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「アサヒ」の記者へ、「アベ」の恫喝訴訟。結審の結果。(上)

「アサヒ」の記者へ、「アベ」の恫喝訴訟。結審の結果。(上)
"Stop Authority !" (制作:池野 徹) 写真一覧(2)
【PJ 2008年01月29日】− 2007年3月25日のテレビ朝日、田原総一郎の「サンデープロジェクト」で、朝日新聞編集委員である山田厚史さんが「日興證券には、安倍事務所にすごく強い常務がおられて、その人が今度、これをやって将来社長だなんていう噂がね、ありますよ」と発言をした事をめぐって、安倍晋三前首相秘書3名がこれを名誉棄損だとして提訴、損害賠償「3476万円」の支払いと「謝罪広告」掲載を求めた事件の第5回公判が1月25日、東京地裁の大法廷103号で行われた。

 この日が結審となる緊張感のもとに、100名近くの支援者が法廷に参列した。最終準備書面上で、原告側のビデオの写しの言葉の不備を被告側から指摘した。裁判官は、両者の最終陳述の有無を確かめ、被告人の山田厚史さんから、最終弁論、被告陳述が次のように述べられた。

 「裁判が結審するに当たり、被告として、申し上げさせていただきます。私は、経済記者として、金融、国際経済などを担当し、今年の1月1日で朝日新聞を定年退職しました。37年間の記者生活を通じ、新聞は社会にどう向き合えばいいのか、考え続けてきました。記者とはいえ会社員です。面倒な仕事や手間のかかる取材は避け、つつがなくサラリーマン人生をおくる、というのも一つの選択ではありました。記者クラブという特権的な仕事場に身を置き、持ち込まれた情報を過不足なく記事にする、ということもやって来ました」

 「しかし、世界を見渡せば、ジャーナリストという職業はリスクと向き合う仕事です。昨年も多くの記者が命をおとしました。安全な場所に身を置いて高見から社会を語る、ということが可能である日本の職場環境は恵まれていると思っています。そうした環境は、記者が安逸な仕事をするためにあるのではないはずです。新聞は社会に対し、いま何が考えるべき課題かを提起することが社会的責任であると思います。時としてその『問題提起』が反発を招くこともあります。それでも一歩前に出て発言することが記者の仕事ではないでしょうか」

 「この裁判の底流にある『日興コーディアル証券の粉飾決算』は、町田徹というジャーナリストの勇気ある取材で明らかにされた事実です。彼は日本経済新聞でワシントン特派員を務めた有能な記者でしたが、『書くべきことを書きたい』として退社し、フリージャーナリストになって仕事をしています。 町田が『月刊現代』の05年12月号で、日興コーディアルの疑惑を書かなかったら、日興の経営陣は責任を取ることもなく、何もなかったかのように不正は隠蔽されていたでしょう。たった一人の記者が不正を暴き、国会や東京証券取引所を動かしたのです」

 「正直言って、大手のメディアは無力でした。ねばり強く取材をつづける町田には、どんどん内部情報が寄せられ、深みのある記事が連発されましたが、証券取引所や検察庁の出方をうかがっていた多くのメディアは、日興が自ら決算を訂正するまで、粉飾に踏み込んだ記事にできませんでした。無難な『発表待ち』の報道姿勢が、リスクを取るフリージャーナリストの『調査報道』に破れた出来事でした」

 「テレビ朝日の報道番組サンデープロジェクトから『会社の謝り方というテーマで番組を作りたい』という依頼があったのは、事件が山をこえたあとのことでした。日興コーディアルは民放の有力スポンサーであるため、事件を正面から取り上げにくい、という話は以前から聞いていました。『謝り方』というオブラートにくるんで疑惑を提示しようとするスタッフの思いに共感し、出演を承諾しました」

 「日興は決算の誤りを認めたとき『一人の社員がミスをしたためだ』と経営責任にほうかむりして切り抜けようとしたのです。 後に第三者機関によって「組織的不正」が明らかにされましたが、行政罰は課徴金という、甘いものでした」 

「アベチャン アキラカ アッカンベー」

【つづく】

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パブリック・ジャーナリスト 池野 徹【 千葉県 】
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「アサヒ」の記者へ、「アベ」の恫喝訴訟。結審の結果。(上)
"Yamada-san"(撮影:池野 徹)
   
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