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【よこ顔】名物講師が菊と人生を語る=秋庭通男さん(下)

2007年11月16日08時05分 / 提供:PJ

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【よこ顔】名物講師が菊と人生を語る=秋庭通男さん(下)
秋庭通男さんは、東京都公園協会の指名講師として、日比谷公園で、「菊盆栽作り」の無料相談をおこなう。同公園で。(撮影:穂高健一、6日) 写真一覧(5件)
(中)からのつづき。菊栽培講師の秋庭通男さんは、長い苦節の人生のなかで、「私には学歴がない。ホームレスでした」とスタートを位置づける。57(昭和32)年に東京・日暮里に店舗兼用住宅を購入。「やっと自分の家をもてたのです。風呂はなかったですが、トイレはありました。うれしかったです」と心境を語る。同時に、花嫁を得たのだ。

 見合いから一週間後に嫁いできた真佐代さんが、「私には勤めの経験がなく、俗にいわれた花嫁修業の身でした。いきなり、開店日のせわしい八百屋しごとから入りました」と、当時の戸惑いを語る。

 夫の通男さんは、朝4時に起きて野菜市場に仕入れに出掛けていた。店舗のほうは夜10時まで営業。片付けが終わるのが夜11時だった。そのうえ、八百屋は年中無休だったという。

 「元旦も休んだことはありません。夫は食事がのどを通ったら、もう働いているひとです。家で落ち着いてお茶も飲みません。朝は一度も寝床から起こしたことがありません」と真佐代さんが教えてくれた。

 「夫婦で懸命にがんばり、八百屋が外車の乗用車に乗れる、そんな夢のところまでこぎつけてきました」と話す。62(昭和47)年には日暮里の家を取り壊し、3階建てビルを建てた。一階で洋食レストランをはじめたのだ。

 「八百屋時代よりも、時間に余裕ができました。午後3時から5時まで2時間の昼休み。これを利用して、念願の菊の盆養に打ち込みました」と通男さんは話す。
八百屋は植物相手だったことから、菊作りの接点とか、菊作りに精通できる下地とかがあり、腕前はメキメキ上がったようだ。

 レストランでは複数のコックを雇っていた。仕事はあるていど任せられることから、通男さんは東京・文京区、中野区などの区民会館を利用した、小菊盆栽教室を開いた。ここから菊の指導講師のスタートが切られたのだ。つづいて埼玉・久喜市でも教室を持つ。

 夫婦には娘が三人いるが、みな長男に嫁いでしまった。レストランの後継者がいないことから、店舗を他人に貸した。通男さんは方向転換を図り、88(昭和63)年1月から、三井物産の関連会社の熊沢商事に入社した。反物を売る営業マンとなった。国公立大学卒の上司と車で、銀座界隈(かいわい)などの得意先まわり。働き者で、物おじしない性格から、秋庭さんは営業成績はよく、70歳の定年まで働けたという。

 「会社勤めで、人間の上下関係をおぼえました。菊栽培の関係でも、人づき合いの領域が広がりました」と語る。

 真佐代さんには盆栽とかかわった時期を聞いてみた。「1980(昭和55)年に、夫がさつき大賞を受賞しました。上野・不忍池の展示会で、本の販売を手伝いました。そこからです。いまでも菊の水まきと説明係しかできませんけど」と控えめに話す。

 秋庭夫婦は手を取り合い、努力し、数々の菊展示会で受賞を重ねてきた。表彰状は大臣賞が4回。計200枚はあるという。

 夫婦のエピソードを聞くことができた。05(平成17)年4月29日のみどりの日。東京・日比谷公園で、皇室参加の行事がおこなわれた。大勢の人垣のなかで、秋庭夫婦は遠巻きに見ていた。「島村農林大臣が帰り道、こちらを見つけて近づいてきました。いつもお世話になっています、と握手をしてくれました」と通男さんは語る。それは秋庭講師の交流の広さと人柄を物語るものだ。「奥さんですか、と私にも握手してもらえました」と真佐代さんは微笑む。夫婦にとっては、それが一つの心の財産のようだ。

 秋庭通男さんは人生経験豊かな、明るい人柄だ。菊栽培の人気講師として、ユーモアあふれる説明で、きょうも旧芝離宮恩賜庭園、日比谷公園で活躍している。【了】

■関連情報
旧芝離宮恩賜庭園
日比谷公園
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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