【赤木智弘の眼光紙背】第14回:今年も流れは変わらないのか
2008年01月03日11時00分 / 提供:眼光紙背
今回は2008年の初回ということで、今年の展望ということで、この一年、社会の流れがどのようになっていくのかを、少し考えてみたい。
とはいえ、私の結論は「2008年も、去年と全く同じ流れになるんじゃないですか?」という、あまりに投げやりなものにしかなりそうにない。
社会の「同じ流れ」とはどういう流れだろうか?
それは既得権そのものが膨張し、他者との格差をもって、各自の現状が以降も確約された社会に、今後もなっていくであろうという流れである。
よく「格差の拡大」ということがいわれる、そうしたなかで多くの「格差を問題にする人達」は、富裕層が今まで以上に賃金を得る一方で、普通の家族を営んでいるような労働者が搾取されることに注視しがちである。
しかし、この考え方だけでは現状を理解することは難しいと、私は考えている。
富裕層の収入が上がっているのに、普通の家庭の収入は上がらないという「量的な賃金格差」以上に重要な問題とは、賃金そのものの価値が大きく膨れ上がり、もはや、賃金の多少のみで、人間の価値が決定されかねない社会になってしまっているという、言うなれば「量的な賃金格差から派生する、人間の価値に対する差別」という問題である。
かつてライブドアを率いていた堀江貴文は、その絶頂期に「世の中にカネで買えないものなんて、あるわけがない」というセリフを残している。この言葉に対し、当時の世間は「すべてカネで買えるなどと、傲慢極まりない」と、大きく反発した。
しかし、この言葉にはもう少し続きがある。
「カネで買えないものは差別につながる。血筋、家柄、毛並み。世界で唯一、カネだけが無色透明でフェアな基準ではないか」。*1
すなわち「金で買える」というのは、色のつかないフェアな計測基準としてのカネである。そしてこの「カネ」を「賃金」と読み替えれば、まさに賃金は「人間そのものの価値に対する査定」となる。つまり、より多くの賃金を得ている人間は、賃金を得ていない人間よりも偉いのだ。
もちろん、こうして本質の部分を言葉で示されてしまえば、「人間の価値は、賃金のみで決まるのではない」という反論もあるだろう。では、果たして社会は本当に人間の価値を金銭と切り離したところで動いているのだろうか?
年収1000万のサラリーマンと、年収100万円のフリーターを人として平等と見ることは、本当に可能なのだろうか?
家族を養うお父さんと、30過ぎてもフリーターで働いているおじさんは、果たして同じだけの人間としての尊厳を得られているのだろうか?
最愛の正社員層のパートナーと一緒の布団で眠る女性は、リクライニングシートの上で眠るネットカフェ難民と一緒に眠ることができるだろうか?
まさか、ご冗談を。
社会は賃金の多少によって、人間を差別しながら動いているというのは、明白ではないか。
多くの賃金を得るものがより多くを得て、少ない賃金しか得られないものは少ししか得られないというのが、駄菓子屋で買い物をする小学生でも理解しているであろう社会の真実だ。毎日の小遣いが100円の子供と10円の子供は、決して平等ではない。
また、堀江の言葉には、もう一つ注目すべき意味が包有されている。
それは、「カネ」によって、「血筋、家柄、毛並み」といった旧来の基準が相対化されていくことを、堀江は「フェア」だとしている点である。
すべての人間に自由を与えようとするリベラリズムの思想は、多くの権威を相対化していった。たとえばネット上ではネットにアクセスできるすべての人間の言論の機会が保証され、その一方で言論を世に発表する機会を一手に握っていた作家や学者といった文化人の言論は弱体化した。匿名のコメントが言論人にダメージを与えたり、ネット初の小説などがベストセラーになることは、もはや何ら珍しいことではない。
とはいえ、私の結論は「2008年も、去年と全く同じ流れになるんじゃないですか?」という、あまりに投げやりなものにしかなりそうにない。
社会の「同じ流れ」とはどういう流れだろうか?
それは既得権そのものが膨張し、他者との格差をもって、各自の現状が以降も確約された社会に、今後もなっていくであろうという流れである。
よく「格差の拡大」ということがいわれる、そうしたなかで多くの「格差を問題にする人達」は、富裕層が今まで以上に賃金を得る一方で、普通の家族を営んでいるような労働者が搾取されることに注視しがちである。
しかし、この考え方だけでは現状を理解することは難しいと、私は考えている。
富裕層の収入が上がっているのに、普通の家庭の収入は上がらないという「量的な賃金格差」以上に重要な問題とは、賃金そのものの価値が大きく膨れ上がり、もはや、賃金の多少のみで、人間の価値が決定されかねない社会になってしまっているという、言うなれば「量的な賃金格差から派生する、人間の価値に対する差別」という問題である。
かつてライブドアを率いていた堀江貴文は、その絶頂期に「世の中にカネで買えないものなんて、あるわけがない」というセリフを残している。この言葉に対し、当時の世間は「すべてカネで買えるなどと、傲慢極まりない」と、大きく反発した。
しかし、この言葉にはもう少し続きがある。
「カネで買えないものは差別につながる。血筋、家柄、毛並み。世界で唯一、カネだけが無色透明でフェアな基準ではないか」。*1
すなわち「金で買える」というのは、色のつかないフェアな計測基準としてのカネである。そしてこの「カネ」を「賃金」と読み替えれば、まさに賃金は「人間そのものの価値に対する査定」となる。つまり、より多くの賃金を得ている人間は、賃金を得ていない人間よりも偉いのだ。
もちろん、こうして本質の部分を言葉で示されてしまえば、「人間の価値は、賃金のみで決まるのではない」という反論もあるだろう。では、果たして社会は本当に人間の価値を金銭と切り離したところで動いているのだろうか?
年収1000万のサラリーマンと、年収100万円のフリーターを人として平等と見ることは、本当に可能なのだろうか?
家族を養うお父さんと、30過ぎてもフリーターで働いているおじさんは、果たして同じだけの人間としての尊厳を得られているのだろうか?
最愛の正社員層のパートナーと一緒の布団で眠る女性は、リクライニングシートの上で眠るネットカフェ難民と一緒に眠ることができるだろうか?
まさか、ご冗談を。
社会は賃金の多少によって、人間を差別しながら動いているというのは、明白ではないか。
多くの賃金を得るものがより多くを得て、少ない賃金しか得られないものは少ししか得られないというのが、駄菓子屋で買い物をする小学生でも理解しているであろう社会の真実だ。毎日の小遣いが100円の子供と10円の子供は、決して平等ではない。
また、堀江の言葉には、もう一つ注目すべき意味が包有されている。
それは、「カネ」によって、「血筋、家柄、毛並み」といった旧来の基準が相対化されていくことを、堀江は「フェア」だとしている点である。
すべての人間に自由を与えようとするリベラリズムの思想は、多くの権威を相対化していった。たとえばネット上ではネットにアクセスできるすべての人間の言論の機会が保証され、その一方で言論を世に発表する機会を一手に握っていた作家や学者といった文化人の言論は弱体化した。匿名のコメントが言論人にダメージを与えたり、ネット初の小説などがベストセラーになることは、もはや何ら珍しいことではない。
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