昨日、無事打ち上げ成功した米スペースシャトル「エンデバー」に搭乗している日本人宇宙飛行士、土井隆雄さんが、ブーメランの宇宙実験に挑戦する予定だ。
美しい弧を描いて、投げた場所に戻ってくるブーメラン。この動きには、重力が必要だと考えられているが、重力がほとんどない場所で、どう飛ぶのかは分かっていない。

土井さんは国際宇宙ステーション(ISS)の日本の実験棟「きぼう」の建設作業などの合間に、ISSの中で紙製のブーメランを投げる予定になっている。
これは、大阪に住む、ブーメランの世界チャンピオン栂井(とがい)靖弘さんの依頼。

栂井さんも幼いころからの宇宙好き。熱が高じて、18歳のときには米航空宇宙局(NASA)の見学にも行っている。その際、打ち上げ直前のシャトルを見て、「いつか宇宙へ行きたい」と熱望したという。
その後、ブーメラン競技を始めた栂井さんは、2006年に北海道で開かれた世界大会で優勝するなど、ブーメランの道を究めた。「自分が宇宙へ行くのは難しいが、せめてブーメランが宇宙を舞う姿を見たい」と、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の的川泰宣・宇宙教育センター長を通じて土井さんに依頼し、快諾されたという。

2006年秋に、茨城県つくば市のJAXA筑波宇宙センターで土井さんに投げ方を指導。土井さんは上達し、「宇宙での遊びとして、はやるかもしれないですね」と話した。
栂井さんは「自分の代わりにブーメランが宇宙へ行くのは万感の思い。手元に戻るのか、上へ浮いてしまうのか、どこかへ行ってしまうのか。とてもワクワクしています」と話す。

ちなみに、1992年には、毛利衛さんがシャトルで紙飛行機を飛ばす実験をした。
ISSの建設も、夢のある素晴らしく大きな任務だが、こんな子どもから大人まで楽しめる実験も、想像力を刺激する、価値あるものだろう。
宇宙空間でブーメランは戻ってくるのか?友人や家族と仮説を立てて、予想大会してみるのも面白いかもしれない。

(編集部 上芝まいこ)