森山直太朗(撮影:野原誠治)

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 2002年10月に発表したミニアルバム「乾いた唄は魚の餌にちょうどいい」でのデビューから5周年を迎え、今年1月には15作目のシングル「スノウドロップ」を発表した森山直太朗。今月5日に発表した3作目のアルバム「諸君!!」は、嘘か真か本心を見せない飄々とした風来坊のようであり、真摯に人と正面から向き合う好青年のようでもあり、森山直太朗の人間味が溢れた一枚になっている。

■眺めていて非常に面白い歌詞を書かれる方だなと思ったのですが、昨年11月に姫路城でのコンサートで初披露された「夕暮れの代弁者」は、なぜ以前の自分のキャッチフレーズをタイトルにしたのですか?

森山:もうずっと古くから、御徒町凧という詩人と一緒に曲を作っているんですけど、「歌詞が面白い」と言って下さった一つの世界観として、彼の影響がすごくあるんです。この曲は結構彼がイニシアチブを持って作った曲で、そこに自分が曲を当て込んでいったんですけど、なんかね「今、歌え!」って言われたんですよね(笑)。多分、闇雲に言葉の意味も分からず「“夕暮れの代弁者”森山直太朗です」なんて言っていたことに対する尻拭いというか。この曲を作ることで、一つそれが結実したというか。どう転んでも自分のテーマソングなのかな。

■去年の10月でデビュー5周年を迎えられましたが、これまで自分の歩んできた道を振り返ってみてという意味も込めれているのでしょうか?

森山:はい。まさに本当にそうで。まだ振り返るほどの歩みは進めてないですけど、やってきた中で色々な清算って必要だったりするじゃないですか。そういう意味合いもこの曲にはすごく強いかもしれないですね。

■自分の言ってきたことや、やってきたことに対して。

森山:えぇ、もう冒頭で「ごめん」って(笑)。でも、「その嘘も貫き通せば 真実さ」みたいな。

■5年前と比べて成長したと感じる部分はどんなことですか?

森山:こればっかりは、当時には当時の良さがあるし、今は今の良さがあると思うので。成長したかどうかは分からないんだけど、キャリアですよね。何回も色々な経験をしてきたり、場数みたいなものは。そういう所から知らず知らずの間におのずと会得しているものって、あると思いますね。

■一番最後の「歌う時代の革命児」というのは、新たなキャッチコピーだったりするのかなとか思ったのですが。

森山:この曲って、すごく自分のテーマソングなので、ちょっとロカっぽい要素やビッグバンドっぽい要素があるので、それは絶対に外したくなかったんですよね。その“やりきれないエンターテイナー”みたいな所で、そういうビッグバンド感みたいのは原風景としてすごく見えていて。ただ、ちょっと粋でいなせなものというかにもしたかったんですよね、古き良き時代のハイカラ感というか。

■「四つの置時計」の「たぶん地球は球体じゃない」という歌詞も、以前ツアータイトルにありましたが、それがなぜ今このタイミングでまた出てくるんだろう?って思ったのですが。

森山:そうですよねぇー(笑)。そのロジックというか、色々な物事がひょんなことから繋がっていくのって、例えば「あの時の言葉ってずっと引っ掛っているんだけど、ずっと分からないまま生きてたなぁ」とか「なんであの言葉に引っ掛っていたんだろう?」とか「あぁ、今になってあのことが分かる気がする」とかね。誰にでも生きているとそういうことってあると思うんですよ。きっと、そういうことを曲の中で解消しているようなイメージですね。