青森・六ヶ所村核燃料再処理工場は必要なのか=「核燃料サイクル」は可能か(上)
2007年11月15日10時18分 / 提供:PJ
黒塗りにされた使用済み核燃料の再処理に伴う費用の報告書。日本原燃が07年9月に経済産業相宛に提出したもの。(撮影:小田光康) 写真一覧(3件)
この施設は1993年から約2兆1900億円かけて青森県上北郡六ヶ所村弥栄平地区に建設され、2008年に操業開始予定となっている。国内には現在、50基以上の原子力発電所がある。発電を終えた使用済み核燃料を化学的に処理して、プルトニウムとウランを取り出す施設が再処理工場だ。六ヶ所再処理工場は1年間で約800トンの使用済み燃料を処理し、約8トンものプルトニウムを分離する能力がある。この施設稼働開始をめぐって、採算的な問題や安全性についての課題などについて語り合った。
会合ではまず、原子力資料情報室の澤井正子さんが「40年間しか稼働しないこの施設に、2005年から2369年まで約350年間費用を払い続ける意味があるのか」など採算面や、「プルトニウムやトリチウムという放射性物質が海に放出されるが、魚介類には影響が無いのだろうか」と安全性について疑問を呈した。さらに、この施設の情報開示の不備について「開示された資料は黒ぬりだらけ。再処理工場の費用は国の予算を使い、電気代として毎月徴収されているのだから、情報開示されてしかるべき」と指摘した。
問題の焦点の一つはこの処理工場の採算性。2003年、施設を使用する予定の電力会社の団体、電気事業連合会は六ヶ所再処理工場の総費用は約11兆円と試算した。内訳は、建設費約3兆3700億円、運転・保守費約6兆800億円、工場の解体・廃棄物処理費約2兆2000億円。このコストは電力消費者である国民一人一人からも、すでに毎月の電気代として徴収されている。試算は工場が40年間100%フル稼働、無事故で動くというのが前提となっており、費用はさらに拡大する可能性もうえ、同額以上の「バックアップ」費用もかかる。ただ現在、原油価格が高騰し、燃料資源に乏しい日本にとっては、原子力に頼ったエネルギー政策を捨てきれないのが実情だ。そこには情報開示とそれに関する説明責任が伴うのは当然だ。
こうした莫大(ばくだい)なコストを伴う電力政策には、地下資源に恵まれない日本の事情がある。国は1967年、使用済み核燃料を処理して再度燃料として利用する「核燃料サイクル」の整備を目指す基本方針を打ち出した。石油ショックやウラン埋蔵量の過小評価などで、国際的なウラン価格が高騰していた時代だ。当時、輸入したウランからプルトニウムを取り出し、それを利用して発電できれば、燃料コストの削減と燃料の安定供給になると考えられていた。その後、経済的に採掘が可能なウラン資源は原子力発電が急成長しても100年分以上あるという調査報告が発表されたのをきっかけに、ウラン価格が下落した。
河野太郎議員は「価格は非常に安くなっていて、プルトニウムを取り出す方がよっぽどコストがかかることになりました。つまりコストや安定供給の面からは『核燃料サイクル』の必要性がなくなったのです。消費税を徴収される以上のコストが国民にふりかかるのだから、再処理工場でプルトニウムを作る合理的な根拠を提示することが必要です」と説明した。
たとえ、再処理工場が稼働しプルトニウムという核燃料が生産され初めてもても、その使い道が無ければ意味がない。ウランなどよりも危険なこの物質は国際原子力機関(IAEA)やテロリストからも注目されている。再処理工場で作ったプルトニウムを燃やす高速増殖炉の実用化が進められている。そんな中、福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」では1995年、ナトリウムが漏れて火災が発生する事故があった。計画開始からすでに30年たつが、いまだ実用化の見込みがたたないのが実情だ。
「北朝鮮がプルトニウムを使って国際社会に揺さぶりをかけていますが、北朝鮮が保有量は約5キロと言われています。これで6カ国協議が開かれてしまうのです。核燃料サイクルの実現を目指し日本は40トン以上です。再処理工場ができると年間8トンを超えるプルトニウムができますが、使い道が無いのです」と河野議員は解説した。
「もんじゅ」計画が頓挫し、経済産業省と電力会社は、プルトニウムとウランを1対9の割合で混ぜてふつうの原子炉で燃やすために「プルサーマル」計画を立て、その実用化を目指している。河野議員はこう付け加えた。「これも疑問です。このやり方ではウラン発電の約4倍になり、プルトニウムはほとんど消費されません」。 【つづく】
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パブリック・ジャーナリスト 小田 光康
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