【独女通信】「愛?」それとも「暴力?」 デートDVに気づかぬ独女
2008年01月05日18時00分 / 提供:独女通信
とマミさんは振り返る。今は主婦として幸せに過ごしているが、独身時代の恋人に受けた暴力の記憶をぬぐいさることができないでいる。恋人は会社の上司で4つ年上だった。少し強引ではあったが、そこが男らしく感じられ、他の女性にもモテていたということだ。「街中でチンピラみたいな人に絡まれたときも、にらみ合いで追い払えるほど迫力のある人でした。暴力沙汰もたまにあったけど、女性には優しいと思っていたんです」。
最初のデートの日、ベッドに誘われたが断った。コンドームを持っていないと言えば、我慢してくれた。その優しさが嬉しかった。しかし「恋人同士」という関係をお互いに認知したころから、相手の態度が少しずつ変った。
「男性が混じる飲み会に行くと、機嫌が悪くなって怒鳴るんです。胸の開いた服も、化粧も、アクセサリも禁止。そのうち彼の機嫌を損ねると壁にぶつけられたり、床に投げられたりと露骨な暴力がはじまりました。暴力よりも一番傷ついたのは私のことをウジムシって呼ぶことでした」。
デートDVという言葉がある。結婚していない恋人同士間の暴力のことだ。10代から20代のとき、交際相手から、身体的暴力・心理的攻撃・性的強要のいずれかの行為を経験した人は23%にのぼる(内閣府平成17年度調査)。しかし、これまで「DV」といえば配偶者間のもので、独身者間のDVはこれまであまり重要視されないでいた。「既婚者と違い、嫌なら別れられる」という理由からだ。では、体中をアザだらけにしながら、マミさんはなぜ別れなかったのだろう。
「別れ話を切り出したら何されるかわからない。彼の逆ギレが怖い。そういう気持ちももちろんありました。でも、逃げられなかったのではなくて、逃げなかったのかとも思うんです。愛しているから、お前だけが可愛いから、殴るんだって言うんです。ウジムシなんて呼んでおいてそんなの変だって思うんですけれど、散々暴力を振るわれたあと優しくされると『こんなダメな私を愛してくれるのか』なんて思ってしまうんです」
散々暴力を振るったあと、恋人は脱力したマミさんを抱いた。気力を無くしたマミさんは彼にされるがままになり、避妊を懇願することもできない。しかし彼の子どもを流産した日、ようやく別れを決意できたという。それから数年がたち、今は恋人からの暴力に悩む知り合いの相談に乗ることも多くなった。
「最近は携帯電話を使った束縛も多いようです。男性名のアドレスを勝手に消されたり、GPSを使ってどこにいるのかをすっかり把握されたりね。度を越えた束縛だと指摘しても、愛しているからと繰り返されると、ヤキモチのひとつも焼かれないよりマシかと思ったりするそうです」
内閣府が今年の11月「女性に対する暴力に関するシンポジウム企画委員会」で発表した「若い世代における恋人からの暴力」に関する調査報告書」によると、「電話に出なかったり、メールにすぐ返信を出さないと怒られた」と回答したのは、女性よりも男性の方が多かったが、「専用の端末をもたされた」「携帯電話をわざと壊された」「カメラ機能で裸の写真を撮られた」「GPS機能で居場所を確認された」と答えたのは女性ばかりだった。
しかし、女性だけに顕著な被害はやはり性的行為に関することだ。「避妊に協力してくれない」恋人を持った女性は実に12.3%。「性的行為を強要」された女性は9.2%だ。束縛はするが無責任。それがDV加害者の特徴だとマミさんは言う。「無責任というのは、結婚しないってことじゃないんですよ。子どもができたとき、DVの加害者に多い反応は「君のしたいようにすればいい」といった感じ。これは一見優しいようで、実は決断を女性にまかせて、あとで『お前が結婚したいって言ったんだろう』『お前が中絶を選んだ』と言うのです。でもやはり『産んでいいって言ってくれた』と喜ぶ女性も結構いるんですよね」
強引なこと、嫉妬すること、束縛すること。それらを愛情だと喜ぶ女性も多く、確かにそういう一面もある。しかし、そこに「脅威」を感じたらもうそれは“暴力”だ。最後にマミさんは読者にこう伝えたいと話した。「愛されていると信じている人に恋人のDVを認めさせるのは難しい。私もそうでした。でも周囲に恋人によるDVに悩んでいる人がいれば、あきれずに繰り返し相談に乗ってあげて欲しいんです。いつか目が覚める日がきっと来ますから」(オフィスエムツー/真鍋しまこ)
■関連リンク
・女性のためのDV相談室
・内閣府男女共同参画局
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