警視庁が摘発に乗り出したとされるSHINZENのホームページ

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   一部報道によると、警視庁は、統一教会の関連団体とされる「SHINZEN」の摘発に乗り出した模様だ。関係者によると、「SHINZEN」は途上国援助などを名目に、ボランティア団体だとして資金集めをしていたという。その実態が解明されるか、捜査の行方に注目が集まっている。一方、統一教会は「SHINZEN」との関係を否定している。

警視庁が「SHINZEN」を家宅捜索

   SHINZENのホームページによると、本部は東京・世田谷区にある。「国際協力のボランティア団体」として1985年に発足し、年額3000円の普通会員などを募って活動。訪問販売などで得た資金を、アジアやアフリカの途上国における教育・医療支援などに充てているという。世田谷区内では、「福祉ショップしんぜん」を運営している。

   警視庁公安部がSHINZENの摘発に乗り出したことは、TBS系のニュースが2008年2月18日に報じた。同部の調べとして伝えたところによると、SHINZENの20歳代の男性が2月上旬、訪問販売のため千代田区内のマンションに無断で上がりこんだ住居侵入の疑い。同部では、18日朝に世田谷区の事務所などの家宅捜索に乗り出したという。ニュースでは、ハンカチや靴下などの訪問販売や募金活動などを統一教会(世界基督教統一神霊協会)の資金源にしているとして、同部がSHINZENの活動の実態解明を進める方針だと伝えた。その後、時事通信や産経新聞も同様の内容を報じている。

   SHINZENは、統一教会の信者がどう関わっているのか。

   全国霊感商法対策弁護士連絡会の事務局長を務める山口広弁護士は、次のように語る。

「信者が運営している資金集めの団体ですよ。(統一教会のボランティア関係の)フロント団体は、SHINZENと『野の花会』の2つがあります。そこでは、信者が数百人規模で常に動員されています。ハンカチや靴下など、1日に5〜6万円の目標で物品販売をしており、100人なら1日で500〜600万円、300人なら1500万円が集まる計算になります」

   SHINZENでは、06年の収支報告で約900万円の収入を挙げているが、山口弁護士は、「まったく違う規模」だという。

   訪問販売は、1人1500〜3000円といったレベルのため、相談はあまりなく、時々通報が来る程度という。しかし、「信者にノルマを課し、1日8〜10時間も物品販売に歩かせている」としている。

統一教会は「SHINZEN」との関係を否定

   SHINZENの訪問販売は、ネットでも話題になっている。

   例えば、ブログ「こせきの日記」では、

「SHINZENの方がわが家に募金活動にいらっしゃいました。地雷被害者の子供のために、3000円で靴下とかハンカチとか買ってくださいとのこと。かわいらしいお嬢さんが、傘もささずに玄関先で『お兄さんの真心を!』みたいなこと言うの。サタンに心を乗っ取られた私としては、オタク風のおっさん向けメソッドがあるんじゃないかと疑わずにいられませんでした」

と協力を求める様子が紹介されていた。

   善意に基づくはずの「ボランティア団体」の訪問販売に対し、不審に思って断るケースも多い。が、中には、別のブログに「世間知らずの妻が、頼み込まれて1万円近くを募金した」との内容を書き込むコメント投稿者もいた。

   前出の弁護士連絡会メンバーの紀藤正樹弁護士は、「統一教会は、SHINZENのような偽ボランティア団体を、信者の訓練や研修として使っている」とみる。

「信者は霊感商法にいきなり行けるわけではありません。例えば、信者になりたての人とかボランティアならできる人もいるわけで、まず詐欺的商法の訓練をするわけです。また、(洗脳活動をする)ビデオセンターに行く前に配属し、研修として使ってもいるようです」

   紀藤弁護士によると、途上国に「見せ金」として数百万円の寄付をしているとしても、売り上げは、年に億単位あるとみられ、10億円あってもおかしくないという。「警察もその実態を解明しようとしており、当然、家宅捜索の範囲が広がると思います。統一教会本体にも及ぶ可能性があるのではないか」と期待を示す。

   J-CASTニュースでは、SHINZEN事務所や福祉ショップに取材しようとしたが、何度かけても留守番電話だった。統一教会広報部は、J-CASTニュースに対し、

「当法人は宗教法人であり、『SHINZEN』なるものとは関係がありません。また、営利事業を一切行っておらず、したがって『SHINZEN』が、統一教会の資金源というのは、誤った情報です」

とコメントしている。

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