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メキシコ・ティファナの一風景

メキシコ・ティファナの一風景
メキシコ・ティファナ、レボルシオン通りにて。 2008年2月23日 (撮影:富樫 秀樹)  写真一覧(2件)
【PJ 2008年03月12日】− ロサンゼルスから車を走らせること約3時間、メキシコの国境(メキシコ最北端の都市、ティファナ)を超える前にアメリカ側に車を停め、徒歩で国境を渡った。72時間以内の滞在ならばアメリカからメキシコへの入国はノーチェックでパスポート、手荷物を見せる必要もビザを申請することもなく回転ドアを通過するだけで入国することができる。

 反対にメキシコからアメリカへの入国には厳重なチェックがなされ、その対応の違いには驚かされる。一歩メキシコへ足を踏み入れるとそこは埃(ほこり)とさまざまな音が入り交じった喧騒(けんそう)、陽気で親しげなメキシカンが私の存在を歓迎してくれ、まだ見ぬ未知の世界の入り口で期待と不安の行き場を探す感情がそっと私の背中を押してくるのを感じた。体の奥底からアドレナリンが湧(わ)き上がってくるこの感覚が、唯一私が生きてる事を提示してくれるようになっている。

 多くの日本人をここでは見る事ができる。日帰り旅行としてアメリカからの旅行者は多い。そして、ここティファナは観光地として発展し、土産屋の店員も日本人の扱いにはなれており片言の日本語で話しかけてきては店への呼び込みに精を出している。英語でもスペイン語でなく、日本語が飛び交う街とでも言おうか。

 そして一歩国境を越えるだけでアメリカとメキシコの経済の違いを感じることができる。まず、メキシコからわずか20数キロしか離れていないアメリカの都市、サンディエゴでさえ、路上で子どもが物を売るとか親の家計を助けるために働くといった姿を見る事などまずない。

 だがここメキシコでは子どもたちが必死にツーリスト相手に物を売り、お金を稼ごうとする。世界一恵まれた国で住む子どもと、まだ発展途上にあるメキシコに生まれ育った子ども。ただ一歩「国境」という人間が決めた「国と国との境界線」を越えただけですべての生きる環境が変わってしまうこの世の現実を目の前に提示された瞬間、どう扱う事もできない苛立(いらだ)ちの行き場を探す私がいた。

 決して裕福でない国メキシコ。だが、決して貧しくもない国メキシコ。多くのメキシカンが不法にアメリカに滞在している。それをアメリカ政府は見て見ぬフリをしさらには彼らはアメリカ国民になることを望み、その一方でアメリカ政府もそれを咎(とが)めようともしない。そうしたいメキシカンをアメリカ市民にする制度すら存在している。日本で育った私にとってこの両者の感覚を理解するに多くの時間を要したが、なぜか両者の関係を深く知れば知るほど興味が注がれていった。

 到底、日本人の私には理解できかねるこの関係をティファナで見る事ができるはずだとそんな図々(ずうずう)しさを隠しながらただ傍観する自分がアメリカの影響を否応(いやおう)無しに受けなければならない日本語が飛び交う街、メキシコ、ティファナで立ち尽くしていた。【了】

■関連情報
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 富樫 秀樹【 東京都 】
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メキシコ・ティファナの一風景
メキシコからアメリカへの入国を待つ車の長蛇の列。メキシコ側、
   
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