1月20日、大日本プロレス千葉ブルーフィールド大会において、プロレスラー・金村キンタローが、大日本プロレス女子社員に対し、「挨拶がない」との理由で「お仕置きだ」と着衣の上から下腹部辺りを触ったセクハラ問題は、2月20日に金村が謝罪会見を行い、自らのレスラー活動を自粛。さらには、関係者の処分も決まり、一応の解決を迎えたかのようにみえた。

しかし、当事者として問題に関わった大日本プロレス・登坂栄児統括部長と村上健リングアナウンサーの言い分には、問題発覚当初から今も尚、大きな食い違いがある。

最初に、事の発覚に触れたのは村上氏だった。問題があった翌21日、自身のブログ上で、「昨日は試合開始前に我慢ならないことがありましたが、お客さんもたくさん入っていただき無事終了して良かったです」との書き込みを行った。

その後も、団体内部で起こった同問題に対する一連のやり取りでは、被害を受けた女子社員側に立った村上氏。27日には、「“チカラ”のない人間は、泣き寝入りするしかないんですか?」と、その胸中を綴り、2月3日には「もう下手ないいわけで逃げ回るのは、やめましょうよ」、5日には「また同じことが起きますよね?」、「でも犯罪は犯罪です!」と話し、15日には問題解決の過程が、納得いかないものであったのか「どいつもこいつも!何なんだよ!勝手にしろ!!!」と現状を嘆いている。

16日には、村上氏が団体から無期限の出入り禁止を言い渡されることになったが、「でも、犯罪を会社の利益のために隠蔽するための協力はしたくありません…。なんかスッキリしました」といった書き込みもなされた。

そして、その翌17日には、新たな問題が起こった。被害を受けた女性社員が、大日本プロレスからファンに配信されているメールマガジンの中で、問題を公表したのだ(問題のメルマガはコチラ)。

すると、18日には、大日本プロレスから、金村と村上氏の処分が正式に発表された。この時点で、同問題に対する団体側の対応が後手後手になっていることは明らかだったが、「なぜ村上氏が処分を受けるの?」と思った方も多いだろう。

それは、女子社員側に立った村上氏が、『1月20に起こったことに関し、選手社員とともに本人も同意し決定した事項を事実と違う形で被害者に伝え混乱を招き、また被害者を助けたいとする選手社員の気持ちを裏切り続けた上で、それらの人間を悪者にするかのような言動を続けたため』(大日本プロレス発表より)というのが、その理由とされている。

ここだけを切り取って見れば、団体関係者が問題解決に奔走する中、女性社員によるメルマガでの公表は村上氏が助長して行われたものだった、という見方もできるが、村上氏はブログで否定している。

その一方で、登坂氏は、問題のメールが配信された同日、自身のブログで「この度ご指摘されているであろう件に関しては、会社としての判断を現時点で双方とも理解し新しくスタートを切っております」と述べ、「それぞれが気持ちを整理する時間などをとってはおりましたが、その間公式にお伝えしないスタンスをとったのは立場的に弱い(と私が考える)側が以前と変わらぬように大日本に携われるようにと配慮したつもり」と書いている。

ただ、これは、その前日のブログで、ファンから寄せられたコメントに対する回答であり、この時点では問題の公表は行わないものであったことは明らかで、もちろん、メルマガでの公表事実を知る前に書かれたものであることも容易に察することができる。

要は、問題の公表を怠り、強引に解決を図った結果、なおざりにされた女性社員のやり場のない気持ちがメルマガでの吐露となったのだろう。

そして、冒頭にも書いた20日の謝罪会見になる訳だが、本会見を終えて尚、翌21日には、村上氏より事の成り行きがブログ上で説明された。

そこには、1月20日の時点で、登坂氏がセクハラ問題を把握していたこと、問題を公にしたいと願い出る女子社員に対し、感情的な口調で威嚇したことが時系列的に綴られ、村上氏の処分に対しても、「ぼくは登坂氏が言ったことを、そのまま(女性社員に)伝えました」、「(処分)理由に関しては意味不明」、「ここに書いたことは、すべて真実です」と結んでいる。

被害者の女性が刑事告訴を出すのかどうかも現時点では分かっていない。関係当事者は、真実を明らかにし、誠意を持って謝罪、対応する以外に、本当の解決はあり得ない。【Sports Watch】

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