前へ前へと出続けた長南。だが、パリジャンの相次ぐテイクダウンに最後は判定負けを喫した

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現地時間11月17日(土)、アメリカ・ニュージャージー州ニューアークのブルデンシャル・センターで開催された『UFC78 VALIDATION』。UFC初登場となった“ピラニア”長南亮は、ウェルター級の雄、カロ・パリジャンと対戦した。

長南のセコンドには、ダン・ヘンダーソンとジェイソン・“メイハム”・ミラー。テイクダウンと寝技のスペシャリストがついたことで、パリジャンの投げ、そして、下になった後の対策が練られてきたことが伺える。

開始から、ジャブ、左のインローを放って、積極的に前へ出る長南だったが、パリジャンは長南の蹴り足をすくって一気にテイクダウン。ガードポジションから、パウンドを落として、パスガードを狙うもブレイク。スタンドに戻ると、今度は、長南がワンツーからミドル、更にはジャブ、アッパーと距離を詰めるも、パリジャンは巧みに体勢を入れ替え、長南をケージへ押し込み、勢いのある両足タックルでそのまま抱え上げるや再びテイクダウンに成功する。

しかし、長南は下からの蹴り上げで、パリジャンを跳ね上げると、その隙に立ち上がり、そのまま、手を休めず追撃の膝蹴り。長南はジャブのけん制から、ローキックを放つも、パリジャンはまたしても、その蹴り足をすくってテイクダウン。今度は、飛び込むようなパウンドを放っていく。

2R、パリジャンの突進を膝蹴りで迎撃した長南。ケージ際へ押し込まれても、パリジャンの側頭部を突き放しては、ワンツーを繰り出す。また、次の展開では豪快な右フックを披露。当たりこそ浅かったが、その勢いでパリジャンのバランスを崩した。

が、パリジャンに度々インローをすくわれてはテイクダウンを許してしまう長南。その度に抜群のタイミングで立ち上がってみせるも、2R終盤にはスタミナの消耗から集中力が切れたのか、膝蹴りをキャッチされると押し倒されるようにグラウンドへ。パリジャンのヒジ打ちを連続して被弾、この試合最大の劣勢を迎えるが、ブザーに救われ勝負は3Rへ。

3R。鋭いジャブから、パリジャンを前に左へと旋回する長南。ここでパリジャンがローブロー。長南は一瞬苦しそうな表情を浮かべたが、10秒程度のインターバルで「オッケー」と叫び、気合いを入れ直して試合再開。

長南は、ストレート2発から、ヒジを放つもパリジャンはケージを背に、長南に組み付くと、その両脇を差して体勢を入れ替え。足を払ってテイクダウンからパウンドを落とす。

しかし、パリジャンがマウントへと移行した瞬間、長南がマウント返しに成功。綺麗に引っくり返すも、パリジャンは見事なガードワークから、長南に攻め手を与えず立ち上がる。

それでも、スタンドでは、パリジャンにプレッシャーをかけていく長南だったが、3R通して試合の流れを変えるような有効打は生まれず、最後は、オクタゴンでの経験に勝るパリジャンが判定勝利を飾った。

ケージに押し込まれた際のテイクダウンの防御、これは十分に練習の成果が見られたが、対戦相手のパリジャンが、UFCに多いレスリング出身、または打撃系ストライカーで、倒れない練習をしてきたファイターではなく、柔道出身で数々の足払いを見せたことが、長南の伸びしろの部分を相殺する格好となった。

と同時に、長南は、パリジャンという世界最高峰UFCウェルター級のトップ選手との戦いでも、下になった際の対処――、距離を作って立ち上がったり、振りの大きなパウンドを食わないガードワークなど、成長のあとが見られたが、逆転を呼び込むまでにはいたらなかった。〔19日10:30追記有〕

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