[CNET Japan] 「日本はWeb 2.0を飛び越すかも」--ティム・オライリー、伊藤穣一と語る
2007年11月15日16時49分 / 提供:CNET Japan
日本初開催となる「Web 2.0 Expo」が11月15日、東京都内で開幕した。ウェブの最新技術と、それ可能にした新しいビジネスについて語られるカンファレンスは、Web 2.0提唱者として知られるO'Reilly Media 創業者でCEOのTIm O'Reilly氏とネオテニー代表取締役社長の伊藤穣一氏の対話セッションでスタートした。
まず、O'Reilly氏が1人で登壇。Web 2.0の定義を振り返ったうえで、「Web 2.0は、その形態はもちろん、ビジネスモデルも、どれだけ多くの人を巻き込んでいるかという点でも、まだ発展途上にある」と付け加え、伊藤氏を壇上に招いた。

2人の対談は、O'Reilly氏がお題を出し、伊藤氏が日本の状況、O'Reilly氏が米国の状況を踏まえた考察を述べるという形式だった。
日本でのWeb 2.0の広まりについて、伊藤氏は「日本もWeb 2.0のトレンドに向かって動いているが動きは遅い」という見解を述べた。
変化が起きにくい背景として、日本ではベンチャービジネスの展開が難しいこと、国内市場規模が中途半端に大きいため、国内市場ばかりに注目して国際的な動きに鈍感になりやすいことなどをあげた。
伊藤氏は「日本ではトレンドの波は、米国のように小さな波がいくつも押し寄せるのではなく、たまに大きな津波がやってくる形」と語る。「波乗りに失敗したら溺れてしまうが、うまく波に乗れば大成功が納められる」という意味だ。
日本のベンチャーの難しさについての議論で、伊藤氏が「80%の米国人が起業家を尊敬しているのに対し、日本では10%以下」という調査データを紹介すると、O'Reilly氏は「米国では、人々が失敗したビジネスについても敬意を払っており、いくつもの失敗を重ねたシリアルアントレプレナーも尊敬されている」と語った。
グローバル市場対日本市場という話題では、伊藤氏が、米国で成功しているからといって、そのビジネスモデルをそのまま日本に持ち込もうとしても失敗することが多いという考察を述べ、マイクロソフトやヤフーが成功したのは、日本の企業を積極的に回ってサービスや製品を広げた偉大な経営者がいたからだと解説した。
ただし、伊藤氏も日本に対して完全に悲観的なわけではない。「ほとんどのイノベーションは米国で起きているが、それに日本で独自の味付けが加わり、やがては米国に逆輸入されるということもある」と展望を述べた。例として、米国生まれのSecond Lifeを携帯電話で利用できるようにしたベンチャーが日本にあることを紹介した。
モバイルという新しい波
モバイル通信の話題も盛り上がった。O'Reilly氏は「米国でも、次にくる大きな波はモバイルと言われている」と切り出し「日本はもしかしたらWeb 2.0の波を飛び越して、いきなり次の波に乗る可能性もある」述べた。
伊藤氏も携帯電話に限らず、日本の家電に期待を寄せている。「日本の家電製品には、まだ神通力が残っている」と切り出し「日本でもっとも目が肥えているのはコンシューマー」「日本の家電メーカーは、コンシューマーの動向をよく観察している」と語った。
O'Reilly氏は、そうした古いビジネスと新しいビジネスの融合が今後ますます増えるとし、英国でGPS情報を活用した保険会社が成功している事例を紹介した。
ただし、そうした新トレンドを実らせる上で障害になるのはリスクや失敗を恐れることだと伊藤氏は指摘する。「市場投入が早過ぎて失敗した過去の事業を、いつまでも引きずって、後で本当の波が来てからも敬遠しつづけるところがある」(伊藤氏)。だが、実際には「昔手がけた、事業が成功するための素地が、時間を経てできあがることも多い」という。
伊藤氏がこれからの日本で、もう1つ期待していることとして挙げたのが、若い人たちの間での起業家精神の広がりだ。
「日本でも、一部の進歩的な大学の生徒は起業家精神が旺盛になってきている」と語ると、O'Reilly氏も「起業は若いうちに始めた方がいい。Bill Gates氏をはじめ、米国で成功した起業家の多くも20代で創業している」と同意を示した。

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