック=ホラディン型の〈疑神経症性分裂症〉とも、DSMでいう〈境界人格障害〉とも診断された。完全責任能力と判断され、裁判所もこれを採用し無期懲役を言い渡した」と、鑑定の結果が書かれている。「〈思春期危機〉としては、典型的な経過」とのことだ。もちろん、思春期の頃にどんなに辛い目にあっても、それを乗り越えて立派な大人になる人がほとんどなのだろうし、いかなる経験も殺人の言い訳になろうはずもない。ただ「境界人格障害と診断された人々の既往歴を調査すると、このようなエピソードが発見されるケースが多い」と、福島氏は記している。

C子の中に渦巻く「未練」「プライド」「嫉妬」というキーワードは、どの女の心にも棲んでいる。そして、思春期のころに大きな傷を追った人も少なくないだろう。痛みを抱える女性たちは、その痛みの渦を逃がす先を、いつも模索しているのではないだろうか。(オフィスエムツー/真鍋しまこ)

■参考文献
明治・大正・昭和・平成 事件・犯罪大事典
20世紀にっぽん殺人事典
殺人者のカルテ―精神鑑定医が読み解く現代の犯罪

■参考資料
警察庁統計 平成18年の犯罪
関連ワード:
独女  結婚  キーワード  精神病  睡眠  

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