榎本くるみ(撮影:野原誠治)
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 2006年4月、シングル「心のカタチ」でデビューを果たした名古屋出身のシンガーソングライター、榎本くるみ。心に突き刺さるシリアスな歌詞の世界観と、“奇跡の歌声”と称されるその歌声で聴く者の心を強く揺さぶる彼女が今月20日、「リアル/She」「夕陽が丘/みんな元気」に続くシングル三部作の第三弾「未来記念日」を発表。その日を笑顔で迎え、先の未来も笑顔で乗り越えていくことを誓う前向きな旅立ちのバラードで、清々しいピアノとストリングスが奏でる旋律と、凛とした彼女の歌声が優しく、そして力強く響いていく。

――榎本くるみとしてデビューしてから今回の「未来記念日」で、もうすぐ2年が経とうとしていますが、この2年間で変化を感じることはありますか?

榎本くるみ(以降、榎本):最初は自分に向かって色々と曲を書いてきたんですけど、曲作りをしていく中で、それが徐々に外に向かっていったので。曲をたくさん集めていくことによって、でき上がってきた部分というのもあると思います。

――最初は自分の内にある感情を吐き出していく作業だったのが、聴く人のことを意識して曲作りをするようになった。

榎本:そうですね。実は「目的があったのかな?」とはすごく思っていて。ただ、その目的に向かって真っ直ぐに歩いてきたというよりは、色々とその目的を見直したり、逃げたりしながら辿ってきたのかな、と思って。あまり笑うというか、どちらかというと普段からあまり人と関わったり、色々なものを人と一緒に作り上げていくということが得意な方ではなくて。集団生活の中で「なんか浮いてるな?」と思って。私みたいにそういうのが苦手な子もいれば、すごく楽しくやっている子もいたり。小学校の時にすごく笑顔が素敵な子がいたんですね。「なんで私はその子みたいに笑えないんだろうな?その子の様に笑えたらいいな」と思ったのが、実は最初に音楽を始めるきっかけでもあって。すぐに笑顔になれたわけではなくて、色々と自分に言い訳したりもしてきたし。実は今も笑顔が欲しくて、「どんな時でも優しい笑顔をもっていられたらいいな」「ずっと曲を書きながら、少しずつ笑えたらいいな」というのが目標で。それで、この「未来記念日」という曲に繋がっていったのかなって、すごく感じていますね。

――「リアル/She」「夕陽が丘/みんな元気」に続く三作めとなりますが、最初から三部作にしようと考えていたのですか?

榎本:実はそんなに「三部作にしよう」と思っていたわけじゃないんですけど。ちょうど第一段階の「リアル」という曲ができてから徐々に、自分が今まで求め続けていた笑顔だったりそういうものを、自分でいられるままで表現することができたら良いな、って少しずつ思えるようになってきて。それで今回の「未来記念日」で、徐々に笑うと思っていた自分というものが、少しずつ顔を出してきたとは感じていますね。

――カップリングの「昨日の未来」の「歌が好きなこと 嫌いにもなること 作りたいうた つくれないうた」という歌詞を見ていて、歌手を志した時にどういう歌を歌いたいとか、どういう存在でありたいと考えていたのかをお聞きしたかったのですが。

榎本:小学校6年生の時に器楽部に入って、洋楽とかにすごく興味が出てきて、ラジオとかで色々と音楽を聴いていく内に、マドンナに出会って。自分が直接その人になりたいという感じではないんですけど、生きる面白さというか、今まで気付けなかったハッとさせられるものがすごくあって。形は変わっても「生きていて面白いな」って自分も感じたくなったんですね。「だってマドンナが感じられるのに、なんで自分が感じられないんだろう?」という感じもあるし、きっとどんな人でも、どんな場所にいても、そういう生きる楽しさを獲得することは誰にでも可能性はあるし、できるじゃないですか。だから「その一人になりたいな」と思って。

 でも、その時に私に足りないことは色々あって、まずは最初の一歩というか、踏み出す勇気というか。人を怖がらずに、楽しんで話せることから始めてみようって思って。歌を歌うって、結局そういうことじゃないですか。すごく楽しい歌はいっぱいあるし、色んなジャンルの曲があるんですけど、本当に生きていて良かったなって思えるような歌が自分にも歌えるような気がしたというか、歌っていけたらいいなって、その時に本当に思って。ただ、足りないものはずっと10代の時から探していたような気がして。それが結局は笑顔だったという、本当にすごくシンプルな所にあって。自分の笑顔もそうだし、もっと生み出せたらそれが人の笑顔にも繋がっていくかもしれないし。そういうことを信じてみたいなって、曲を歌っていく中で少しずつ感じています。