みじめな「アル中」−「独居房の鉄格子・二重扉を蹴り上げる毎日」=三重・伊勢
2007年12月14日14時07分 / 提供:PJ
みじめな「アル中」−5年間の体験を通して、今になって語れる流転=三重・伊勢からのつづき)昭和59年ごろのクリスマス前夜だったと記憶している。「アル中(アルコール中毒症)」の私は無銭飲食で捕まり、パトカーで三重県津市高茶屋小森にある県立高茶屋病院(現在の心の医療センター)に強制入院させられた。門があり玄関を見ると2階建ての古びたコンクリートの精神科専門病院が建っていた。見るからに外観が閉鎖的で陰気で一般の人には余り縁がない所だ。聞くところによると、病院開設が昭和25年だという。“俺の人生もとうとうこれで終わりだ幕引きだ!”と思ったのを覚えている。
「独居房とはこんな所だ!」の模様を描いて見る。警察と病院で話がついているらしくすべてが事務的に進められ、一般病棟と隔離された1階建ての病棟、いわゆる「極悪アル中病棟」で小3畳の鉄格子の部屋にぶち込まれた。2〜3日経(た)っているので酔いは覚めている。疲れていて寝こけていたらしく 、寒いので目が覚めたら夜中だった。段々、今日一日の記憶が甦(よみがえ)って来た。それにしても寒い。暖房もない。薄汚れた汚い敷物と前の人が使用していたネズミ色の毛布が一枚あるだけ。薄暗い裸電球。床が斜めになっている。なぜ斜めになっているかが後で分かった。水洗トイレ。太い鉄格子。このような部屋が5室あった。5室を囲むようにして看護人(官護人)が見回る通路がある。
看護人(官護人)室、つまりはナースセンターがある1号、2号は比較的極悪「アル中」でない人が入れられている。自分は超極悪「アル中」だから中央の3号、続く4号、5号は「アル中」のなかでも高級(?)な人・・・と分類されていた。ここに落ちてくる「アル中」はヤクザや泥棒、詐欺師、世間でまともに扱ってくれない人が多かった。・・・・ゴミ集団同様の扱いです。独居房はそのものずばり言うと冷蔵庫の中に一人で閉じ込められたようなもので、犬、猫でもこんな扱いはされない。
一般病棟(精神患者)では一日の生活が正確にスケジュールされていて、規律ある営みが約束されている。太陽も、大気も、自分のもの、患者は院内に限り戸外生活は自由。患者全員が回復に向かい頑張っている。自分のいる隔離部屋5室は世間とは無関係の深海の泥沼だ。四六時中監視されていて全く自由がない。時間だけはやたら多くある。
独居房の朝起きて夜寝るまでの生活はというと。自分以外の4人は朝6時におきて部屋の掃除、看護人に受けがよい奴は部屋から出て看護人の通路まで掃除することができる。看護人の労役を「アル中」らにやらせているわけだ。部屋の中でラジオ体操日課。7時に食事が配られてくる。5人の中でも成績のよい自分以外の4人は部屋の外に出て食事ができた。朝10時にお風呂(3日間隔で10分)。12時昼食。4時夕食。9時就寝。
自分は極悪「アル中」だから看護人から話もしてくれない。話しかけても無視される。診察も2カ月位無かった。1号・2号は隣同士だから会話をしているらしく聞こえてくる。4号、5号も話をしている。自分は放置されて会話なし状態。
病院内の自分の生活と心理模様を描きたい。昭和59年12月23日ごろ、隔離病棟へ強制入院した夜は、寒さのために夜中に目を覚ました。酔いも覚めて2−3日経っていた。酒が切れて身体から抜ける寸前に「アル中」は「幻覚症状」におちいる。ここから書きます事は「アル中」の病気になっているほとんどの人が体験する事だ。正常にお酒を楽しんで呑んでおられる方には経験がないと思いうので、「アル中」の病状を知っていただきたい。寝汗をかいたり幻覚の気配がある方は「アル中」になりかけているので要注意。
私の幻想と幻覚の体験。「妄想」と「幻覚」があるが、自分の場合は妄想とは「明らかにありえない考えを正しいと思い込むこと」だった。しかし、これは私たちの経験上珍しいことではない。単なる思い込みは誰にでもあるし、現在正しいといわれている知識でも、やがては誤りであることが証明されるかもしれない。
また生活文化の中には、はるか以前から脈々と受け継がれてきた迷信もある。妄想には、誤りを訂正できない思い込みと、強烈な不安感があった。また、妄想は個人的体験から来る場合がある。妄想には個人差があり、自分は周囲から迫害されていると思い込む事が頻発して苦しめられた。大発明をしたとか、大金持ちで何でもできると思い込んだ。自分がある事件に絶対に関(かか)わっていると思い込み、罪を犯したと信じ込んだ。 妻が不倫をしていると思い込む。自分が考えていることが周囲に漏れる、あるいは自分以外の考えを吹き込まれる、思考を乗っ取られるのでないかと思い込んだ。
幻覚では、幻視よりもむしろ幻聴の形をとることが多かった。誰か知らない人の声が聞こえる。 話しかけてきたり、自分を批判したり、命令したりする。 たとえ遠方であっても、声はきちんと聞き取れる。
小3畳の鉄格子の室(へや)で1日目の夜を迎えた夜中、寒さで目が覚めて、幻想と幻覚にさい悩まされて苦しんで、地獄へ落ち込んでく自分があった。親も、兄弟も、親せきも誰にも会えない年末を過ごさねばならない。娑婆(しゃば)ではジングルベルの音楽が鳴り響き楽しいだろうナーと思えてくる時、頭を何度となく鉄格子にぶつけて血だるまになり、蹴(け)り上げるものだから足の爪(つめ)が剥(は)がれて血が噴出しても看護人は来てくれなった。
