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災害は悲惨なもの、不幸なもの、悲しみばかりでない=出久根達郎さん

2008年02月27日06時41分 / 提供:PJ

pj
災害は悲惨なもの、不幸なもの、悲しみばかりでない=出久根達郎さん
出久根達郎さんはみずからの作品『安政大変』を朗読し、災害を語る。(撮影:穂高健一、23日) 写真一覧(4件)
日本ペンクラブ主催の世界P.E.N.フォーラム「災害と文学」は2日目に入った。23日午前中は、イラン映画「そして人生は続く」で、監督はアッバス・キアロスタミさん。イラン北部で大地震が起きたとき、瓦解した町から立ち直っていく人たちを描いた作品だ。

 23日午後は、出久根達郎さん(93年、『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞)は、『安政大変』だった。作者が自らの作品を読み、災害を語る。1855(安政2)年10月2日の夜、江戸に大地震があった。震源地は荒川の河口付近だと見られている。江戸城や大名邸などが被害を受けた。約7000人の死者を出した。

 ペリー来航が53、54年と続いた翌年だった。江戸城から小判4000枚が盗まれる、代未聞の不祥事があった。(犯人は2年後に捕まった)。徳川幕府のタガがゆるみきっていた。こうした時代に、安政地震が起きたのだ。

 この地震には、予兆らしき異変があった、と記録されている。烏や鶏が夜鳴きをした、井戸水が濁り塩気が出た、桃や桜が開花した。釣り人がウナギの夜釣りに出掛けると、ナマズばかり連れたなど、という。

 「安政大変」は長編小説である。そのなかの一つ、地震発生の寸前を描いた、『おみや』の項を落語風に書き直し、出久根さんが朗読した。それは夜鷹と井戸掘り人足の語りである。バックには、3人の労働歌と太鼓が鳴らされて、舞台を盛り上げた。

 これまで多くの作家は地震が起きると、江戸の貧しい庶民は泣き叫び、悲惨なもの、不幸なものとして描いてきた。「災害は悲しみだけではありません。地震がくれば、金持ちは家屋や蔵の倒壊、火事などで財産を失う。生き延びたならば、江戸庶民は、思わぬ復興の需要という仕事にありつけた。貧乏人は地震で失うものがないけれど、再起のチャンスでもあった。ある意味で、地震は人々を平等にしてくれたのです」と出久根さんは語る。

 地震の後、江戸の町中には、大ナマズの祟りだ、といううわさが流れた。それを風刺する、なまず絵が江戸市中に出回った。「なまず絵は、為政者を批判するものです。奉行所は取り締まり、発禁処分にしました。しかし、民はしたたかですから、それでもなまず絵が出回る。現在でも何百種類も確認できます」と語る。

 出久根さんは、地震学者の河角廣(かわずみひろし)さんの学説を紹介する。「関東の大地震は統計上で、およそ69年±13年という周期説を唱えました。1923(大正12)年の関東大震災から、82年目が2005年。すでに2年過ぎています。自然災害は気まぐれ。いまこの瞬間に、突然、大地震が発生するかもしれない」と心構えをうながす。

 一般人が日常のなかで、四六時中、自然災害ばかりを考えながら、生活しているわけではない。『災害は忘れたころにやってくる』。今回のフォーラムはどれも災害を如実に蘇(よみがえ)らせ、災害と人間との関(かか)わりを考えさせるものばかりだ。【了】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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