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【よこ顔】音大生、保育士、そして路上ライブ=namiさん(中)

【よこ顔】音大生、保育士、そして路上ライブ=namiさん(中)
インタビューに応えるnamiさん。路上ライブ活動には、児童福祉施設の約7年間と切り離させないものがある。東京・池袋で。(撮影:穂高健一、10月16日) 写真一覧(3)
【PJ 2007年10月27日】− (上)からのつづき。女性シンガーソングライター・namiさんの路上ライブ活動には、児童福祉施設の約7年間と切り離させないものがある。彼女は新米だった保育士のころから語ってくれた。

 最初の半年間は練馬から、社会福祉法人・星美ホームに通勤していた。子どもは六時半に起こす。そこから一日の仕事がはじまる。「私は朝四時半に起きて、職場に向かっていました。一度遅刻して、通勤は断念しました」と笑う。職場の寮だから、朝からずっと子どもの声が聞こえるし、閉塞(へいそく)感はあったという。

 「私は1人暮らしですから、休日となると、六本木や恵比寿のボーカルスクールに通っていました」とつけ加えた。一度は一週間ほど渡米し、ブロードウェーで、3回ほどミュージカル・レッスンを受けた体験もある。

 星美ホームでは長年にわたり演劇部の指導をおこなってきた。都大会にも出た。カトリック施設だったことから、彼女はミサや行事で演奏・伴奏も担当した。その面では音楽を生かすことができた職場だったと語る。

 彼女の話を聞くと、休日がすべて自分のためのものではなかった。「子どもは施設から学校に通っています。参観日、運動会、学芸会だと、休みにあたっていても行きました。親ならば、子どもの姿を見たいじゃないですか。お弁当を作ったり、朝から学校に行って応援しました」と語る。保育士は親と同じ姿勢と態度で、子どもと向かい合う。休日返上はめずらしくなかったという。

 同ホームは両親がいない子どもよりも、ひとり親は家に居るが、子を育てられなくて児童福祉施設に預けている、という子が多かったという。「子どもは親が家に居れば、家に帰りたい、一緒に住みたいと思うでしょ。当然の心理です。ところが実親には養育能力がない。子どもの立場にすれば、施設にいれば、施設なりのルールがある。知らない子と一緒に住み、プライバシーのない空間です」。それはかなり強い苦痛だ。子どもは閉じこもったり、保育士に反抗したりするという。

 「家庭ですと、親に対して子どもは1人か、2人でしょ。少なくとも、親を独占できる。しかし、施設ではそれができないんです」namiさんは小学生を担当していた。10人の子どもに対して、保育士が2人つく。片方が休日となれば、実質は1人の日がある。深夜の交代まで考えると、1人のようなものだ。

 「子どもたちは先生が親で、独占し、愛されたいと思う。すごくいい子になったり、甘えたりするんです。保育士はみんなを幸せにしたい、と思って仕事をしている。1人に応えれば、他のすべてに応えられなくなってくる。私はギャップのなかにいました」。それは年ごとにストレスとして積み重なった。

 「子どもたちは必死に生きています。施設では規律とルールがある。子どもの抵抗は半端ではありません。親子喧嘩と同じ、こっちも本気になるし、取っ組み合いの喧嘩もしました」と彼女は手の傷跡を見せてくれた。

 「子どもはみんな家に帰りたいんです。『施設では生きている意味がない』という。『なんでわかってくれないの』と泣き出す。私もどうしていいのか分からない。ただ泣けてくるんです」。解決できないまま、毎日が過ぎていったと語る。

 「こんな保育士が居てもいいのだろうかと、悩む。次の年度が来て、また同じことをくり返す。職場を辞めたから、解決できるものではない。辞めることは逃げることだ。辞めることについても悩む」

 彼女がたどり着いた結論は、『シンガーソングライターになり、いつか歌で、子どもたちを招待しよう。歌の生き方をみてもらおう』という考えに行き着いた。

 園長先生はシスターだった。『辞められることは残念ですけど、あなたには可能性があるから、やってみなさい』といわれた。そこで決心がついたのだと語る。【つづく】

■関連情報
namiさんHP/
namiさんの次回ライブ:11月23日(金・祝)
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記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高健一【 東京都 】
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