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耳鳴り改善薬の大ヒットにみる大衆薬の意外な売れ筋


 突然、耳の奥で鳴る「キーン」という音。耳なりは軽度のものなら、不快ではあるが生活に支障をきたすほどでもない。老化現象の一つとして諦めるしかない、といった理由で放置している人もいるのではないだろうか。しかし、すでに耳なりは我慢するものではなくなっている。
 
 2007年秋、小林製薬から耳なり改善薬「ナリピタン」が発売された。

 発売2ヵ月で売上高4億円を突破。発売2ヵ月で初年度売上目標額12億円の3分の1を達成し、10億円がヒットの目安とされる大衆薬市場において好調な売れゆきを見せている。

 ここのところ、大衆薬市場のヒット商品は生活改善をテーマにしたものが多かった。具体的な病気や症状を対象とした商品よりも、ダイエット、アンチエイジング、シミ取りなど、健康や美容に関する悩みを改善するものを目にする頻度が高い。シミ改善薬「トランシーノ」(第一三共ヘルスケア)など、ドラッグストアの目立つ場所に置かれているものも多い。

 その点、耳なり改善薬は具体的な症状をターゲットにしている点で、これらとは一線を画す。

 大衆薬市場には出ていなかった新しい分野の薬だといえる。小林製薬は開発にあたっては生活者調査を行い、加齢とともに耳なりが増加傾向である(※注)ことに着目。そして、耳なりを感じていても何も対処せずに悩んでいる人が多いと推定した。これが耳なり対策薬という新市場を開拓したはじまりだという。

 他方、ここ何年かの傾向として、50代、60代を対象とした商品が続々と発売されている。

 自動車、化粧品、音楽など、高級感があり、価格帯がやや高めのものがよく出ている。耳なり改善薬「ナリピタン」も同様、50代、60代を対象とした商品だ。しかし、音楽でいえば吉田拓郎やかぐや姫、ビートルズ、美容でいえばシワ対策や肌の張り支援など、これまでの商品は50代、60代のなかでも幅広い層が手に取りたくなるものが主流だった。

 ところが、耳なりは50代、60代で増加の傾向があるといっても、発売元の小林製薬の調査によると50代では全体の14%が週に1回以上は耳鳴りを感じるという。その点、誰もが対象になるわけではない商品である。

 50代、60代を対象とした商品は、多くの人が手を伸ばすものの発売が一巡し、商品の対象は幅広くはないけれど、必要な人は必ず手に取るものが加わった。耳なり改善薬「ナリピタン」はその現れだといえる。

 服用は、錠剤を一度に2、3錠飲む。価格は90錠で2100円(税込)。これまで耳なりなど、耳に起こる症状は諦めるしかないものとして無関心だった方は一度手にとってみる手もあるのではないだろうか。

※この商品は大衆薬なので、耳なり以外にも症状がある方、症状が重い方などは耳鼻科での受診をおすすめします

(江口 陽子)


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