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【書評】『官邸崩壊』上杉隆著・・・「お友達内閣」の危機意識とは

2007年10月18日09時24分 / 提供:PJ

pj
昨年、華々しく船出を果たした安倍内閣は今年9月投げ出すような総辞職となってしまった。この本は安倍内閣就任以来から、参議院選大敗に至る迷走を余すことなく書いており内容も非常に興味深い。

 安倍晋三氏は祖父に元首相・岸信介氏、父に元外務大臣安倍晋太郎氏と、まさにエスタブリッシュメント(特権階級)の出身。しかも明治以降最多の7人の首相を出した山口県(長州)の出身で戦後は岸信介、岸の実弟の佐藤栄作、孫の安倍晋三と1つのファミリーで独占したことになる。父・晋太郎が総理を目の前にして病に倒れて以来、母・洋子の執念で安倍晋三は総理大臣になったのだが・・・。

 最初の組閣から批判が相次いだことも書いてある。通常なら留任する事務担当官房副長官に的場順三氏を新たに起用したことを批判。そのことが公務員制度改革の足かせとなってしまうのだが…。さらに官房長官となった塩崎恭久氏も就任当初に疑問視した記者が多いことにも触れている。政治家のキャリアは申し分ないが官房長官にとって最も重要な”調整力”が心配されたからなのだが…。

華々しいスタートだったが
 安倍氏は中国、韓国への訪問を行い、小泉時代に悪化した近隣諸国への外交で国民の支持を集めるが、最初のスキャンダルの「”やらせ”タウンミーテング問題」が出てしまう。そういった時こそ広報担当補佐官の世耕弘成氏の出番なのだが、地元の和歌山県の談合を摘発された業者からのゴルフ接待が発覚し、それどころではなかった。また本間正明税調会長の公務員宿舎で愛人と同棲していた問題も秘書・井上義行氏のずさんな”身体検査”が原因の一つだった。そして問題対応がすべて後手後手に回るという状況になるが、官邸の面々は危機意識がない、といったことが繰り返されていく。

 その原因は世耕、塩崎、井上らの情報が安倍首相にあがってくるのはいいが、みんなが手柄争いに走るため整理されずに上がる。そのため情報を受け取った首相は混乱してしまう。しかも問題が起こると責任の押しつけ合いとなってしまうことが書いてある。

 年が明けると閣僚の暴言が相次ぎ、教育再生会議の迷走、アメリカでの従軍慰安婦謝罪の不発と首相側近の対応の悪さに尽きると書いてある。就任当初「お友達内閣」と揶揄(やゆ)されたのは、小泉時代と違い閣僚の緊張感の無さと指摘しており、マスコミからの批判は内閣記者会の”親心”だったのを首相や側近が無視したものと、とらえている。

 さらに前回の参議院選の敗因の一つになった消えた年金問題に関しても、安倍首相就任直後ぐらいから把握していたにも関わらず放置。後手後手の対応に党内からの批判が相次ぎ中川秀直幹事長との関係まで悪化。ついには松岡農水大臣の自殺、久間発言や赤城農水大臣事務所費問題に対してもまともな対応をしないまま、参議院選に突入。それでも井上秘書官は安倍首相に「45はいけます」と語っていたのだが。

 安倍内閣が迷走後、参議院に大敗するまでの経緯が克明に書かれている。小泉内閣で従来の政治手法は崩れた混迷の政界を描いた一冊といえよう。

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 鈴木 義哉

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書評  年金  塩崎恭久  組閣  教育  
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