サッカー選手にとって、スパイクは一番の商売道具。名声もキャリアも大事な足元にかかっているがゆえに、こだわりは人それぞれのようだ。

 かつてロベルト・バッジョは子息の名前を刺繍していた。現在でいうとMFカンビアッソ(インテル)はベロの部分に「Cucciu(クッチュ)」という自分のあだ名を刺繍しているし、MFデ・ロッシ(ローマ)は、首都のシンボルであるコロッセオを刺繍している。

 ひときわ変り種なのが、ナポリで今季頭角を現したFWラヴェッツィだ。多くの一流選手はメーカーのサポートを受けるが、彼は現在フリー。そこで迷信深いアルゼンチン人の彼は、毎試合スパイクのメーカーを変えるようになった。フィーリングよりハートの問題か。アディダス「プレデター」を履いた次の試合はナイキ「マーキュリー」、また次の試合はロット……。エスカレートした挙句、ラヴェッツィは試合の前後半で別メーカーのものを履くようになってしまったのだ。