今週のお役立ち情報
俳句と短歌は、大地震の悲惨な状況、心の痛手を伝える
2008年02月25日07時41分 / 提供:PJ
【PJ 2008年02月25日】−
世界P.E.N.フォーラム「災害と文学」は21日、基調講演に続いて、『俳句と短歌、阪神淡路大地震を詠む』だった。大型スクリーンには、同地震の被害の光景が生々しく映し出されている。災害から13年経つ。観客は当時の悲惨な状況を思い起こす。舞台には4人が登場してきた。
俳句の選者は黒田杏子さんで、朗読は下重暁子(日本ペンクラブ・副会長、元NHK)さん。背後のスクリーンには、下重さんの朗読で一句ずつが映し出されていく。
倒・裂・破・崩・礫の街寒雀 (友岡子郷さん)
明日が寒しペットボトルを一つ抱き (後藤比奈夫さん)
烏臭し火に流されて火にいたる (阿部完市さん)
寒暁や神の一撃もて明くる (和田悟朗さん)
死者五千昨日(きぞ)会ひし人亡くて雪(丸山海道さん)
選句は全部で15首で、すべてが紹介された。朗読のあと、選者の黒田杏子さんが、「俳句は一行17音字です。季語は5音か7音です。それを除けば、12字音か、10音字しか残りません」と形式を説明する。残されたわずかの次数のなかで、大震災の体験や恐怖を鮮明に浮かび上がらせているという。
倒=倒壊、裂=亀裂、破=破壊、崩=崩壊、礫=瓦礫という、震災の光景を最小のことばで凝縮している。同時に、寒雀という季語で、災害が1月17日の真冬だったと伝える。黒田さんは選者の立場から、濃密な凝縮さに驚嘆を示した。
短歌の選者は俵万智さんで、朗読は加賀美幸子さん(NHKアナウンサー)だった。俳句と同様に、スクリーンには加賀美さんの朗読で、短歌がスライドショーのように映し出されていく。
真下より突き上げられて胴上げにしくじった人のやうに落ちたり (大西由美子さん)
纏うものみなもち去りし火の跡に生まれし吾の如く立ちおり (伊藤道子さん)
きみが遺体の掘り起こされしそこのみが瓦礫の中にくぼみていたり(森本明子さん)
つくづくと吾は被災者難所のトイレ通いに人の足踏む (平野太朗さん)
ああ鳥は飛べるんだった仰向けば眩しい空に涙がにじむ (黒崎由起子さん)
加賀美さんが12首を朗読したあと、選者の俵万智さんが、「震災直後から、新聞の投稿欄、短歌結社の雑誌、短歌の総合誌、歌人の歌集など、あらゆる場に、短歌が寄せられました。短歌の持つ「機会詩」としての側面がこれほど顕著に表われたのは、近年にないことです」と説明した。
胴上げ=喜び、それにしくじった。そして、落ちてしまう。ふたつの状況が悲惨なかたちで重なり合っていると、俵万智さんが解説する。
震災体験からの短歌が多かった。「(選外を含め)短歌からは、映像で伝わってこない、想いや気持ちがじわっと伝わってきます」と強調した。
俵万智さんは同震災の日、答申書を村山首相に手渡すために、首相官邸にいたという。そばにいた人が、「村山さん、こんなとき(大災害発生時)に、首相官邸にいるべきじゃないですよ」と諭したという。俵さんが語るエピソードは、災害時の首相行動の歴史的な証言のひとつだろう。
他方で、2年がかりの答申が大震災で、一行も記事にならなかった、と俵さんはつけ加えた。
下重暁子さんは総括として、「俳句は短い言葉で、激情をぶちつけています。短歌は優しい気持ちが凝縮されています」と結んだ。【了】
■関連情報
世界P.E.N.フォーラム「災害と文学
記者HP:穂高健一ワールド
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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俳句の選者は黒田杏子さんで、朗読は下重暁子(日本ペンクラブ・副会長、元NHK)さん。背後のスクリーンには、下重さんの朗読で一句ずつが映し出されていく。
倒・裂・破・崩・礫の街寒雀 (友岡子郷さん)
明日が寒しペットボトルを一つ抱き (後藤比奈夫さん)
烏臭し火に流されて火にいたる (阿部完市さん)
寒暁や神の一撃もて明くる (和田悟朗さん)
死者五千昨日(きぞ)会ひし人亡くて雪(丸山海道さん)
選句は全部で15首で、すべてが紹介された。朗読のあと、選者の黒田杏子さんが、「俳句は一行17音字です。季語は5音か7音です。それを除けば、12字音か、10音字しか残りません」と形式を説明する。残されたわずかの次数のなかで、大震災の体験や恐怖を鮮明に浮かび上がらせているという。
倒=倒壊、裂=亀裂、破=破壊、崩=崩壊、礫=瓦礫という、震災の光景を最小のことばで凝縮している。同時に、寒雀という季語で、災害が1月17日の真冬だったと伝える。黒田さんは選者の立場から、濃密な凝縮さに驚嘆を示した。
短歌の選者は俵万智さんで、朗読は加賀美幸子さん(NHKアナウンサー)だった。俳句と同様に、スクリーンには加賀美さんの朗読で、短歌がスライドショーのように映し出されていく。
真下より突き上げられて胴上げにしくじった人のやうに落ちたり (大西由美子さん)
纏うものみなもち去りし火の跡に生まれし吾の如く立ちおり (伊藤道子さん)
きみが遺体の掘り起こされしそこのみが瓦礫の中にくぼみていたり(森本明子さん)
つくづくと吾は被災者難所のトイレ通いに人の足踏む (平野太朗さん)
ああ鳥は飛べるんだった仰向けば眩しい空に涙がにじむ (黒崎由起子さん)
加賀美さんが12首を朗読したあと、選者の俵万智さんが、「震災直後から、新聞の投稿欄、短歌結社の雑誌、短歌の総合誌、歌人の歌集など、あらゆる場に、短歌が寄せられました。短歌の持つ「機会詩」としての側面がこれほど顕著に表われたのは、近年にないことです」と説明した。
胴上げ=喜び、それにしくじった。そして、落ちてしまう。ふたつの状況が悲惨なかたちで重なり合っていると、俵万智さんが解説する。
震災体験からの短歌が多かった。「(選外を含め)短歌からは、映像で伝わってこない、想いや気持ちがじわっと伝わってきます」と強調した。
俵万智さんは同震災の日、答申書を村山首相に手渡すために、首相官邸にいたという。そばにいた人が、「村山さん、こんなとき(大災害発生時)に、首相官邸にいるべきじゃないですよ」と諭したという。俵さんが語るエピソードは、災害時の首相行動の歴史的な証言のひとつだろう。
他方で、2年がかりの答申が大震災で、一行も記事にならなかった、と俵さんはつけ加えた。
下重暁子さんは総括として、「俳句は短い言葉で、激情をぶちつけています。短歌は優しい気持ちが凝縮されています」と結んだ。【了】
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