中田浩二「代表入りは自分の成長のあとについてくるもの」
2007年12月19日00時57分 / 提供:livedoor スポーツ
バーゼルではリーダーシップも要求されている(Photo:YUTAKA/アフロスポーツ) 写真一覧(3件)
年末年始スペシャルインタビュー 中田浩二選手(FCバーゼル)
トレーニングを終えた中田浩二がスタジアム内のレストランに姿を見せた。店内にいたクラブスタッフと談笑。チームメイトや監督ともにこやかに話している。鹿島アントラーズからフランスの名門マルセイユへ移籍。06年1月からバーゼルに所属。レギュラーDF(センターバックや左サイドバック)として、公式戦出場数は80試合を数えた。06−07シーズンの公式年鑑の表紙も飾り、チームの中心選手として活躍している。今季も10月21日のカップ戦で負傷するまで、全試合に出場。
「いかに自分をアピールするのかっていう部分で、マルセイユ時代はなかなか上手くできなかった。その経験もあったから、バーゼルではどんどん自分からチームの輪の中に入っていこうとしました。バーゼルの町ではドイツ語が主な言語なんですが、FCバーゼルの選手は多国籍なので、チーム内での会話は英語。そういう意味でも入りやすい環境だったんだと思います」
とはいえ、中田選手には通訳もいない。英語とて流暢というわけではないが、積極的な姿勢が功を奏しているようだ。
「日本と欧州とではサッカーも違います。そして考え方も違う。例えばこちらでは、選手同士、言いたいことをしっかりと言い合う。時には厳しいことも言うし、ケンカっぽくもなりますね。でもそうやって自分のものを出していく、そういうコミュニケーションなんです。最初は言っていいのかわからなかったけど、チームメイトからガンガン言われるので(笑)。こちらも言うしかないだろうって。たとえ単語でしか伝えられなくても思ったことを言うことが大事。日本では言いにくいことを言えず、自分で抱えてしまうけれど。
日本に居た頃から、ヨーロッパのサッカーはテレビでよく見ていました。でも、テレビで見ているだけじゃわからないことが、本当にたくさんあり、それを毎日肌で実感しています。ヨーロッパでプレーしたからといって、技術的な伸びはわずかだと思います。でも“経験”という部分では日本でできないことを積み重ねられた。それを日本のチームや若い選手へ還元したいと考えています」
元々のポジションは守備的MFボランチだが、DFなど複数のポジションをこなすユーティリティさと高いバランス感覚や戦術眼などが中田選手の武器である。
「ヨーロッパには足が速い、背が高い、1対1が強いなど強烈な個性を持った選手が多いけれど、僕はそういうタイプではありません。逆にそういう選手だからこそ、監督が使いやすいのかなって思います。実際いろんなポジションで起用されていますからね(笑)。去年はセンターバックとしてプレーし、1対1での勝負という部分では成長できた。そうやって自分の足りないところを伸ばしつつ、能力の輪を大きく太くしていきたい。それは今まで同様に今後の目標でもあるし、永遠の課題でもあるんだと思います」
そのために選んだ欧州移籍。今後も自身の成長のために必要な選択をしていきたいと話す。そして、その結果が日本代表での活動へと繋がっていくのだと。
「どんなときも日本代表でプレーすることを目指しています。でもそれがすべてのモチベーションではない。“代表入り”のためだけに海外へ移籍することも、帰国を選択することもありません。代表入りは自分の成長のあとについてくるものだから」
18歳の頃からユース、五輪と代表を経験し、00年以降はA代表不動の存在。体になじんだ日の丸だが、06年ドイツワールドカップ以降、1度しか招集されていない。寂しさもあるだろうが、それを感じさせない中田選手。
「ヨーロッパで身につけた様々な経験の中で、自分の中でのサッカーというものも変わってきました。そして、新しいモチベーションもあります。自分の経験を日本に還元することも含めて、いろんなチャレンジをしていきたいですね」
若い選手が多いこともあり、指揮官は現在28歳の中田選手へ“チームリーダー”としての仕事も求めている。
「監督からは『若い選手を巧く使って欲しい』ということを言われます。僕は、年齢的にも上のほうですし、それなりの経験も積んでいるわけですから。そう意識することもなく、自然とそういう仕事ができていると思います」
10月末に痛めた太もももすでに完治。首位を走るリーグ戦だけでなく、UEFAカップという欧州の戦いでの活躍へ期待が集まる。
「昨シーズンはスイスカップに優勝できました。でも2シーズン続けて、リーグ戦は2位。今年こそはリーグタイトルをとりたい」
リーグ優勝を飾れば、チャンピオンズリーグ出場権を手にする。ステップアップのためのチャレンジ。チャンスが次々と中田選手の前に訪れる。それを経験した彼の成長にはまだまだ目が離せない。
文/寺野典子
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