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「春のお上りさん」へ、成田山「梅」散策。

「春のお上りさん」へ、成田山「梅」散策。
"Crimson White plum battle"(撮影:池野 徹)3月2日。
【PJ 2008年03月04日】− 千葉駅から総武線で成田へ向かう。佐倉を過ぎたあたりから、民家や広告看板が、全く見えなくなる風景が見え始める。いまは寒々とした木々と枯れた草と、畑が続く景色であるが、千葉郊外の良さかも知れない。成田には30分で着く。駅から歩いて1キロもない表参道を成田山新勝寺へ向かう。表参道は、よく整備されているが坂あり曲がりありで、町並みに老舗の店や旅館が所狭しと両側に連なっている。鉄砲漬けの漬物屋さんが多い。それと、店先で実演する鰻(うなぎ)屋さんが競って店を並べている。鰻が名物とは知らなかった。ひな祭りの近いせいか、ふたり連れの着物の女性がゆったりと歩いていたのは、この表参道に日本の春の風情を感じさせる。

 今年は「成田山開基1070年祭」にあたり、町並みに旗が掲げられ、祝いの行事が多くある。記念に構築された檜(ひのき)造りの総門をくぐり、急こう配の階段で、仁王門をくぐり抜けると開けて壮大な成田山新勝寺大本堂を目の前にできる。ここが初詣で日本一の境内で、春の節分会も、大相撲の横綱、白鳳、朝青龍が来寺、話題になった。表参道から、大本堂の感じが東京浅草の、浅草寺と似ている。関東の庶民的な感じも強い景観でもある。

 この大本堂を回り込んだ所に、梅の古木が並んでいる梅林へ入り込む。春一番、梅の薫りが漂って来る。きょうは、風もなく絶好の小春日和である。梅の開花度は、見た限りでは、必ずしも良くはない。梅独特の木々の曲がり具合と、古木の乾涸(ひか)らび感はあるが、梅の花に今ひとつ華やかさが欠けるのはなぜだろう。先月、寒桜を見に行ったが、昔と比べると花の華やかさが今ひとつと言っていたのが思い出された。梅の花も桜の花も、温暖環境異変に影響されているのだろうか。こんな事で同感しているのは何とも風情ない情け無い光景だと思えた。

 さらに奥へ成田山公園に入ると、池に出る、公園内に、文殊の池、龍樹の池、龍智の池があるが、文殊の池を渡ると紅梅、白梅の美しい古木を見つける。やっと写真する意欲が出たのだった。梅や桜は、花もさることながら、その枝ぶりが気になる。花と対照的に黒い古木ぶりと、その曲がり癖の具合と、枝の絡み具合が勝負だ。しだれ桜や梅はその枝先が大事だ。しかし、植木職人が木のためだろうが、裁ち落とされている場合が多い。ビジュアル的にはつらいものだ。しかし、桜梅の花の命は短くてその咲き誇っている時空は決められている。だからこそ、はかなく美しいのだろう。

 梅は中国から渡来したと聞く、文殊の池から、苔むした庵の東屋で、麦酒と握り飯を食らっていると、その中国の胡弓の音が聞こえて来るではないか。中国から来日20年の胡弓の弾き手が弟子とともに、「早春賦」などを演じていた。わずか二弦の表裏を馬のしっぽの弦で、錦蛇の皮を共鳴させながら、単純だがゆったりした大陸の音が墨絵の一部の如く聞こえて来る。近くでは、赤い日傘の野点の茶会も開かれていた。梅の華やかさはなかったが、音と映像に出逢えた今日は気分の良い春の日になったようだ。

「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」

【了】

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パブリック・ジャーナリスト 池野 徹【 千葉県 】
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