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【眼光紙背】百度上陸で日本のインターネット業界を憂う

2008年02月08日11時00分 / 提供:眼光紙背

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【眼光紙背】百度上陸で日本のインターネット業界を憂う
保田隆明氏

保田隆明の眼光紙背:第17回

■中国検索サイト「百度」が日本でサービス開始

1月下旬に中国の検索サイトである百度が日本でサービスを開始した。日本の検索市場はYahooとGoogleの2社で90%以上のシェアを占めている。両者とも元は英語圏のサービスであり、日本語という特殊な言語市場であれば日本企業がある程度のシェアを握っていてもおかしくないのではないかと思うが、残念ながらそういう状況ではない。今ではこの2社の牙城を切り崩そうという日本独自の検索エンジンは実質的に存在しない状態となっている。

そんな日本の検索市場に中国の検索サイトが上陸した。Yahoo、Googleに立ち向かおうとする日本の検索サイトすら存在しない市場で、中国発の検索サイトがどうやって成功するのだ?という議論もあるようだが、百度のように中国のインターネット企業に「日本でも勝算あり」と思わせてしまう今の日本のインターネット業界の国際競争力は憂うべきではないかと思う。

■漢字圏の魅力?

百度は今や検索サイトとしては世界第3位の地位を占めている。それはひとえに人口の多い中国語圏をターゲットとしてきたことにより、中国国内でしか事業をしていなかったのに世界3位のポジションを獲得した。日本進出は百度とっては初の海外進出となるが、百度が日本を最初の進出先としたのは、漢字圏であることが一つの理由である。日本は人口にしてみるとたったの一億人強の国であり、ユーザー数という観点では英語圏の人たち向けに英語でのサービス開始を行う方がポテンシャルは高い。ただ、百度にとっては英語圏はそれなりにハードルは高いということだと思う。

日本のインターネット企業だと、サービスの言語が日本語であるため、おのずと市場規模は一億人強の人口を相手にするしかない。しかし、中国企業にとっては十億人以上の人口を対象に事業を開始し、日本進出は、その十億人以上の人口に、プラス一億人するような感覚で進出できてしまう。もちろん、同じ漢字圏とは言えども、中国語と日本語は全く異なる言語であり、そう簡単に中国企業が日本語市場で絶大なシェアを取れるとは思えない。しかし、中国の一人当たりGDPは日本のそれに比べるとまだ小さいが、いかんせん人口が多いので、全部を束ねるとその経済的影響力は大きく、日本事業をしばらく赤字にしておいても、中国での黒字で対応可能という日は早晩やってくる。

■百度の次は?

中国企業にとって日本が漢字圏なので進出しやすいとすれば、今後は百度に続いて様々なインターネット企業が日本進出を目指すと思われる。特に、検索の次に魅力度が高いのはECサイトである。先日ヤフージャパンとアメリカのイーベイの提携が発表されたが、日本に居ながらにして米国のイーベイでの商品を購入できると、利用者は内外価格差を享受することができるようになる。もし、中国のEC企業が日本上陸を果たせば、中国で販売されている安価な商品を日本人がオーダーするという状況も作りえる。百度の場合は、サービスが日本人の間に浸透するには、検索の精度という比較的高いハードルが待ち受けるが、ECの場合は「価格が安い」という強い訴求力を持つことで、受け入れられ度合いは百度よりも早い可能性が高い。

日本ではいわゆる伝統的なモノづくり産業において中国脅威論が巻き起こっているが、インターネット業界も安穏としている余裕はない。中国企業は人口面では十分にグローバル企業であり、そのグローバル企業に伍していけるような強いネット企業を日本国内に創出しないことには、日本のインターネット業界がウィンブルドン化する日も遠くはない。マイクロソフトのヤフー買収提案に対して、うまくいく、いかないの議論をしている場合ではなく、日本国内でこそインターネット業界内のM&Aを加速させて、グローバル競争に勝てる企業を作る必要がある。
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