07年総括コラム〜〜米女子ツアー編その3 上田桃子の将来性〜〜
来季から米女子ツアーには宮里藍に加え、上田桃子が参戦する。宮里と上田。どちらも勝ち気な性格なのはアスリートとして当然だが、この2人の燃え滾る闘志の表現の仕方はまったく正反対で対照的だ。宮里は感情を露わにしないポーカーフェースで優等生発言。対する上田はエモーションをそのまま表し、単刀直入にモノを言う。そんな性格上の違いは、おそらく米ツアーでの成績やパフォーマンスにも違いを生み出すだろう。米ツアー2年目の宮里は今季半ば以降、スランプに陥っていったが、その場で感情を爆発させて鎮火させるタイプの上田は、宮里のような精神面に起因するスランプには陥りにくい。ただし、スランプの原因は複雑ゆえ、上田の場合は技術面からの不調に陥らないよう注意する必要性が大である。
今季の不調に陥る以前の宮里は、爆発力はないが安定性は高いゴルフを披露していた。米ツアー選手の中で技術的に突出したものは感じられなかったが、全体的に磨き抜かれた感はあった。一方の上田は、世界レベルから見ると安定性や洗練性にやや欠けるものの、宮里にはない爆発力を抱いている。江連コーチも「破壊力がある。ショットはポーラ・クリーマーやナタリー・ガルビスにも負けてない」。つまり、上田のゴルフはパワフルなのだ。技術面にパワーがあれば、精神面の多少のぐらつきもカバーできる。その意味で、上田には不思議な強さが溢れている。
ただし、世界の舞台である米ツアーでは勢いやパワーだけでは通用しない。最大の問題は、やはり技術上の洗練性だ。上田は今年、4日間を戦い抜いた全英女子オープンで、こんなことを言っていた。「ラフからでも上げて止めるか、スピンで止めるかしかなくて、それがいいんだと思っていたけど、予想以上にスピンショットが使えないコースだった」。グリーンを狙うショットにバリエーションがない証拠だ。アプローチのみならず大きなショットに関しても「やったことがないショットで戦わなければいけないコースだった。もっとバリエーションを増やさないといけない」。上田の課題は「日本用ショット」から「世界用ショット」へと幅を広げることだ。
しかし、世界の壁にぶち当たったときも、上田は「悔しいけど、生かすしかない」と素直に言った。「悔しい」という感情をそのまま言葉にして吐き出せる上田は、その悔しさを自分だけで抱え込まず、公言することで自らのモチベーションを高める術を知っている。それは、宮里との最大の違いであろう。
ただし、宮里のこの2年間の米ツアー経験は、これから挑戦する上田を明らかに上回っている。英語やアメリカの生活習慣へ適応力が上田にどれぐらいあるかという問題も、彼女の成績に大きな影響を及ぼす。いろいろな要素が絡まりあって出てくるのが結果だ。上田の08年は蓋を開けてみるまでわからないが、宮里と上田がいいライバル同士となって切磋琢磨してくれれば、日本の女子ゴルフの未来はさらに明るくなる。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)
ただし、世界の舞台である米ツアーでは勢いやパワーだけでは通用しない。最大の問題は、やはり技術上の洗練性だ。上田は今年、4日間を戦い抜いた全英女子オープンで、こんなことを言っていた。「ラフからでも上げて止めるか、スピンで止めるかしかなくて、それがいいんだと思っていたけど、予想以上にスピンショットが使えないコースだった」。グリーンを狙うショットにバリエーションがない証拠だ。アプローチのみならず大きなショットに関しても「やったことがないショットで戦わなければいけないコースだった。もっとバリエーションを増やさないといけない」。上田の課題は「日本用ショット」から「世界用ショット」へと幅を広げることだ。
しかし、世界の壁にぶち当たったときも、上田は「悔しいけど、生かすしかない」と素直に言った。「悔しい」という感情をそのまま言葉にして吐き出せる上田は、その悔しさを自分だけで抱え込まず、公言することで自らのモチベーションを高める術を知っている。それは、宮里との最大の違いであろう。
ただし、宮里のこの2年間の米ツアー経験は、これから挑戦する上田を明らかに上回っている。英語やアメリカの生活習慣へ適応力が上田にどれぐらいあるかという問題も、彼女の成績に大きな影響を及ぼす。いろいろな要素が絡まりあって出てくるのが結果だ。上田の08年は蓋を開けてみるまでわからないが、宮里と上田がいいライバル同士となって切磋琢磨してくれれば、日本の女子ゴルフの未来はさらに明るくなる。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)