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英雄の飛翔に酔った1日/ディープインパクト

英雄の飛翔に酔った1日/ディープインパクト
ディープインパクト(牡・池江郎厩舎)/2006年ジャパンC優勝 写真一覧(2件)
 「名は体を表す」
 とはよくいったものです。
 04年の12月19日、ディープインパクトのデビュー戦。私は管理馬を中山に持っていったのですが、モニターで阪神の新馬戦を観ていました。この日が「震えるほどの戦慄!」の始まりです。

 実はディープを初めてみたのはセレクトセールのとき。当時はまだ体も小さくて、他の馬に比べ目立つというほどではなかったんです。
「あんなに小さな馬に7000万円も払う人がいるんだなぁ」
 恥ずかしながらセリの最中は、その程度の思慮しか持ち合わせていませんでした。それから2年が経ち、ディープのデビュー戦。私はすでに調教師を辞めることを決めていました。
「あの馬を倒す馬を、私にはもう育てられないのかぁ」
 という残念な気持ちが沸き上がると同時に、調教師を辞めたらまず最初にやりたいことが決まりました。それは、中央競馬の馬券を買うこと。それも、調教師の晩年に衝撃を受けた、あのディープインパクトの馬券です。

 その後ディープは無敗街道を突き進むことになるわけですが、私は05年の2月に調教師を引退。外からディープを観るようになります。3月6日の中山競馬場、弥生賞。私の馬券は、馬単でディープインパクト→アドマイヤジャパンの1点のみ。配当は380円。決して大きく儲けたわけではありませんが、なんとか周りに面目を保てホッとしたのと同時に、ある疑念を抱きました。クビ差の辛勝に「震えるほどの戦慄!」が沸き上がらなかったのです。
「もしかしたらディープは、中山のような小回りが向いてないのかもしれない」

 ところがそれは、全くの杞憂でした。ご存じの通り、ここからディープは無敗の3冠馬となるわけです。驚いたのは菊花賞での支持率。なんと、単勝1.0倍でした。勝って当然というレースでは、厩舎全体にもの凄くプレッシャーがかかるんです。実は私にも苦い経験があります。桜花賞をリーゼングロスという馬で勝ったのですが、あのときは2番人気で挑戦者の立場でしたから、自信満々でレースに臨めました。しかし桜花賞を勝ったことによって、
「オークスではおそらく1番人気になるだろうな」
 などと変な重圧を感じてしまい、食事もノドを通らなくなってしまいました。結果、厩舎全体のピリピリムードが馬に伝わってしまったのか、リーゼングロスはレース前に放馬。2着に敗れ、スタッフ一同大きく肩を落としたものでした。(次のページへ
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英雄の飛翔に酔った1日/ディープインパクト
新関力…元JRA調教師。桜花賞馬リーゼングロスなど数々の名馬
   
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