頭のすべてが狂っている自分は現実と幻覚・幻想に悩まされているから、無意識状態で暴れているので看護人も手がつけられない・・・。【つづく】
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「独居房とはこんな所だ!」の模様を描いて見る。警察と病院で話がついているらしくすべてが事務的に進められ、一般病棟と隔離された1階建ての病棟、いわゆる「極悪アル中病棟」で小3畳の鉄格子の部屋にぶち込まれた。2〜3日経(た)っているので酔いは覚めている。疲れていて寝こけていたらしく 、寒いので目が覚めたら夜中だった。段々、今日一日の記憶が甦(よみがえ)って来た。それにしても寒い。暖房もない。薄汚れた汚い敷物と前の人が使用していたネズミ色の毛布が一枚あるだけ。薄暗い裸電球。床が斜めになっている。なぜ斜めになっているかが後で分かった。水洗トイレ。太い鉄格子。このような部屋が5室あった。5室を囲むようにして看護人(官護人)が見回る通路がある。
看護人(官護人)室、つまりはナースセンターがある1号、2号は比較的極悪「アル中」でない人が入れられている。自分は超極悪「アル中」だから中央の3号、続く4号、5号は「アル中」のなかでも高級(?)な人・・・と分類されていた。ここに落ちてくる「アル中」はヤクザや泥棒、詐欺師、世間でまともに扱ってくれない人が多かった。・・・・ゴミ集団同様の扱いです。独居房はそのものずばり言うと冷蔵庫の中に一人で閉じ込められたようなもので、犬、猫でもこんな扱いはされない。
一般病棟(精神患者)では一日の生活が正確にスケジュールされていて、規律ある営みが約束されている。太陽も、大気も、自分のもの、患者は院内に限り戸外生活は自由。患者全員が回復に向かい頑張っている。自分のいる隔離部屋5室は世間とは無関係の深海の泥沼だ。四六時中監視されていて全く自由がない。時間だけはやたら多くある。
独居房の朝起きて夜寝るまでの生活はというと。自分以外の4人は朝6時におきて部屋の掃除、看護人に受けがよい奴は部屋から出て看護人の通路まで掃除することができる。看護人の労役を「アル中」らにやらせているわけだ。部屋の中でラジオ体操日課。7時に食事が配られてくる。5人の中でも成績のよい自分以外の4人は部屋の外に出て食事ができた。朝10時にお風呂(3日間隔で10分)。12時昼食。4時夕食。9時就寝。
自分は極悪「アル中」だから看護人から話もしてくれない。話しかけても無視される。診察も2カ月位無かった。1号・2号は隣同士だから会話をしているらしく聞こえてくる。4号、5号も話をしている。自分は放置されて会話なし状態。
病院内の自分の生活と心理模様を描きたい。昭和59年12月23日ごろ、隔離病棟へ強制入院した夜は、寒さのために夜中に目を覚ました。酔いも覚めて2−3日経っていた。酒が切れて身体から抜ける寸前に「アル中」は「幻覚症状」におちいる。ここから書きます事は「アル中」の病気になっているほとんどの人が体験する事だ。正常にお酒を楽しんで呑んでおられる方には経験がないと思いうので、「アル中」の病状を知っていただきたい。寝汗をかいたり幻覚の気配がある方は「アル中」になりかけているので要注意。
私の幻想と幻覚の体験。「妄想」と「幻覚」があるが、自分の場合は妄想とは「明らかにありえない考えを正しいと思い込むこと」だった。しかし、これは私たちの経験上珍しいことではない。単なる思い込みは誰にでもあるし、現在正しいといわれている知識でも、やがては誤りであることが証明されるかもしれない。
また生活文化の中には、はるか以前から脈々と受け継がれてきた迷信もある。妄想には、誤りを訂正できない思い込みと、強烈な不安感があった。また、妄想は個人的体験から来る場合がある。妄想には個人差があり、自分は周囲から迫害されていると思い込む事が頻発して苦しめられた。大発明をしたとか、大金持ちで何でもできると思い込んだ。自分がある事件に絶対に関(かか)わっていると思い込み、罪を犯したと信じ込んだ。 妻が不倫をしていると思い込む。自分が考えていることが周囲に漏れる、あるいは自分以外の考えを吹き込まれる、思考を乗っ取られるのでないかと思い込んだ。
幻覚では、幻視よりもむしろ幻聴の形をとることが多かった。誰か知らない人の声が聞こえる。 話しかけてきたり、自分を批判したり、命令したりする。 たとえ遠方であっても、声はきちんと聞き取れる。
小3畳の鉄格子の室(へや)で1日目の夜を迎えた夜中、寒さで目が覚めて、幻想と幻覚にさい悩まされて苦しんで、地獄へ落ち込んでく自分があった。親も、兄弟も、親せきも誰にも会えない年末を過ごさねばならない。娑婆(しゃば)ではジングルベルの音楽が鳴り響き楽しいだろうナーと思えてくる時、頭を何度となく鉄格子にぶつけて血だるまになり、蹴(け)り上げるものだから足の爪(つめ)が剥(は)がれて血が噴出しても看護人は来てくれなった。
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