「個の力」で2点、「組織力」で2点。=ザスパ草津vs東京ヴェルディ1969
2007年10月31日09時55分 / 提供:PJ
【PJ 2007年10月31日】−
10月28日、Jリーグ公式戦「ザスパ草津vs東京ヴェルディ1969」が松本平広域公園総合球技場(アルウィン)で行われた。5224名の観客が見守るなか、試合は草津FW高田が後半ロスタイムに意地の同点弾を挙げ、2-2で引き分けた。
目下8連勝中。昇格争いに名乗りを上げる東京Vと、11位の草津。意地の悪いサッカーファンはJ2得点王を独走する東京Vのフッキの大活躍を期待して、アルウィンに足を運んだのではないか。果たして、フッキは2得点を挙げた。しかし、冷水を浴びせられたのは東京Vのサポーターだった。目前にあった勝ち点3が手元からするりとこぼれ落ちていったのだから。
一言で言って、好ゲームだった。フッキとディエゴの個人技を前面に押し出す東京Vに対し、守備を固めつつ怒とうの反撃を見せた草津。また、松本の夜空に木霊する草津サポーターの声援と、軽やかに舞い踊る東京Vのフラッグ。松本のサッカーファンもプロのすごみとサポーターの見せた迫力にあらためて打ち震えたのではないか。
先制点はCKからのセットプレイ。草津FWカレカのヘディングで幸先の良いスタート。甲府時代の印象は全くないが、前線で高さと強さを見せていたカレカは、氏原の負傷の穴を埋める存在になり得るだろう。
しかし、フッキの実力、存在感はそのはるか上を行った。4バック、ボランチも守備ラインで身体を張るなど徹底的にマークしていた草津ディフェンスの一瞬のほころびを逃さない。左足からのシュートで同点。力強く、それでいて華麗。スピード、パワー、決定力、すべてにおいてJ2では規格外のFWであることを再認識した。
後半は草津のゲームだった。とにかくボールがよく動く。外から中へ、中から外へ、そしてゴール最前線へクロス。得点のにおいはぷんぷんしていた。しかし、トラップミスやシュートが大きくそれるなど、あと一歩でゴールに押し込めない。
対照的に、個人の力でこじ開けたのが東京V。フッキとディエゴのコンビネーションにより、勝ち越しのゴール。やはり圧倒的な個には勝てないのか……。ある種の無常すら感じた後半ロスタイム、予想外のエンディングが待っていた。疲弊し、足の鈍くなった東京Vの守備を切り裂いたのは、高田のヘディング。吸い寄せられるようにゴールネットに突き刺さり、なんと2-2の同点。
草津はその後も攻め立てる。決定的なチャンスこそゴールポストにはじかれたが、追い込まれた東京Vはひたすら審判の笛の音を待つばかりだった。
草津は素晴らしいサッカーを見せた、というのが第一印象だ。一方でこれだけの手に汗握る好ゲームを披露しても勝ち点1に終わった、というのも現実だ。対して東京Vは、特に後半は全く形になっていなかった。負け試合をドローに転じさせたのは、間違いなくフッキとディエゴ。個人技に頼るサッカーを僕は否定しない。圧倒的な“個の力”で完膚無きまでに相手をねじ伏せるというやり方もあるのだ。しかし、少なくともラモス瑠偉監督はフッキの家に足を向けては寝られまい。
ともあれ、J1昇格争いがこの試合でさらに混とんとしてきたことは間違いない。3位のベガルタ仙台との勝ち点差はわずかに5。普通に戦えば、東京Vが有利。しかし、毎年一筋縄ではいかないのが、昇格争い。10月28日といえば、あの“ドーハの悲劇”の起こった日。14年後のこの日が、東京Vサポーターにとって“松本の悲劇”と呼ばれないことを祈る次第だ。
■試合情報
ザスパ草津 2-2 東京ヴェルディ1969
得点:9分 カレカ(草津)、26分 フッキ(東京V)、71分 フッキ(東京V)、89分高田保則(草津)
【了】
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パブリック・ジャーナリスト 多岐 太宿【 長野県 】
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目下8連勝中。昇格争いに名乗りを上げる東京Vと、11位の草津。意地の悪いサッカーファンはJ2得点王を独走する東京Vのフッキの大活躍を期待して、アルウィンに足を運んだのではないか。果たして、フッキは2得点を挙げた。しかし、冷水を浴びせられたのは東京Vのサポーターだった。目前にあった勝ち点3が手元からするりとこぼれ落ちていったのだから。
一言で言って、好ゲームだった。フッキとディエゴの個人技を前面に押し出す東京Vに対し、守備を固めつつ怒とうの反撃を見せた草津。また、松本の夜空に木霊する草津サポーターの声援と、軽やかに舞い踊る東京Vのフラッグ。松本のサッカーファンもプロのすごみとサポーターの見せた迫力にあらためて打ち震えたのではないか。
先制点はCKからのセットプレイ。草津FWカレカのヘディングで幸先の良いスタート。甲府時代の印象は全くないが、前線で高さと強さを見せていたカレカは、氏原の負傷の穴を埋める存在になり得るだろう。
しかし、フッキの実力、存在感はそのはるか上を行った。4バック、ボランチも守備ラインで身体を張るなど徹底的にマークしていた草津ディフェンスの一瞬のほころびを逃さない。左足からのシュートで同点。力強く、それでいて華麗。スピード、パワー、決定力、すべてにおいてJ2では規格外のFWであることを再認識した。
後半は草津のゲームだった。とにかくボールがよく動く。外から中へ、中から外へ、そしてゴール最前線へクロス。得点のにおいはぷんぷんしていた。しかし、トラップミスやシュートが大きくそれるなど、あと一歩でゴールに押し込めない。
対照的に、個人の力でこじ開けたのが東京V。フッキとディエゴのコンビネーションにより、勝ち越しのゴール。やはり圧倒的な個には勝てないのか……。ある種の無常すら感じた後半ロスタイム、予想外のエンディングが待っていた。疲弊し、足の鈍くなった東京Vの守備を切り裂いたのは、高田のヘディング。吸い寄せられるようにゴールネットに突き刺さり、なんと2-2の同点。
草津はその後も攻め立てる。決定的なチャンスこそゴールポストにはじかれたが、追い込まれた東京Vはひたすら審判の笛の音を待つばかりだった。
草津は素晴らしいサッカーを見せた、というのが第一印象だ。一方でこれだけの手に汗握る好ゲームを披露しても勝ち点1に終わった、というのも現実だ。対して東京Vは、特に後半は全く形になっていなかった。負け試合をドローに転じさせたのは、間違いなくフッキとディエゴ。個人技に頼るサッカーを僕は否定しない。圧倒的な“個の力”で完膚無きまでに相手をねじ伏せるというやり方もあるのだ。しかし、少なくともラモス瑠偉監督はフッキの家に足を向けては寝られまい。
ともあれ、J1昇格争いがこの試合でさらに混とんとしてきたことは間違いない。3位のベガルタ仙台との勝ち点差はわずかに5。普通に戦えば、東京Vが有利。しかし、毎年一筋縄ではいかないのが、昇格争い。10月28日といえば、あの“ドーハの悲劇”の起こった日。14年後のこの日が、東京Vサポーターにとって“松本の悲劇”と呼ばれないことを祈る次第だ。
■試合情報
ザスパ草津 2-2 東京ヴェルディ1969
得点:9分 カレカ(草津)、26分 フッキ(東京V)、71分 フッキ(東京V)、89分高田保則(草津)
【了】
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