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【サムライ通信】岡田ジャパンの船出

 昨年11月、グラスゴーでオシム氏が病に倒れたという報を聞いた。それから約3か月が過ぎ、日本代表は岡田武史監督の元、1月26日対チリ戦で、初陣を迎える。2月6日にワールドカップアジア予選の初戦が控えることもあり、監督就任までの時間はわずかなものとなった。昨年中に一度代表合宿を行ったが、今年1月15日の指宿合宿からが、本格始動ということになるだろう。

 「まだ10日ほどしかやっていないから」と1月25日の練習後、遠藤保仁は話している。もちろんその言葉は、準備時間の短さを意図している。そのうえ、シーズンオフ明けという現状もある。
 「今から、フルコンディションにしてしまうと長いシーズン持たない」と話すベテラン選手も少なくないし、彼らの気持ちも理解できる。そういう中で10日間、ハードな合宿を経た代表選手たちのコンディションは、万全とは言いがたいだろう。

 岡田監督は就任直後には、オシムサッカーを継承するという話も伝え聞いた。しかし、幾らそのスタイルを継承しようとしても、オシムと岡田は違う。同じことをやれるわけではない。

 1月7日、各年代の代表監督が参加したナショナルコーチ会議中、岡田監督は、元ラグビー日本代表監督の大西鉄之祐氏が提唱した“接近・展開・連続”をサッカーにも活かしたいと力説したと言われている。そして、岡田サッカーを示すためにわかりやすいキーワードとして、メディアでも数多く取り上げられているが、果たして、日本代表が世界の強豪と戦う上で有効かは疑問が残る。

 特に“接近”というのは、サッカーでは珍しい考え方だ。相手をも狭いエリアに寄せ付けて、そこから突破するというイメージらしいが、リスクを避けるように相手選手を交わすため、速いサイドチェンジを繰り返したオシム流とは違う。確かに格下相手との試合では有効かもしれないが……。

 また、指宿合宿中4−3−3という新しいフォーメーションを試しているが、大学生相手の練習試合でも1枚のボランチがボールを奪われ、ピンチを招くシーンもあった。
 「選手間のコミュニケーションというか、選手の声がまだまだ少ない。声を出すほどに選手が新しいサッカーを理解できていないのかもしれない」と話したのは、鈴木啓太だった。まだまだ岡田サッカーがチームに浸透しているとは言いがたいが、それも10日間という時間を考えればいたし方ないのだろう。

 チリ戦前日の練習は約1時間。プレッシングをかけることを意識した守備練習のあと、フルコートでのゲーム形式のトレーニングで終えた。途中メンバー交代もあったが、開始当初のメンバーから予想される先発メンバーは以下の通り。

GK 川口能活(磐田)
DF 加地亮(G大阪)、中澤佑二(横浜FM)、阿部勇樹(浦和)、駒野友一(磐田)
MF 鈴木啓太(浦和)山瀬功治(横浜FM)、大久保嘉人(神戸)、遠藤保仁(G大阪)
FW 高原直泰(浦和)、巻誠一郎(千葉)

 フォーメーションは4−1−3−2。中盤は鈴木の1ボランチ、右に山瀬、左に大久保、真ん中が遠藤という布陣である。「攻撃面については、自由にやる感じになると思う。相手もあることだし、試合中に臨機応変にやれればいい。守備に関してはプレスに行くタイミングや位置など、前のチームとの違いもあるし、そういう部分の確認ができればいい。大事なのは2月6日のタイ戦(ワールドカップアジア予選初戦)。それに向けていい準備となる試合にしたい」と遠藤。

 18人の来日メンバー中6人が20歳以下というチリだが、昨年U−20ワールドカップ3位の実績もある。監督は長くアルゼンチン代表を率いたビエルサ。未知数であることも事実だが、1週間前に来日し、Jヴィレッジで合宿を行っていた彼らのモチベーションが低いわけはない。それでも世界ランク45位(日本は34位)の若き代表に手を焼くわけにもいかない。

 整わないコンディション、浸透し切れていない戦術など、不安も多い日本代表。選手誰もが「勝つことが最も大事」と口を揃えたが、問題点が数多く生またほうが、チーム構築にはプラスになるように思う。「コンディション不良」「時間の少なさ」を言い訳にせず、修正箇所を認識できる、そんな1戦になることに期待したい。

text by 寺野典子

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