【書評】知識ゼロからの山歩き入門=小倉董子著
2007年11月04日07時20分 / 提供:PJ
「山を愛し、人を愛する仲間に出会える」。それが小倉董子(のぶこ)さんの願い。東京・九段で。(撮影:穂高健一、10月10日) 写真一覧(2件)
それには経験豊富な良いリーダーに巡り合うことだ。ハイキングクラブ、登山部などに入るのが一番。入部後、リーダーの指示に従っただけでは上達しない。足があれば、大概の山は登れる。それには山登りの解説書を読みこなし、知識を蓄えていくことだ。
小倉董子(のぶこ)著『知識ゼロからの山歩き入門』(幻冬社、1260円)が、10月10日に発刊された。知識ゼロ、まったくの初心者向けのアドバイスが満載だ。これから山登りをはじめたい若者、体力に自信がない中高年、男女を問わず新人向けの良書である。
小倉さんは山形県出身で、父親は登山家だった。幼いころから雪の蔵王に親しんできた。早稲田大学に入ると、早大山岳部初の女性部員となった。57(昭和32)年、キリマンジャロ登頂。以降は世界各地を探訪した。現在は登山同好会ACC紫蘭会会長。日本山岳会永年会員。著者には『女の山歩き、山登り』(山と渓谷社)、『山歩き賛歌』(共同通信社)、他多数ある。
小倉董子さんは1975年から朝日カルチャーセンターで、『女性のための登山入門教室』(のちに山歩き教室)を開講し、18年間にわたって主任講師をつとめてきた。現在は春(4月)と秋(10月)の2回の講座と実技教室。5月は紫蘭会主催『小倉董子の山歩き教室 集中講座」を開講している。
山登り指導の経験が豊富で、なおかつ山を熟知する。だからこそ、『知識ゼロからの山歩き入門』は平明で、わかりやすく、小倉さん自身が初心者になりきり書かれている。
一般論だが、ハイキング・山登り入門というタイトル本を書店で手にしても、初心者の実践をはるかに超えた、書籍は少なくない。学術書なみだったり、著者自身が登山エキスパートだという片鱗をみせたがったり。結局は、初心者にはむずかしくて、あまり役立たない。
経験豊富な小倉さんだからこそ、9章にわたる各項目に気取りがない。靴・ウエアの選び方、地図の見方、ザックの荷の詰め方、疲れない歩き方など、どれもが親切で、丁寧だ。重要な点にはイラストが入り、実にわかりやすい。
歩きはじめたら10分で止まりなさい。靴紐、着過ぎの衣服、背中のザックなどの点検をしなさい。それがあるとなしでは、疲労のたまり具合が違う。登りと下りは歩き方を変えなさい。山での食事は行動食が基本。どの項目も軽いタッチで読めて、山の知識が身につく本だ。
同書『なるほどコラム』は、登山の中級者、上級者の登山者が読んでも、山登りの基本に戻らせてくれる。いまは秋山シーズン。年間を通して、天候の急変による、疲労凍死が最も多くなる。同コラムでは『山歩きは、天気に恵まれたら、楽しい気分。急変すれば、危険が待ち受けている。秋は日が短く、雨がみぞれ、雪になれば不安が募る。雲行きが怪しくなったら安全な場所に移動するか、下山するか決断しましよう』と助言する。これは登山経験者にも言えることだ。
『遭難したら、助けを待つか、救援を求める』というコラムは、ベテラン登山者にも役立つ。初心者はこの一冊を一度読み通せば、あとは随時、山に登ったときの疑問に見合った項目を開けばよい。必ず疑問を解いてくれる、座右の書になるだろう。
小倉さんの信条は『思い立った時が、新たなスタートの時』だ。初心者でも、体力がなくても山は登れる。いまから同書を手にし、日本の美しい山岳で、安全な山登りを生涯楽しもう。【了】
■関連情報
ライブドア・デパート:知識ゼロからの山歩き入門 Let’s enjoy trekking!
PJニュース:女流アルピニストが人生と冒険を語る(上)
女流アルピニストが人生と冒険を語る(下)
記者HP:穂高健一ワールド
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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