今週のお役立ち情報
女優三田佳子の次男逮捕! 「母の愛」で、ドラック依存者は救えない。
2007年11月17日10時29分 / 提供:PJ
薬物依存症者家族らの未来に光はあるのか。金銭面でも気力や体力面でも、家族の疲労困憊(こんぱい)は並大抵ではない。警察は相談窓口になっても、依存症の社会復帰を担保する機関ではない。薬物依存症専門医の配置されていない精神病院で、適切な対症療法も保障されない。ましてや、「正業につきさえすれば」とか、「わたしたちの愛で直したい」という錯覚の中で、多数の依存者らが、「クスリ漬けのまま」亡くなるというのが現実なのだ。(撮影・制作:今藤泰資)
高橋裕也容疑者が同容疑で逮捕されるのはこれで3度目である。2度目の逮捕後の2001年、懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を受け、劇作家唐十郎さんが引き受け手になって俳優の道を志していた。だが既にこの時点で、同容疑者の再逮捕を予告していた人物がいた。
「茨城ダルク」の施設長の岩井喜代仁さん(60)である。自身も薬物依存者で覚醒剤を17年間使い続け、売人でもあったその経験から、「成人の上、再犯者としての刑が軽い。いくら親切な知人が引き受け手になっても、完治できないのが薬物依存症の怖さ。再逮捕は時間の問題」と指摘していたのだ。
このころ、わたしたちのNPO法人では、「薬物依存症撲滅講座」を行っていた。茨城県内数10校の中学、高校では、岩井さんの話に耳を立てていたが、一部の母親らから、「こんな講座を開く必要はない」と批判されたこともあった。
ダルクとは(DARC)とは、ドラッグ(DRUG=薬物)アディクション(ADDICTION=嗜癖、病的依存)リハビリテーション(REHABIRITATION=回復)センターの略。覚醒剤、有機溶剤(シンナー等)、市販薬、その他の薬物から開放されるためのプログラムを持つ民間の薬物依存症リハビリ施設のことだ。「茨城ダルク」の場合、現在の入寮者は25名で、年齢は20代がほとんどで、下は15歳から上は52歳まと様々。
使った薬は、シンナー(あんぱん)、覚醒剤(シャブ)、向精神薬(たましゃり)、市販の咳止め(ブロン)、大麻、幻覚剤等で、入寮者のうち約半分が入寮費を親が負担、3割が生活保護(国が負担)、残りは全くお金の払えない人たちを収容している。玄関には「今日1日ハウス」と書かれており、「今日1日だけは薬を使わずに過ごそう」という意味がある。いったん深みにはまった依存者らの行く末は、「一生鉄格子の中(刑務所、精神病院)か、狂死か、自死」と岩井さんは指摘する。
茨城ダルクのホームページには、依存症などについての権威者、斎藤学さん(精神科医、家族機能研究所代表)次のような「家族による問題解決12項」を明らかにしている。
1)本人に関する一切の思い込みを捨て白紙に返る。
2)本人を子ども扱いしない。
3)本人への過度の注意集中を避け、自分自身に注意を向け変える。
4)孤立を避け「家族同士」で集まる。
5)本人に対する脅し、すかしを止める。
6)本人に対する監視的、干渉的振る舞いを止める。
7)本人の不始末の尻ぬぐいを避ける。
8)本人の行動に一喜一憂しない。
9)言ったことは実行し、できないことは言わない。
10)適切な機会をとらえて、本人に問題点を直視させる。
11)本人の暴力に屈しない。
12)本人を病院任せにしない。
紙面のつごう上、詳細は「茨城ダルク」のHPで検索願いたいが、一般的な社会常識では推し量れない過酷な対処方法が、薬物依存者とその家族に求められているのだ。
茨城ダルク家族会の様子は、PJ記事として伝えた。金銭面でも気力や体力面でも、家族の疲労困憊(こんぱい)は並大抵ではない。警察は相談窓口になっても、依存症の社会復帰を保障する機関ではない。薬物依存症専門医の配置されていない精神病院で、適切な対症療法は担保されない。
ましてや、「正業につきさえすれば」とか、「わたしたちの愛で」という誤解と錯覚の中で、多数の依存者らが、「クスリ漬けになったまま」亡くなってゆく。厳しい現実を関係者は直視する必要がある。若い恋人が、「私の愛で止めさせる」と意気込んだ結果、双方がドラッグに染まったケースなど、後を絶たない。
元NHKディレクターの高橋康夫氏と幸せな家庭生活を構築し、富も名声の手に入れた女優三田佳子。お気の毒だが、いまさら「私たちの養育方法が間違っていた」と愚痴を言っても結果は出ない。「あの子は、刑罰を受けて当然」であっても、刑務所は医療機関ではない。出所後はまた「同じことの繰り返し」は必至なのである。従前入院していた精神病院の対処方法を再検討し、ダルクなどの専門施設での社会復帰を模索すべきだ。
「海より深い母の愛」が、ドラッグへの「深い傾注」をも絶てるなどと、錯覚してはならない。世間を騒がせたことを悔いるなら、苦悩に満ちた女優三田佳子を、終生演じ続けることこそ王道。それこそが、「世のため、人のため」ではないだろうか。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資【 茨城県 】
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