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【眼光紙背】性風俗産業にまで波及する原油高の影響

【眼光紙背】性風俗産業にまで波及する原油高の影響
門倉貴史氏

門倉貴史の眼光紙背:第17回

 最近、原油価格高騰の影響によって、ガソリンやティッシュペーパー、ダンボール、マヨネーズなど私たちの身近な商品が次々に値上がりするようになってきた。そして、原油高の影響は、いわゆる「性風俗産業」にも波及しつつある。

 日本の性風俗産業は「百花繚乱」で、様々な業態があるが、原油高の影響を最も強く受けるのは、「ソープランド」の業態だろう。

 「ソープランド」が店舗を円滑に運営していくためには、多額の重油代がかかる。なぜかというと、「ソープランド」は個室付き浴場なので、大量のお湯を沸かさなくてはならず、そのために重油が必要となるのだ。

 原油高の影響が出てくる前までは、平均的な「ソープランド」が毎月支払う重油代は30万円程度であったが、原油高によって、この重油代の負担が大きく膨らんできている。また、原油高に伴う電気代やガス代の値上げも、店舗型風俗にとってはコスト増の要因になる。

 ただし、「ピンクサロン」などのように、基本的に水まわりの設備がない店舗型風俗の場合には、重油を使って大量のお湯を沸かす必要がないため、原油高の影響はそれほど大きくはない。

 もうひとつ、「デリバリーヘルス」に代表される派遣型の風俗産業も原油高の影響を受けやすい業種といえる。これらの産業では、ソープランドなど店舗型の風俗店と異なり、付帯設備を維持するための経費はそれほどかからない。しかしその一方で、女性従業員が出張する際の移動手段として車を使うため、ガソリン代が上昇することによって、コスト負担が増えることになる。

 近年、多くの「デリバリーヘルス」業者は営業エリアを広げて、大都市部から離れた地域にまで女性従業員を派遣するようになってきているので、営業エリアの広い店ほど、原油高騰の影響を受けやすいといえるだろう。

 その結果、一部の店舗型、無店舗型性風俗店の料金には、上昇圧力がかかってきている。これまでは、各店とも原油高に伴うコスト増を経費の節減や労働生産性の上昇によって吸収してきたが、それも限界にきているようだ。一部の「ソープランド」では、入浴料について、消費税を内税方式から外税方式に変更して、実質的に5%の料金値上げを発表するところも出始めている。

 今後も、原油高が続くようであれば、料金の値上げを実施する性風俗店がさらに増えてくることが予想される。
性風俗などのいわゆる欲望産業のサービスは、これがないと生きていけないといった「生活必需品」ではなく、ぜいたく品の部類に入るので、価格が上昇すると、需要が落ち込みやすいという特徴がある(価格弾力性が高い)。
しかも、最近では、男性客のお財布事情も厳しくなっている。賃金が上がってこないうえに、生活必需品の価格が上がっているので、性風俗店を利用する予算枠が小さくなってきているのだ。

 料金の値上げをきっかけにして、日本の性風俗産業の市場規模が縮小に向かう恐れもある。性風俗産業は、90年代以降、日本の景気が低迷するなかにあっても順調に拡大してきたが、これは、新規参入業者が相次いで、業者間の料金の引き下げ競争が常態化し、こうした価格の低下が需要の増加へとつながっていた側面が強いからだ。 


プロフィール:
門倉貴史(かどくら・たかし) 1971年生まれ。エコノミスト。BRICs経済研究所代表。専門は、日米経済、アジア経済、BRICs経済、地下経済と多岐にわたる。オフィシャルサイト:門倉貴史のBRICs経済研究所


眼光紙背[がんこうしはい]とは:
「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
本コラムは、livedoor ニュースが選んだ気鋭の寄稿者が、ユーザが生活や仕事の中で直面する様々な課題に対し、「気付き」となるような情報を提供し、世の中に溢れるニュースの行間を読んで行くシリーズ。バックナンバー一覧
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