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生活保護費に2億円支給しても、法さえ守れば処分なし・・・政府がめざす法化社会とは

【PJ 2008年02月29日】− 北海道の滝川市の生活保護費詐取事件で、市側は2億円以上をだまし取られたとされています。これは単なる詐欺事件としてなく、法外な保護費を支給した特異な事件です。また岸和田市でも飛行機で通院する費用など438万円を支給した事実が判明しました。

 異常な金額を支給していた事実は市の上層部も知っていたそうです。つまり十分検討された、適法行為であったわけです。非常識な行為でも書類に形式上の不備がないため、少なくとも担当者が背任容疑による刑事処分を受けることはないそうです。法制度の欠陥というより限界を露呈したものと言えるでしょう。

 次に紹介するのは但木敬一検事総長のNIKKEI NETのシンポジウムでの発言です。

 『例えば赤信号である時、車が来ないのに信号を渡らないのは日本の非常にばかばかしい風習だと外国でずいぶん報道されているが、皆さんもお渡りにならないと思う』

 そして、無意味でも信号を守るという日本の気質は素晴らしいと発言されます(まるで「悪法も法である」と毒杯をあおったソクラテスみたいですね)。

 この二つに共通することは、法や規則の意味を考えず、黙って守ればよいという態度でしょう。上記の事件のように法的リスクがないだけでなく、考えなくてもよいので、楽ですね。

 信号というのは交通事故を防ぐという目的のためにあるので、事故の心配がなければ守る必要がない、というのは問題もありますが合理的で柔軟な考えです。

 逆に、上記の件は適法性だけを判断して、生活保護という法の目的を考えなかった結果とも言えます。条文に対する可否の判断ならパソコンでもできそうです。担当者に刑事責任を追及できないのは、パソコンの責任を追及できないのと同じだと思えばよいです。

 次も法化社会を目指しておられる但木敬一検事総長の発言です。

 『では法化社会とは何なのか。端的に言うと、究極的に紛争のすべてが裁判所に持ち出され、あるいは持ち出されることを前提に準備しなければならない社会である』

 このために6倍の法曹人口が必要らしいのです。どうやら先ほどの役人のように全員が無条件で法を守る世界、より完全に法が支配する世界を目指されているようです。法の支配を代行するものは法曹であり、法化社会の狙いが彼らの勢力拡大である、とも見ることができます。

 日本の社会は紛争の多くを当事者間の話し合いによって解決してきたので米国の十分の一以下の弁護士で足りたのでしょう。これには村社会によって形成されたと言われている、和を重んじるという精神風土も大きく影響していると思われます。法化社会はこのような日本の風土を破壊するという側面を持ちます。

 わが国では紛争の多くは当事者間で交渉が行われ、解決は慣習や常識を基準としてきました。これを彼ら法曹の仕事とすることが法化社会の目的です。恐らく解決は常識や慣習より法を優先にしたものに変化するでしょう。

 しかしながら、司法試験合格者6倍の計画は崩れつつあります。これとセットで需要拡大するつもりの「法化社会」の実現が困難で、たちまち弁護士が余ってきたからです。現実を理解しない人たちが、机上の空論を捏(こ)ねまわして作った計画なので、すぐに破たんしたというわけです。裁判員制度も同じ人たちの産物です。どうなることでしょう。【了】

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噛みつき評論(記者のHP)
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 岡田 克敏【 京都府 】
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