エレクトロニクス実験セット「マイキット150」

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1960年代後半から1980年代にかけて、科学好きの少年少女たちを熱狂させた実験キットがあった。その名は「マイキット」。木箱に収まった電子パーツには、スプリング式の端子があり、そのスプリングにリード線を繋げていくだけで、簡単に電子回路を作れる。当時としては高価なキットだったので、子供時代に欲しくても買ってもらえなかった人も多いだろう。そんなマイキットが当時の魅力を残しつつ改良を加えられ、大人の科学「マイキット150復刻版」(以下、マイキット)として再発売された。

■オリジナルを超えた現代のマイキット

マイキットは、読者からの復刻の声が一番大きかった製品。金型や材料費がかさんで3万円を超えそうになったり、当時のパーツが入手できなかったりと、復刻版の発売までには数々の難題が山積みであった。そこで担当者は、単なる「復刻」ではなく、改良した「復活」という方向転換を決断した。
「マイキット150復刻版」の中身「マイキット150復刻版」の化粧箱
「マイキット150復刻版」の中身「マイキット150復刻版」の化粧箱

開発陣が最初に着手したのは、回路を拾う作業であった。ところが、すでに社内にもマイキットのマニュアルが揃っていない状態で、「学研電子ブロック復刻版」を開発するときと同様に、一部はオークションで入手したという。また、昔の部品を現在入手できる部品で代用すると、昔のマニュアルどおりの回路では動作しないので、部品を別のものに変更するか、あるいは回路自体を動くものに調整するのかなど、気の遠くなるような試行錯誤を繰り返したという。試作品第1号は、回路の確認に4ヶ月の歳月を費やすことになった。

オリジナルのマイキットとの大きな違いは、3つある。ひとつは、新しい技術を取り入れようと「ショットキーダイオード」を追加して携帯電話を使った実験を新たに加えた点だ。2つめは、トランジスタを交換可能にした点で、これは以前のマイキットでトランジスタがハンダ付けされていたために、ユーザーが自分でトランジスタを交換できないという不満を解消した。3つめは、電圧計を追加した点で、これにより回路の間違いを簡単に見つけ出せるようになった。

外装のパッケージ(箱)にもこだわりがある。初期のマイキットは木製の箱に入っていたことから、復刻版でもそれにならったが、箱に入った状態で回路を組むと操作しにくい部品もあり、箱のデザインを改良した。150回路のうち、昔のマイキットから流用できた回路はおよそ半分だが、アナログ回路の基礎を学ぶうえで重要な回路は外されていない。

■電子回路づくりに挑戦

早速、回路を組んでみよう。「マイキット150復刻版」の取扱説明書には、150通りの電子回路が表記されている。回路図を見ながら配線してもよいが、差配線順序の番号をリード線で繋げるだけで、電気回路が出来上がる仕組みだ。簡単な回路なら1分、複雑な回路でも30分程度で組むことが出来る。

●"電子小鳥"と"ダイオードラジオ"
"電子小鳥"は、その名前どおりに小鳥の鳴き声に似た音を出す回路だ。100μFのコンデンサーがトランジスターのベース回路に入っており、ベース電圧がコンデンサーの放電で変化する。充電電流が少なくなるようにボリュームを調整すると、圧力電圧まで充電されると発振が始まり、コンデンサーが放電されると、電圧が下がって発振を止める。この動作を繰り返すことで、「ピヨピヨ」という音が出力される。

"ダイオードラジオ"は、"ゲルマニウムラジオ"とも言われている。ラジオの中で一番簡単なラジオが"ダイオードラジオ"なので、小中学校の図画・工作や技術の時間で体験した人もいるだろう。電池が必要なく、ダイオードだけでラジオ放送が聞こえるのは不思議に思えるかもしれないが、ラジオの基本的な機能はすべて備わっている。
「電子小鳥」の回路「ダイオードラジオ」の回路
「電子小鳥」の回路「ダイオードラジオ」の回路

●"簡易うそ発見器"と"高感度電子温度計"
人間の体は、感情に応じていろいろな反応をあらわす。うそをつくと、無意識のうちに手に汗をかく人も多く、これを利用したのが"簡易うそ発見器"だ。"簡易うそ発見器"では、赤と黒のテスタを手に握って質問をする。うそをつくと、手に汗をかいて電気抵抗が変化し、その様子がメーターに現れるというワケだ。

"高感度電子温度計"は、温度を関知するセンサー回路。温度によって抵抗値が変化する"サーミスター"により、メーターの針が変化する。手で暖めたときの手の温度も、メーターの触れから読み取れる優れものだ。
「簡易うそ発見器」の回路「高感度温度計」の回路
"簡易うそ発見器"の回路"高感度温度計"の回路

表1.マイキット150復刻版の主な仕様
材質木(パッケージ)
商品構成本体(抵抗等電子部品約20種50以上が配線済み)、リード線[長短]、テスター棒、アンテナ線、コンデンサマイク、サーミスタ、導通センサー、クリスタルイヤホン、クリスタルマイク、ドライバー[+]、回路集(B5判144ページ)
対象年齢中学生〜一般
パッケージサイズ250d×360w×85h(mm)・2,300(g)
本体サイズ235d×355w×68h(mm)・1,800(g)
電池単3電池4本(別売)
原産国中国
取扱説明書

製品名:マイキット150復刻版
販売価格:1万1,801円(税込み)

"マイキット150復刻版"は、はじめて触る人でも回路の配線に戸惑う心配はないうえ、自由な回路を作れるので、電子回路に強い人ならオリジナルの実験を楽しむといった使い方も出来る。子供の頃に欲しくても、親に買ってもらえなかった人は、今こそゲットするチャンスだ。

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マイキット150復刻版
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編集部:関口哲司
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