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世界中でこの馬より強い馬はいない/クロフネ

世界中でこの馬より強い馬はいない/クロフネ
クロフネ(牡・松田国厩舎)/2001年ジャパンCダート優勝 写真一覧(2件)
 一陽来復…。
 クロフネが武蔵野Sでイーグルカフェに9馬身差を付け、1分33秒3というレコードタイムで優勝を果たしたとき、誰もがこう感じていた。

「血統的にダートはこなせる」

 単勝2.3倍の1番人気という下馬評の確かさは、この勝利によって証明された。だが、まさかここまでのダート巧者であったとは思いも寄らぬこと。関係者にしてもファンにしても、その思いは同じだったはずである。
 だがクロフネの管理調教師である松田国英だけは、どうやらこの事態を想定していたフシがあったように思える。

 ことの発端はこの年の天皇賞にあった。それまでは3歳クラシックと並び、外国馬の出走が不可能であった天皇賞も、JRAが推進させた外国馬への門戸開放5カ年計画に伴い規制も緩和。前年にあたる2000年から、出走枠2という制限で外国産馬への出走が認められるようになった。
 出走権は賞金順。この年の天皇賞に登録していた外国産馬は4頭が登録。クロフネの他にはメイショウドトウ、アグネスデジタル、エイシンプレストンの3頭が名を連ねていた。
 当初は「出走できる」と思われていたクロフネ。ファンも天皇賞にはメイショウドトウとこの馬の2頭が出走するだろうと考えていた。

 だが事態は急変する。この秋、日本テレビ盃、南部杯と、ダート統一重賞を連勝していたアグネスデジタルが、急遽天皇賞への参戦を表明したのである。

 秋はダート路線を歩むと思われていたアグネスデジタルの参戦は、クロフネの出走を楽しみにしていたファンにも大きな落胆を与えた。また、アグネスデジタルの関係者の元には「出走させるな」などという心ない声も届いていたという。

 天皇賞出走を断念した松田国英師は、完全に仕上がっているクロフネを「このまま使わないのはもったいないから」という理由で、天皇賞の前日に行われる武蔵野Sに出走させることにした。この英断こそがまさに、あの伝説的ともいえるパフォーマンスを生みだしたのである。

 だが私からすれば、松田師は元々天皇賞出走云々ではなく、武蔵野Sを視野に入れてクロフネを仕上げてきたとしか思えないのだ。表向きにはアグネスデジタルが割り込んできたことで、窮余の策と矛先を代えたようにみえるが、仮にアグネスが出走していなければ出走権利はクロフネではなく、賞金順位で3番目のエイシンプレストンに与えられていたのである。本馬がマイルCSに路線を変更したのも、元を正せばアグネスが天皇賞への出走を表明したからである。
 つまりはじめからクロフネが天皇賞に出走できる可能性は極めて低かったのである。

 それを百も承知で松田師が、この週に合わせて調整をしていたというのであれば、それはクロフネのダート適性を見越してのこと以外にはない。まさに名伯楽。その先見の明には、ただただ脱帽するばかりだ。(次のページへ
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世界中でこの馬より強い馬はいない/クロフネ
佐藤壽恭…1馬、競馬エイトのTMキャリアを経て、競馬王(BS
   
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