[CNET Japan] 「大衆」から「個衆」へと変化する市場で注目集める行動ターゲティング
2007年11月01日08時00分 / 提供:CNET Japan
ウェブマーケティングの最新動向を紹介した「CNET Japan Innovation Conference」。ヤフー広告本部営業企画部部長の近藤弘忠氏は、「最新マーケティング手法〜行動ターゲティングとは〜」と題するセッションを行い、行動マーケティングの仕組みや効果、価値、今後の展開などについて講演した。
近藤氏はまず、行動ターゲティングが必要な理由として、「環境の変化」を挙げた。これは大量生産、大量消費の時代から消費者ニーズが多様化する時代へと変わり、さらにインターネットの普及によって消費者は欲しいときに欲しい情報を簡単に手に入れられるようになったことで、消費者の購買プロセスが大きく変化したということだ。

消費者の購買プロセスが変化したことにより、広告もこれに対応していく必要がある。従来はテレビや新聞、雑誌、ラジオなどのマス広告を広く伝播させることで消費を生み出すことができたが、消費者ニーズの多様化とインターネットの普及によって、マス広告だけでは最適な効果が得られなくなってきている。多種少量消費のニーズに対し、生産者も多種少数生産を行い、必要とする消費者に的確な広告を掲出する必要があるのだ。
このような環境の変化に合わせて、従来のプッシュ型のマス広告から、ユーザーのアクションに応じた広告掲出、またはユーザーの登録情報に応じた広告掲出を行う「ターゲティング配信」へと広告配信手法も変化していく必要がある。特に行動ターゲティング広告は、米国では2000億円規模の市場となっている。
この傾向は日本でも同様で、ヤフーの最新の情報では2007年第2四半期の行動ターゲティング出稿広告売り上げが前期比26%増と顕著な伸びを示している。ヤフーでは2006年1月からテストマーケティングを開始しており、現在までの行動ターゲティング累積出稿広告主数は延べ500社を超え、案件数は延べ約4000件となっている。また、継続率が60%と高くなっていることも特徴だ。
次に近藤氏は、行動ターゲティングの仕組みについて説明した。一般的な行動ターゲティングとして、第三者配信型とメディア提供型が存在する。第三者配信型は、特定のサイトを訪れたユーザーに対し、行動履歴を蓄積するというもので、行動履歴を取得するサイトと広告を配信するサイトが別である点が特徴。コンテンツを意識して広告を配信できるほか、サイトの内容に関係なくターゲティング広告を配信することも可能だ。
一方、メディア提供型は、サイトが独自のシステムによってユーザーの行動履歴を取得し、広告の配信を行う。基本的にクッキー情報を利用して、ユーザーのページ閲覧や検索、広告のクリックアクションからデータを作成し、ユーザーに合致する広告の掲載を行う手法だ。ただし最近では、これらの手法が重なってきている傾向にあるという。ちなみに米国では第三者型が多く、日本はメディア提供型が優勢だ。
また、行動ターゲティングを行うには、分析やセグメントに耐えうるサンプル数があることや、マーケティングに意味のあるリーチや露出量など、「質を追求できる量の確保」、および膨大なデータを処理できるプラットフォームや、的確な配信が行える技術、質の高いターゲットセグメント力といった「ターゲティングの質の確保」が求められるという。
さらに3つ目の行動ターゲティングとして、近藤氏はサイト内行動分析型を挙げた。この手法では、サイト内での行動を分析することで最適なメディアの選択を行ったり、行動履歴を元にした最適なコンテンツ表示を行うことができるとしている。ポータルサイトとして豊富なコンテンツを持つヤフーにとっては効果的な手法といえる。
行動ターゲティング広告の実際の効果として、近藤氏はヤフー自社稿のテスト結果を公開した。これによると、行動ターゲティングを行わない場合に比べClick Through Rate(CTR:露出に対するクリック数)が約2.5倍となった。さらにデモグラフィック行動ターゲティングを行うことで、通常の行動ターゲティングより1.9倍になっている。デモグラフィック行動ターゲティングは年齢層を付加したものだ。
また同時に、エリアターゲティングのテストも行っている。やはり、エリアターゲティングを行った場合はターゲティングを行わない場合に比べて3〜4倍のCTRを記録している。これは、ターゲティングするごとに広告の1人当たりの接触量(FQ:フリークエンシ)が増えるためであり、ターゲティングの特徴としている。
FQは非常に重要で、FQが増えるごとにCTRだけでなくレスポンス率も向上している。同社のテストでは、CTRにおいて2〜2.4倍、レスポンス率において2〜4倍効果的という結果が出ている。さらに同社のアンケートでは、行動ターゲティングを行ったユーザーは通常のユーザーに比べて利用意向、購入意向、アクションが高いという傾向が明らかになっている。
マーケティング活動における行動ターゲティングの価値としては、モノがあふれた時代のため、商品やサービスのコモディティ化が進み、ユーザーは「大衆」から「個衆」となり、誰もが欲しがるようなモノは存在しなくなったことから、差別化戦略のために活用できることが挙げられる。
行動ターゲティングを行うことで、想定外のターゲットに広告が訴求されるケースを減らし、顕在化した顧客、ターゲットに設定した顧客に届けたいメッセージを的確に届けることが可能になる。また、アプローチした結果の分析や検証も重要で、これをしっかりと行うことでPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)というPDCAサイクルを回すことができる。
メディアにおける価値としては、CGM系のコンテンツにおいても的確にユーザーをとらえて広告掲載することが可能であり、高付加価値、高単価の手法を提供できる。これによって、ユーザー、広告主、メディアの3者がWin-Win-Winの関係を実現できるとしている。
近藤氏は最後に、ヤフーが今後進める広告戦略について紹介した。ヤフーでは2007年7月より、行動ターゲティングと年齢や性別といった属性を組み合わせたデモグラフィック行動ターゲティング、および行動ターゲティングとエリア情報を組み合わせたエリアターゲティングなど、動的データと静的データを掛け合わせた配信を実現している。
これらを実現しているのは、月間2000万のヤフーIDであるという。さらに今後は適用広告スペースの拡大、モバイルでの展開、深いセグメントの導入、複数サイト横断による掲載スペースの拡充、複数サイト間での共同商品開発などによって、1インプレッションの価値と1リーチの質を向上していくという。
具体的には、パソコン以外での行動ターゲティングとして、モバイルやデジタル家電などユビキタス的な展開や、行動履歴取得を広告主の自社サイトで行う「行動リターゲティング」を開始するほか、検索連動型広告との連動によって獲得精度を向上するといった展開を行うという。
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