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【よこ顔】ジャズマンから、津軽三味線の流浪芸人に=大内和己さん(中)

2008年02月19日07時21分 / 提供:PJ

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【よこ顔】ジャズマンから、津軽三味線の流浪芸人に=大内和己さん(中)
大内和己(かずみ)さんは、昔の坊様三味線の音色を探し求め、全国行脚する。ときには野宿しながら。(撮影:穂高健一、東京・上野公園で、1月25日) 写真一覧(3件)
(上)からのつづき。現代の津軽三味線は、舞台で健常者がスマートで洗練されたものを奏でている。一方で、いまや坊さま(盲目の乞食)三味線は否定されてしまったから、その音色が消えてしまった。

 「失われた音を取り戻したい」と、大内和己(かずみ)さんは、三味線ひとつで、全国行脚するのだ。時には野宿しながら、昔の坊さま三味線の音色を探し求めている。それは自分との戦いでもあるのだ。

 「街では三味線の流派など関係ありません。聞いてくれる人の心に響けば、お金がもらえます」と明確にいい切る。同時に、「路上で、お金をもらえる音」に拘泥するのだ。

 「きょうはサウナに入りたいな。3000円あると、サウナが泊まれる。金が欲しい、金が欲しい、と思いながら演奏していると、だれもふり向いてくれない。結局は、お金は入らず、野宿になる」と聴衆の厳しい耳を語る。

 「聞く人は音色から、奏でるわたしの心がわかるのです。淡々と弾いていると、いつのまにか人が集まる」。それは理屈抜きで、不思議なものだという。

 「高橋竹山(ちくざん)師が最後の坊さまです」と大内さんは話す。高橋竹山1910(明治43)年―1998(平成10)年)は、17歳から東北北部の集落を「門付け」して回っていた。54年(昭和29)年からはラジオ青森で民謡番組を担当する。63年(昭和38)年には、高橋竹山による津軽三味線の独奏のLPレコードが、キングレコードから世に出た。それが大ヒットした。津軽三味線のブームの先駆けとなった人物である。

 大内さんは青森市の出身だ。子どものころを振り返る。「私は、親から虐げられて育ちました。納戸の片隅に追いやられた生活でした。それを慰めてくれたのが、ラジオから流れてくる、高橋竹山師の津軽三味線と、それに落語でした」と語る。特に高橋竹山の音色が耳に焼き付いていたのだ。それに気づくのは、苦境に陥る40歳代半ばになってからのことだった。

 大内さんはかつてジャズマンだった。明治学院大学を卒業後はプロのジャズメンバーの一員になった。楽器はベース。「リズムと音色にはこだわり続けました。『ベースのリズムは日本一』とジャズ評論家・いそのてるヲさんに評価されました」と話す。

 大内さんは一途(いちず)にジャズに専念してきた。そのころの大内さんは、ブラジルのサンバや、ボサノバ(サンバとジャズの融合で生まれた音楽)を聴くと、心を打たれ、涙が出ていたという。それはなぜかと聞いてみた。

 「かれらは奴隷制度の下で、実際はつらい環境なのにサンバを奏で、踊って、精いっぱい、明るくしている。つらかった子どものころの私と、サンバやボサノバの背景とが重なり合うものがありましたから」と教えてくれた。

 他方で、ジャズをやるほどに、苦しくなってきたのだという。「私は行き詰まり、ジャズマンを止めました。それは身体の奥にしみ込んでいる、求める音に近づけなかったからです」と打ち明ける。

 大内さんはまったく異業種のセールスマンをやった。成績は上がったが、むなしかったという。「生きる支えがない。このままでは自分は死んでしまう、と本気で思いました」と、いまから十数年前の心身の落ち込みを語るのだ。【つづく】

■関連情報
大内和己さん
FAX 03−3994−5617
080−5613−1260
Eメール:126.kazumi.oto@ezweb.ne.jp

記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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