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谷川岳の紅葉、パノラマに満喫、そして魔の山の検証=群馬県(中)

谷川岳の紅葉、パノラマに満喫、そして魔の山の検証=群馬県(中)
双耳峰(そうじほう)の谷川岳山頂。赤い実はナナカマド。(撮影:穂高健一、28日) 写真一覧(5件)
【PJ 2007年10月31日】− (上)からのつづき。熊穴沢(くまあなざわ)避難小屋の先、1525メートルの小ピーク、さらには急登がつづき、第一見晴の「天狗の休み場」につく。日曜日ハイカーたちはここで小休止を取る。

 見上げる谷川岳の山頂付近は緑の熊笹の絨毯(じゅうたん)を敷いたような山容だ。女神のようなやさしい景観をもつ。なぜ魔の山か、信じがたい気持ちにさせられる。

 右手には重厚にそびえる「万太郎山」、連峰の最高峰の「仙の倉山」、西の要の「平標山(たいらっぴょう)」が連なる。これら山の標高はほぼ同じで、100メートル以内だ。

 このさきが急登がつづきでも、「あのピークが、谷川岳の頂上とおなじだ」と登山者の高度計代わりに役立つ。左手には武尊山(ほだか)、雪をかぶった日光白根山、双耳峰(そうじほう)の燧ヶ岳(ひうちがたけ)、至仏山(しぶつ)が遠望できた。

 登山経験者が、わが出番とばかりに北や西を指し、八ヶ岳だの、北アルプスだの、富士山だのと教える。時には間違った説明や憶測もあるようだが、だれもとがめない。

 「天狗の休み場」から先は熊笹の道、やがてガレ場の道に変わってくる。数年前にヘリコプターで角材などを運びあげて整地されたことから、幅拾い階段状の道となっている。やがて「肩の小屋」だ。管理人夫婦がいる。谷川連峰は設営禁止だ。それだけに縦走する登山者には宿泊できる良い基地。他方で、悪天候の逃げ場の避難小屋として必要不可欠の存在だ。

 肩の小屋と山頂の間には、他に類を見ないほど頑丈な作りによる巨大な道標がある。4方の道筋を教える。なぜ、ここに巨大な道標があるのか。肩の広場は、尾根の形状をなくした、広々とした熊笹の草地で、ゆるやかな傾斜地だ。天候がよい場合は問題ない。視界が悪くなると、下りの場合は傾斜地だけに、無意識のうちにルートを外しやすいのだ。

 谷川連峰は日本海側と太平洋側の気流がぶつかり合って乱れる。天候の急変が早い。稜線が雲のなかに入ると、視界がかぎりなく無くなる。他方で、肩の広場には熊笹の踏み跡が多い。地図と磁石が満足に使えないハイカーは、天神尾根から谷川岳ロープウェイ・天神平駅にむかう下山ルートを見失ってしまう場所なのだ。

 登山者がひとたび方向を迷うと、単なる彷徨(ほうこう)でとどまらず、途轍(とてつ)もない難易度の高いルートに入り込む。切り立つ稜線であったり、垂直の岩場だったりする。ハイカーにはビバークもままならず、挙句の果てに疲労凍死、転落事故になる。この事例は谷川岳遭難史のなかで数限りなくある。

 ハイカー、登山者を問わず「肩の小屋」を基点にルートを決めてしまうと、傾斜地の広場で微妙な狂いが生じてくる。一度は巨大な道標のそばまで歩み寄り、ここを基点にしたルートをしっかり見定めよう。これが魔の山の鉄則だ。【つづく】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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